雷はごろごろと(5月)

学童でアルバイトをしている最中、雷が鳴りはじめた。

雷がなってしまうと基本的には子どもたちだけでの帰宅は許されず、親御さんに連絡をしてお迎えの対応をとってもらうのが規則となっている。

そうなると、子どもたちは予定通りの時間に帰宅できず親の迎えを待つだけの時間となる。

ああ、多分わたしが子どもの立場だったらわくわくしただろうなあ…と思った。

子どもの時の自分は、トラブルで予定が崩れる状況にわくわくしていた記憶がある。

先生が授業中にふざけている生徒を叱った勢いで授業がなくなったり、そういう予定不調和的シチュエーション。


最近は大体のことが予定通りに進むし、予定したこと以外が起こったときのことを思い出すとそれは元々大した予定も立てていなかったようなものなのだ。



予定不調和、したい。



予定不調和でわくわくしたい…この先起こる予定不調和なんてきっとわくわくよりもどきどきが勝つのだろうな。

そう思うとなんだか悲しくなってきた。


雷がごろごろと鳴っていた、あの日のことを改めて思い出す。子どもたちを迎えにきた親御さんの表情。

親御さんにとっては最悪な予定不調和だっただろう。仕事終わり、雷雨の中、子どもを迎えにいかなくてはいけないなんて。


予定不調和に対するわくわくのように、味わえなくなる感覚が増えていくのだと、少しだけかなしくなった。

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