「農業を株式会社化する」という無理(読書マラソン4/35)
11月19日から12月31日までに、2020年に読み残した35冊の農業の本を読み切るというミッションを自分に与えました。
僕はサボってしまう人間なので、ちゃんと読んだよっていう意味も込めて、noteに書評を書こうと思います!
35冊中4冊目。残り37日。
<「農業を株式会社化する」という無理>というタイトルに興味をそそられて読むことにした。
内田樹さん、藤山浩さん、宇根豊さん、平川克美さんの共著だ。
内容は現場の意見からは結構離れているものが多く、抽象的なものが多かった。
とはいえ、これは現場でやっている人からはなかなか出にくい農業論で非常に面白くて、共感することもあったので、読んでよかったなって思った。
この本の主張を要約すると、「株式会社」で求められる「成長」が本質的に「農業」と交わらないということだろう。
農業の究極的な目的は、人間を飢えさせないこと。
農業は①食べられる量が決まっている②腐るという消費の限界があり、GDPが10倍になったからといって、それに付随して消費量が10倍になるという産業ではないと内田樹さんは述べている。
農業で利益を追求しようとすると、単一の作物を大量に作ることになる。
でも、同じものしか作らないというのは、非常にリスクがあることだ。
効率化が進めば進むほど、リスク回避は疎かになる。
人間を飢えさせないことが本来の目的なのに、それができなくなる危険性を孕んでいると述べている。
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この本で、度々出てくる、「定常経済」という言葉。
経済成長は、もうほとんどストップしていて、これ以上成長しない。
だからこそ、成長という幻想を捨てて、成長しないことを前提とした社会システムを構築しないといけないと。
僕自身、それは非常に同感で、成長する、やイノベーションという言葉に頼らず、次はまた、何か別のことを探さないといけないんじゃないかなって思ってる。
そこで、出てくるのが「丁寧な暮らし」という言葉。
もっとひとつ一つを大切に丁寧に。
著者は、「いりこでだしをとる暮らし」と言っていたが、まさにこれは大事だと思う。
実は目の前に起きていることは、めちゃめちゃすごいことで、それを噛み締めるような毎日を過ごしたいなと思っている。
そして、それは田舎にあるし、農業をやることで少し感じれる部分が多いんじゃないかなっても思う。
この本は、なんとなく僕が感じている社会への違和感やこれからのあり方を言語化しているような気がする。
ただ、この著者たちの多くも実際に農業をやっているわけじゃないし、すごく概念的なことを話していたので、ぼんやりとした帰結になった。
田舎で、農業をやっている僕だからこそ、見える社会があるだろうし、伝えられる言葉があるだろうし、もっと勉強して、しっかりと実践して理論を自分の手で手に入れたい。
いつもありがとうございます!まだまだ未熟者ですが、コツコツやっていきたいと思います!