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陰謀論

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世界の陰謀に関する議論や陰謀論の問題点などについての記事をまとめます。
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2021年6月の記事一覧

陰謀論という概念についての考察

陰謀の一般的な定義陰謀という言葉を辞書で引くと、「ひそかにたくらむ悪事。また、そのたくらみ。」「法律で、二人以上の者が一定の犯行行為について計画・相談すること。」とあります。 ちなみに、陰謀論と呼ばれるものは欧米社会発祥であることから、英語でも調べる必要があるでしょう。陰謀とは英語でConspiracyといいます。他にもいくつか類義語がありますが、陰謀論と呼ばれるときの陰謀はこのConspiracyになります。 Conspiracyの辞書的な意味は「違法または有害なことを

岩佐圭奘『日本とユダヤの決戦』昭和18年③

著作権が切れている昭和18年の著作『日本とユダヤ人の決戦』を紹介します。一部分読みやすいように現代調にしています。【コメント】以下、補足的な情報や感想などを付け加えています。 3 ユダヤ人の謀略ユダヤ人は謀略に耽る民族である。謀略に長じていることユダヤ族の如きは世界無比であろう。 フランスの革命もユダヤ人の謀略の果実であるが、ロシアの赤色革命もまたユダヤ人の長年にわたる計画的、謀略の結成である。 革命と戦争、ユダヤ人は絶えずこの二つの事を計画し、煽動し、また実行に移すこ

岩佐圭奘『日本とユダヤの決戦』昭和18年②

著作権が切れている昭和18年の著作『日本とユダヤ人の決戦』を紹介します。一部分読みやすいように現代調にしています。【コメント】以下、補足的な情報や感想などを付け加えています。 2 フリーメイソンフリーメイソン結社は秘密的の存在であって、その内容は外部の者の窺知を許さないものであるが、表面的には博愛的、人道的平和機関となっている。しかし、もちろんそれは事実上ユダヤ族の反国家的革命謀略機関である。 フリーメイソンとは英語の読み方であってフランス語ではフランマソンと読まれる。

岩佐圭奘『日本とユダヤの決戦』昭和18年①

著作権が切れている昭和18年の著作『日本とユダヤ人の決戦』を紹介します。一部分読みやすいように現代調にしています。【コメント】以下、補足的な情報や感想などを付け加えています。 自序神国日本が興亡を賭して、人類解放のための決戦を戦いつつあり、過酷な局面の展開、とりわけ南に山本元帥の戦死、北にアッツ島の山崎部隊長以下の玉砕、実に容易ではない世界戦争の容姿を見る。 この秋この際、完勝の一途に驀進中の戦う一億国民が肝に銘じて心すべきことは果たして何か? それは他でもない、われわ

フランス革命――最初期の陰謀論――イルミナティ・フリーメイソン批判は18世紀末から存在している。

1776年に創設されたイルミナティですが、かなり早い段階から、イルミナティと同じく秘密結社のフリーメイソンに対する批判の書は世に出回っています。 あれこれ調べている内に、どこでその資料を見たのか忘れてしまうため、この記事にメモ書き程度にまとめたいと思います。発見した度に更新していこうと考えています。 三部会のメンバーだったジャン・ジョゼフ・ムーニエによるフランス革命批判と、啓蒙主義・秘密結社への批判は最近まで知りませんでした。 ジャン・ジョゼフ・ムーニエ Jean Jo

ネスタ・ウェブスター『世界革命』

近年、多くの人々から陰謀論者の烙印を押されているイギリスの作家ネスタ・ウェブスター(1876‐1960)は『世界革命――文明に対する陰謀』という著作を残しています。日本では1990年に馬野周二によって翻訳されています。 その内容はイルミニズムと呼ばれる思想・哲学の話から始まり、フランス革命、バブーフ、社会主義、1848年の革命、インターナショナル運動、1871年の革命、無政府主義、サンディカリズム、1917年の革命に焦点が当たられています。 世間で言われる陰謀論とされるも

陰謀論の疑似科学と偽情報――陰謀論のタイプと検討

陰謀論には様々なタイプがあります。そしてどの言論や言及が正しいのか、あるいは間違っているのかを判別することは必ずしも簡単なことではありません。 前回紹介した科学的方法として適切ではない方法や、心理操作の方法などを加味して考えるとある程度見えてくるものがあるのではないかと思います。 バロニー検出キットと論理的誤謬カール・セーガンによるバロニー検出キットがどれだけ正確にバロニー(馬鹿げたもの)を見破れるのか判別することは難しいですが、それでも一定の指標にはなるのではないかと思

何が正しく、何が間違っているのか――陰謀論の疑似科学・偽情報

今回は、いわゆる陰謀論と呼ばれているものの何が正しく、何が間違っているのかという議論です。この点について、ハッキリと何が正しく、何が間違っているのかを確定することは難しいと思います。 ただし、真偽判別の難しさから、この議論を避けるのはナンセンスです。私たちは出来る限り、より確実な情報を獲得するための議論をするべきです。 そのためにまず、科学哲学の方法を参考に検討したいと思います。現代の科学哲学について陰謀論で議論されることはほとんどありません。しかし、科学哲学による議論を

世界の陰謀を語る人たち――溢れる情報の中で真実を探り出すために

陰謀論というのは一般的には否定的な意味で使用されていますが、私は陰謀論全体を一括して否定するつもりも、肯定する立場にはありません。実際に私自身も特定の他者からみれば間違いなく陰謀論者に見えることでしょう。 今回は、陰謀論として一括りにされがちな思想・信条を持っている人々を、タイプ別に分類したいと思います。非常に様々なバリエーションがありますので、誰がどのタイプであると断定することは難しいかもしれません。また精密に分類しきれない部分もありますが、少なくとも意見の異なる人間を無