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【診断士試験】中小企業政策まとめ(1次上級テキストより)

こんにちは。なごみ地蔵です☺

本日は、前回に引き続き「今年、中小企業診断士試験を受験予定だ」という方に向けての記事です。

前回の記事では、中小企業経営の方を取り上げたので、今回は中小企業政策の方をまとめていきます。

よろしければ、前回の【診断士試験】中小企業政策のまとめ(1次上級テキストより)もあわせてご覧ください。

中小企業政策 学習の型

①誰が…支援機関
②誰に…支援対象者(中小企業・小規模事業者・NPOなど)
③何を…補助金・融資・信用保証・税制・専門家・投資・相談
④なぜ…目的


中小企業支援機関

【資金提供に関連する機関】

中小企業基盤整備機構

…主な事業内容は、高度化事業、共済制度の運営(小規模企業共済中小企業倒産防止共済)、ファンド出資事業、よろず支援拠点専門家派遣

日本政策金融公庫…全額政府出資

商工組合中央金庫…全額政府出資ではない

信用保証協会…全国に51協会

中小企業投資育成株式会社
地方公共団体、民間金融機関、民間保険会社等の出資により設立・運営され、東京・大阪・名古屋に設置されている。
原則として、資本金の額が3億円以下の株式会社に対して出資(中小企業投資育成株式会社法の特例あり)。

【主として相談・情報提供を行う機関】

商工会・商工会議所
…「地域の総合経済団体
小規模事業者支援法における経営改善普及事業の実施機関

都道府県等中小企業支援センター
中小企業支援法に基づく指定法人で、各都道府県および政令指定都市に設置されている

中小企業再生支援協議会
産業競争力強化法に基づき、各都道府県に1カ所設置されている。
相談は無料であるが、再生計画策定の支援にあたっては、実費の一部負担が生じる場合もある。

事業引継ぎ支援センター
産業競争力強化法に基づき、各都道府県に設置されている。相談は無料
「事業承継総合支援センター」に改称される予定。

下請かけこみ寺裁判外紛争解決手続(ADR)公設試験研究機関
都道府県に設置されている技術支援の中核的機関

日本貿易振興機構(JETRO)…海外展開支援

経営革新等支援機関
中小企業等経営強化法に基づき、国(主務大臣)が認定した公的な支援機関。
単に認定支援機関ともいう。


中小企業基本法等

【中小企業基本法】

基本理念(3条1項)
独立した中小企業の多様で活力ある成長発展

中小企業の役割(3条1項)
①新たな産業創出
就業の機会の増大
市場における競争の促進
地域における経済の活性化

基本方針(5条)
経営革新および創業促進ならびに創造的な事業活動の促進
②中小企業の経営基盤の強化
経済的社会的環境の変化への適応の円滑化
資金供給の円滑化および自己資本の充実

基本理念(3条1項)の条文
「中小企業については、多様な事業の分野において特色ある事業活動を行い、多様な就業の機会を提供し、個人がその能力を発揮しつつ事業を行う機会を提供することにより我が国の経済の基盤を形成しているものであり、特に、多数の中小企業者が創意工夫を生かして経営の向上を図るための事業活動を通じて、(以下略)」

【小規模基本法】

基本原則…事業の継続的な発展

基本方針
①需要に応じた商品の販売新事業展開の促進
②経営資源の有効な活用、人材育成・確保
③地域経済の活性化に資する事業活動の推進
④適切な支援体制の整備

小規模企業振興基本計画
(12の重点施策のキーワード抜粋)
フリーランス
エコシステム
事業継続リスク 
※「資金供給」関連はない

【中小企業基本法の変遷】

1.中小企業基本法の制定(1963年)
・中小企業とは「過小過多(企業規模が小さく、企業数が多すぎる)」であり、「一律でかわいそうな存在」として認識されていた。
中小企業と大企業「諸格差の是正」の解消を図ることを政策理念としていた。
・「生産性の向上」と「取引条件の向上」を具体的な目標としていた。

2.中小企業基本法の抜本的改正(1999年)
改正中小企業基本法では、これまでの「画一的な弱者」という中小企業像を払拭した。
・新たな政策理念として「多様で活力ある中小企業の成長発展」を提示している。
独立した中小企業の自主的な努力を前提とした政策へと転換していった。

3.中小企業基本法の再改正と小規模企業振興基本法の制定(2013年、2014年)
2013年に中小企業基本法が再度改正され(通称:小規模企業活性化法)、2014年に「小規模企業振興基本法(小規模基本法)」が成立した。
小規模事業者の「事業の持続的発展」を基本原則として位置付けた。

【中小企業支援体制の変遷】
・「中小企業指導法」(1963年)から「中小企業支援法」(2000年)へ
商工会・商工会議所が「経営発達支援計画」を策定し、国がこれを認定する仕組みを設けた


法律(計画系)の型

①基本方針(国)
  ↓
②計画策定・申請(中小企業・NPOなど)
  ↓
③計画承認・認定(国・都道府県・市町村)
  ↓
④支援措置(別に審査あり)

中小企業政策(法律:計画系)

【中小企業成長促進法】
・「中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律」の通称。
・主として、経営承継円滑化法中小企業等経営強化法地域未来投資促進法の改正
日本政策金融公庫によるクロスボーダーローン制度を創設。貸付対象は、「経営革新計画」の承認「経営力向上計画」の認定「地域経済牽引事業計画」の承認を受けた国内中小企業者等の海外子会社。

【中小企業等経営強化法】
・新事業活動
として、「技術に関する研究開発およびその成果の利用」が新たに加わった(中小企業成長促進法により追加)

1.経営革新計画
・計画の作成は、任意グループでも可
都道府県知事が承認(広域の案件は国が承認)
変更点1…従来の「計画期間3~5年」が、「①計画期間3~8年、②事業期間(計画期間のうち研究開発を除く新事業活動を実施する期間)3~5年」に。
変更点2…経営の相当程度の向上を示す経営指標として、従来の「経常利益」が「給与支払総額」に。(「付加価値額または従業員1人当たりの付加価値額」は変更点なし)
付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
※「給与支払総額」の伸び率は、「付加価値額または従業員1人当たりの付加価値額」の伸び率の半分(「付加価値額または従業員1人当たりの付加価値額」の伸び率は、「年数×3%」)

2.経営力向上計画
中堅企業資本金10億円以下または従業員数2,000人以下)、医療法人NPOも対象
事業分野別指針生産性向上策)を策定
・経営の向上の程度を示す指標として原則労働生産性を用い、3年計画の場合1%以上、4年計画の場合1.5%以上、5年計画の場合2%以上の伸び率が必要
・主な支援措置として、中小企業経営強化税制資本金または出資金の額が1億円以下の法人が対象。即時償却または税額控除を選択適用できる)がある

3.事業継続力強化計画
中小企業の自然災害に対する事前対策(防災・減災対策)を促進するための中小企業強靭化法により創設された
・2者以上の中小企業者が連携して、連携事業継続力強化計画を作成・申請することもできる
計画期間は3年以内

【農商工等連携促進法】
中小企業者農林漁業者有機的に連携して農商工等連携事業計画共同で作成
NPO法人が農商工等連携支援事業計画を作成

【地域未来投資促進法】
地域経済牽引事業の促進が目的
地域経済牽引事業計画都道府県知事が承認(官民連携型は国が承認)
※中小企業成長促進法により、事業承継等に伴う事業拡大により、中小企業者要件を満たさなくなった事業者に対し、計画期間中は中小企業者とみなし、中小企業向け支援(法律上の特例)を継続する措置が図られることとなった


中小企業政策(法律:その他)

【下請代金支払遅延等防止法】

適用範囲
物品の製造・委託
…親:資本金3億円超→下請:資本金3憶円以下
 親:資本金1,000万円超3億円以下→下請:資本金1,000万円以下
情報成果物作成
…親:資本金5,000万円超→下請:資本金5,000万円以下
 親:資本金1,000万円超5,000万円以下→下請:資本金1,000万円以下

親事業者の義務
①発注書面の交付直ちに
②下請取引の内容を記録した書類の作成、保存…2年間保存
③下請代金の支払期日を定める…給付を受領した日から60日以内
遅延利息の支払い…年率14.6%

【中小企業組合制度】
根拠法
中小企業等協同組合法→事業協同組合、企業組合
 中小企業団体の組織に関する法律→協業組合、商工組合
 商店街振興組合→商店街振興組合法

発起人数
商店街振興組合のみ7人以上(他は4人以上)

加入・任意脱退・議決権
協業組合のみ、加入の承諾・持分譲渡による・出資比例の議決権も可

組合員比率・従事比率
企業組合のみ、全従業員の3分の1以上が組合員・全組合員の2分の1以上が組合事業に従事

組織変更
株式会社へ変更できるのは、事業協同組合・企業組合・協業組合の3つ
 ※組合の名前に「業」が含まれているものが株式会社へ変更できる

組合数
トップは事業協同組合(3万を下回る)

【経営承継円滑化法】事業承継税制
①一般措置…都道府県知事の認定を受けた非上場株式について、相続税は80%、贈与税は100%の納税猶予後継者が死亡した場合などには、猶予税額が免除)。株式総数の3分の2に達するまでの部分に限られる。

特別措置経営承継円滑化法に基づく「特例承継計画」を都道府県に提出
売却時や廃業時の評価額をもとに納税額を再計算
対象株式数の上限を撤廃し、相続税の納税猶予割合も100%
・雇用要件(5年平均8割)が未達成の場合でも猶予を継続可能
・親族外を含む複数の株主から代表者である後継者(最大3人まで)への承継も対象

個人版
事業用資産相続税・贈与税が納税猶予・免除
「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出

④中小企業促進法による改正
承継に併せて保証債務を借り換える際に、経営者保証を求めない保証制度(経営承継借換関連保証)が創設


中小企業政策(制度)

【中小企業に適用される税制】
対象者…資本金1憶円以下5憶円以上の法人等の100%子会社等は対象外
措置内容
・①交際費年800万円までの全額、②接待飲食費50%上限なし)のどちらかを選択して損金算入可能
所得800万円以下の部分について法人税の軽減税率15%)が適用

【JAPANブランド育成支援等事業】
全国展開や海外展開、インバウンド需要獲得のための経費の一部をが補助
単独の中小企業・小規模事業者も利用できるようになった

【ものづくり補助金】
認定支援機関(認定経営革新等支援機関)のバックアップは不要となった
・補助率は、中小企業は1/2、小規模事業者等は2/3
・要件
…①付加価値額年率3%以上向上
 ②給与支払総額年率1.5%以上向上
 ③最低賃金+30円以上の水準
 ※①と②は経営革新と同じ

【高度化事業】
都道府県(A方式)と中小企業基盤整備機構(B方式)が財源を出し合う
・対象資金…設備資金のみ(運転資金は対象外)
貸付限度額なし貸付割合は原則80%
・高度化事業の種類とキーワード
…①集団化事業→公害問題の解決
 ②集積区域整備事業→各商店を改装
 ③施設集約化事業→共同で入居
 ④共同施設事業→共同で利用
 ⑤地域産業創造基盤整備事業
 ⑥商店街整備等支援事業
 ※①~④は中小企業者が実施する事業、⑤・⑥は第3セクターが行う事業

【小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)】
日本政策金融公庫が行う無担保・無保証人・低利の融資制度
・要件
…①小規模事業者(宿泊業・娯楽業は20人以下
 ②経営指導員による経営指導6カ月以上受けている
 ③同一地区内で1年以上事業を行っている
 ④税金を完納している
・貸付条件
…①貸付限度額2,000万円
 ②貸付期間は、設備資金10年以内据置期間2年以内
        運転資金7年以内据置期間1年以内

【新創業融資制度】
日本政策金融公庫から無担保・無保証人で融資を受けることができる
・要件
…①新たに事業を始める者、または税務申告を2期終えていない者
 ②雇用創出等の要件
 ③創業資金総額の10分の1以上の自己資金
貸付限度額3,000万円運転資金は1,500万円

【有限責任事業組合(LLP)】
法人格はない
構成員課税(パススルー課税)が適用

【中小企業の共済制度】

1.小規模企業共済制度
経営者の退職金制度
中小企業基盤整備機構が運営
共済金を一括(退職所得)または分割(雑所得)で支払う
契約者貸付制度あり(無担保・無保証人
加入対象者は、小規模事業(宿泊業・娯楽業は従業員20人以下)の個人事業主、共同経営者または会社の役員等

2.中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)
中小企業基盤整備機構が運営
1年以上継続して事業を行っている中小企業者で、掛金納付月数が6カ月以上ある加入者は、取引先企業が倒産した場合、売掛金や受取手形などの回収が困難になった額と、積み立てた掛金総額の10倍の、いずれか少ない額(上限8,000万円)の貸付が無担保、無保証人、無利子で受けられる。(貸付を受けた場合、その額の10分の1に相当する額が掛金総額から減額される。)

3.中小企業退職金共済制度
国の援助(助成)によって運営される、従業員のための退職金制度
勤労者退職金共済機構が運営
従業員が退職する際には、同機構から所定の退職金が直接従業員に支払われる

共済制度の比較
・制定年度
…退職金共済(1959年)→小規模企業共済(1965年)→倒産防止共済(1977年)
・税金の取扱い
…退職金共済・倒産防止共済→法人は損金算入、個人は必要経費
 小規模企業共済→経営者個人の所得から控除
・掛金の範囲
…退職金共済→5,000~30,000円(16種類)
 倒産防止共済→5,000~200,000円(5,000円きざみ)
 小規模企業共済→1,000~70,000円(500円きざみ)


最後に

講義で取り上げられていた部分を中心にまとめてみましたが、いかがでしたか?

暗記系3科目とも言われる2日目の試験科目の中で、個人的に1番とっつきやすい科目ということもあり、優先順位を下げがちなので、自戒の意味も込めて、真っ先にまとめ記事を書いてみました。

財務・会計の上級講義のまとめも、今月中に更新しようと思っていますので、また見に来ていただけると嬉しいです☺️


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

「この記事を読んで良かったな」
「自分も(診断士試験に限らず)勉強頑張ろう!」
と少しでも思っていただけたら、
「スキ♡」やコメントをいただけると嬉しいです☺️

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