代替不可、大体貴重(7月)

普通に暮らしているだけでは、自分とは言語の違う人と話す機会など滅多にない。

半年前くらいにアルバイト先の某宅配ピザチェーンで店頭注文をしにきた外国人の方がいたが、マジで困った。
年下の高校生バイトの子に助けを求められどうしたんだいといった気持ちでカウンターに向かうも、そこには自分と同じように戸惑った外国人のお客さん。
落ち着いて話を聞くとトマトソースのピザがいいということで適当におすすめを答えたら「Oh! This one!」と言ってくれた。
高校生の子が目をキラキラさせてお礼を言ってきたので、わたしもついこれくらい余裕よという顔をしたが、実際は「ディスピザ イズ トマトアンドペパロニ…」と言っただけなので気まずかった。
最後にお客さんに必死に「サンキュー…!」と言ったら「アリガトウ!」と返ってきて恥ずかしかった。そこはわたしに合わせろや。

そんな他国語知識皆無のわたしが、東京オリンピックのバイトをした。

熱中症対策で過剰に貰える休憩、コロナ禍によってボランティア制度が曖昧になり人手不足になったおかげでたくさん貰える給料…!それ以前の話だが、単純に貴重な体験というのもある。
合計7日間くらい働いたが、多分もう人生では無いであろうこともいくつか経験した。

試合が終わったあとスタッフが選手に拍手を送るのだが、その中でフランスかどこかの選手がわたしに爆裂お手振りをかまして「ブラボ〜!」と言ってきた。やけにフランクな選手だなと思っていたら、金メダル獲った人だった。
わたしはこの夏、金メダリストと爆裂のお手振り合いをかましたのだ…。

パラリンピックの期間も勤務があったのだが、その期間中はオリンピック期間以上に拍手を大きくした。
わたしの会場は視覚障害者の方の種目で、選手には常にアテンドがついていた。途中、何故かアテンドの人が先に進んでしまい選手があたふたしているところを捕まえアテンドの人と合流させるというスーパープレーをしたが、インド人の方には英語が伝わらないと分かった時は絶望しかけた。
止まって も ストップ も伝わらない相手を止められるのは、ダッシュからの肩トン、そして手のひらで待ったをかけることだけなのだ。

こうしてわたしがいくら物事を言語化したって、今は日本人にしか届かない。
いくら高度な翻訳アプリにかけたって、この気持ちを言葉にした日本語と同じことを意味する言葉に訳されるかは分からない。
まず日本語で表現したときの言葉と全く同じ意味の言葉が全部の国にあるかは分からない。
そう思うたびに、わたしは日本語じゃなきゃダメだって思うし、母国語が日本語でよかったと思う。

気をつけられるだけのてにをはは気をつけたいし、本垢での日常のツイートひとつだって何度も消したり打ったりしてしまう自分がめんどくさいと感じつつも、大事にしたいと感じます。
自分が尊敬するのはいつだって言葉の綺麗な人だし、言葉を粗雑にしない人たちだから、自分もそうなるしかない!
ここで言う言葉の綺麗な人というのは言葉遣いの話ではなく、ね。クソとかカスとかはどんどん言っていきましょう。


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映画「そこのみにて光輝く」
このタイトルの「そこのみにて」という表現は日本語以外でも可能なものなのかな。
洋題では「THE LIGHT SHINES ONLY THERE」。それを日本語に訳すと「光陰矢の如し」…日本語とは違うけど、粋!
池脇千鶴の生々しい演技が綾野剛を一層妖艶な存在にしてくれます。

ロングコートダディ単独「じごくトニック」
やっと生で見れたロコ単。音楽がDENIMS という…!!演出も最高にイカしてた。
そして単独後に堂前さんが書いたnoteが印象的だった。初の円盤化もおめでとうございます!

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