マガジンのカバー画像

臨床1年目の教科書

193
リハカレスタッフによる、新人さん向けのマガジンです。
運営しているクリエイター

#手関節

手関節の評価④

前回は手関節を評価・介入する際に必ずチェックする手根骨の月状骨について整理しました。解剖学的な形状を理解することで、なぜ月状骨の可動性を確認する必要があるのか?が理解できました。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は、月状骨の隣にある舟状骨について整理しましょう。 1 特徴 手関節は生活の中で純粋な背屈・掌屈をすることは少なく、背屈をする際には橈屈が伴い、掌屈する際には尺屈が伴います。 これは、ダーツを投げる時の動きに似ているため、ダーツスローと呼ばれること

手関節の評価③

前回までに手関節は橈骨手根関節と手根中央関節の複合関節であり、それぞれ評価することの重要性について整理しました。今回は、手関節の動きに関連が深い8つの手根骨でも特に注目するべきポイントについて整理していきましょう。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 1 特徴 手関節は角度によって握力が変化します。最大に努力して物を握りしめた際に生じる圧迫力は、手根の角度によって変化し、背屈30°で最大となります。つまり、手関節のコントロールができないと握力も発揮しづらくなるので

手関節の評価②

前回、手関節は橈骨手根関節と手根中央関節の複合関節であり、それぞれの動きを確認することの重要性を整理しました。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 前回、橈骨手根関節でしたが、今回は手根中央関節について整理しましょう。 1 特徴 手関節は上肢の役割で、手指の位置の微調整を実施します。 試しに、ペンを持っていることを想定し、そのペンを置いてみましょう。 そして、ペンの先端を摘んでみます。そうすると、手関節で手指の位置の微調整を実施したことが体験できたと思います。 つ

手関節の評価①

前回までに肩関節、肘関節、前腕の評価ポイントとその方法について整理してきました。評価は一つ一つ丁寧に実施していくことで問題点が徐々に明確になってきます。臨床では時間をかけて評価することが最も早くその方の問題点を明確にすることになります。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回からは手関節の評価について整理していきましょう。 1 特徴 手関節と聞くと、多くの療法士が橈骨手根関節を思い浮かべると思います。しかし、手関節は橈骨手根関節と手根中央関節から構成される複合関

尺側手根伸筋の触診

本日のテーマは尺側手根伸筋の触診、臨床でのポイントを整理していきましょう。前回までは、長・短橈側手根伸筋について整理していきました。外側上顆炎を担当する際には、両方ともポイントとなりましたが、別々のアプローチが必要でしたね。 前回までの内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回のテーマの尺側手根伸筋はどのようなポイントがあるのでしょう? 1 触れることの臨床意義臨床で尺側手根伸筋を意識することが多いのが、尺側手根伸筋炎です。 この症状は手首を繰り返し使ったり、ものを持ち上げるこ

短橈側手根伸筋の触診

前回は長橈側手根伸筋について整理し、外側上顆炎(テニス肘)において長橈側手根伸筋は外側上顆に付着しないため、疼痛に直接起因しないことがわかりました。 前回までの内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回は、外側上顆炎(テニス肘)で疼痛の直接の要因となりやすい短橈側手根伸筋について整理していきましょう。 1 触れることの臨床意義上記でも整理しましたが、外側上顆炎(テニス肘)の疼痛の多くは短橈側手根伸筋が起因します。 つまり、臨床で外側上顆炎を担当することになった場合、しっかりと短

長橈側手根伸筋の触診

前回までは手関節の掌屈に関係する筋を整理していきました。個人的に面白かったのが、尺側手根屈筋です。手関節にも、手指の動きにも関係していることが筋の起始・停止を整理するとよくわかりました。 前回までの内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回からは拮抗筋である背屈筋群について整理していきましょう。今回のテーマは”長橈側手根伸筋”です。 1 触れることの臨床意義手関節の背屈する筋群として臨床でよく出会うのが、上腕骨外側上顆炎、通称テニス肘です。 外側上顆炎はじっとしている時にはあま

尺側手根屈筋の触診

今回のテーマである尺側手根屈筋は前回に整理した橈側手根屈筋と協働し、ダーツスローのバランスを整えています。 つまり、手関節の動きを評価・介入するときには橈側手根屈筋と一緒に考慮しておきたい筋ですね。 1 触れることの臨床意義前回の復習になりますが、手関節は掌屈の際には尺屈、背屈の際には橈屈を伴います。この動きをダーツスローまたは、ダーツモーションと言われています。 そのため、掌屈する際には、掌屈しつつ尺屈をコントロールします。この動きは橈側手根屈筋と尺側手根屈筋のバランスに

橈側手根屈筋の触診

前回は”長掌筋”の触診について整理してみました。前回からテーマを手指に移していくとお話しましたが、手関節の主動作筋について整理していませんでしたね・・・ なので、テーマを変えて今回からは”手関節の主動作筋”についてです。 今回のテーマは”橈側手根屈筋”の触診ついて整理していきましょう! 1 触れることの臨床意義以前もご説明しましたが、手関節は生活の中で純粋に掌屈・背屈することが少なく、掌屈の際には尺屈、背屈の際には橈屈を伴います。この動きをダーツスローまたは、ダーツモーショ

舟状骨の触診

前回までで前腕の触診を整理していきました。 その中で重要なのが、触診ができるようになった結果、臨床にどのように繋げていくのか?つまり目的をしっかり整理していくことでした。 しっかりと、この部位をなぜ触診したいのか?を明確にしていきましょう。 今回は新人療法士が苦手としている、手根骨の触診。その中でも舟状骨について整理していきましょう。 1 触れることの臨床意義舟状骨は橈骨手根関節と手根中央関節の2つの関節を構成しています。 つまり、舟状骨の触診ができることで、上記の2つの関