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「私、大学生になったら本屋さんで働きたいんですよ」 高校を卒業した次の日、明日からは校則なんて関係ないからと友人とふたりで、美容室に髪を染めに行った。大学生を前にワクワクする私たちに、美容師さんはたくさん話しかけてくれた記憶があるが、何を話したかは覚えていない。ただ、「バイトは何をしたいの?」という問いかけに、「本屋で働きたい!」と力強く答えたことだけは覚えている。
私は物心がついた頃から、文房具屋とか服屋よりも、本屋が好きだ。 正確に言うと、全部好きではあるが、文房具屋や服屋は「ペンのインクが切れたから買いに行こう」「秋物がないから見に行こう」みたいに、必要性に駆られて足を踏み入れることが多いのに対して、本屋は何の目的がなくてもスーッと吸い込まれてしまう。