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未完成のココア
ちょっと前の話。
珍しく早起きできたので近所のカフェへモーニングを食べに出掛けた。
私が早起きできるなんてもはやミラクルに近い。今日の私はえらい!!!と意気揚々と身支度をして出掛け、たっぷりと光合成をする。日の光に当たって「私も人間なんだよなあ〜〜」と肌で感じるのは心地が良い。
てくてくと歩いてカフェに到着、モーニングメニューを探すが見当たらない。
私が早起きと思った時間は世間的にはちょっと早めのランチに該当するようだった。
こまけえこたどうでもいい!モーニングでもブランチでもランチでも何でもいいから優雅に時間を過ごしたいんじゃ〜〜!
ランチメニューから好きなセットを選び、「お飲み物はいかがなさいますか?」と店員さんに問われる。反射的に目についたホットココアにする。「かしこまりました。お席でお待ちくださいませ。」
席で待っていると先にホットココアが到着した。
私は猫舌なのですぐに飲むことができず、暫しの間ホットココアを放置しようと思っていた矢先
スササササササ!!!!
と店員さんが慌てて駆け寄ってきた。
「申し訳ございません!こちらのココア・・・、未完成でしたっ!!」
と言って、私のココアは持って行かれてしまった。
未完成のココア。
未完成のココア???
何が未完成なのかもわからないまま、ココアは姿を消した。
1分ほどして、ホイップクリームとチョコレートソースが乗ったココアが運ばれてきた。
「大変申し訳ございませんでした!!」
目の前に完成された(であろう)ココア。
ホットココアなのでせっかく乗せてくれたホイップクリームとチョコレートソースは見る見るうちに沈んでいった。もはや未完成のココアと見た目はそんなに変わらない。
数分の出来事に戸惑いつつ、ホットココアを少し冷ましつつ、そして何より未完成のココアに想いを馳せながら、いただくことにした。
なんだろう、この気持ちは。
未完成のココアでもいいよ。それってなんだか美しいじゃない、と思う。
完成されたココアもいいけど、未完成のココアを飲んでみたいと思った。
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