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利益を増やすための基本戦略

こんにちは。やまりです☺

本日は、「利益が増えずに悩んでいる」という方に向けての記事です。

今回は、「小さな会社の儲けの仕組みの教科書」の第2章「利益を増やすための基本戦略」の内容を簡単にご紹介します。

前回のこの記事の続きとなっていますので、先にこちらを読んでいただけると、より分かりやすいかと思います。


1.単価アップの戦略

単価を顧客単価(お客様1人が1回の購入で支払う総額)とすると、次のように表せます。

顧客単価=商品単価×商品購入数

顧客単価をアップするための方策として、
・商品単価アップ
・商品の購入数アップ
に分けて考えます。


商品単価アップ①価値に見合う価格を設定する

単価アップは、数量アップと違って追加資本を必要としません。
もちろん、単価アップのために商品をブラッシュアップする場合にコストが発生することはありますが、「値上げ」という行為自体にコストはかかりません。

商品やサービスの単価を上げるためには、その商品・サービスを磨いて、お客様に提供する価値を高め、その価値にふさわしい価格を設定します。
(「いかにして商品・サービスの価値を高めるか」については、来週の記事で取り上げます。)

価格設定について考える上で、まずは「価格弾力性」について押さえておきましょう。

【価格弾力性】
ある製品の価格の変化に対して、需要がどの程度の割合で増減するかを示したもの

「価格弾力性が高い製品」は、価格が少し上がっただけで需要が大幅に減ってしまう、価格上昇に弱い製品のことで、贅沢品や趣向品などが該当します。
「価格弾力性が低い製品」は、価格を大きく上げても需要の減少はゆるやかで、価格上昇の影響を受けにくい製品のことで、生活必需品が該当します。

また、代替品や類似品の有無も大きく影響します。
独自性が低く、類似製品が多い製品の場合は、価格を上げると需要が代替品に流れてしまいます。

最適な価格とは、一言で言うと「限界利益が最大となる価格」です。
最適な価格を設定することは簡単ではありませんが、近年、ビッグデータとAIを活用して、需要の価格弾力性を予測する「ダイナミックプライシング」という仕組みが出てきて、ホテルの宿泊料金や航空券など、以前から価格変動が消費者に受け入れられやすいサービスにおいて導入が始まっています。
現在では大手企業中心の導入ですが、この分野は日進月歩なので、中小企業でも活用できる日はそう遠くないでしょう。

現時点では、経営者の重要な経営判断として、「売上量と利幅の積が極大値になる価格」を決定しなければなりません。
最適価格を探るためには、新製品を発売する際に、テスト販売を実施し、選定したモニターに対してアンケートを行い、以下のような質問に答えてもらう、というやり方があります。

①この製品は、製品価値に比べて安いと思いますか?高いと思いますか?
②その理由はなぜですか?
③高すぎるので買わないと感じる価格はいくらですか?
④安すぎるので買わないと感じる価格はいくらですか?


商品単価アップ②モノ+コト(サービス)

「コト」はサービスや体験ことで、「モノ=製品そのもの」と対比して語られます。
インバウンド消費も、近年では「モノ」を爆買いするよりも、地方に行って伝統芸能や地域の行事に参加するなど、「コト」を経験する観光に人気が集まっていますが、「モノ」を販売する上でも、「コト」とうまく組み合わせることで単価アップが可能となります。


商品単価アップ③前後工程の取り込み

自社のコア業務の前後の工程を取り込み、付加価値をのせることによって、単価アップを図ることができます。
単品見積もりの場合は、価格の比較がしやすいため、相見積もりを取られやすくなりますが、見積もり項目が増えることで見積もりの構成が複雑になり、見積もりが比較しにくくなるため、シビアな値引き要請を避けやすくなります。
前後工程の取り込みの条件としては、顧客の課題解決に貢献することが前提となります。


商品単価アップ④アップセル

アップセルとは、「より単価の高い商品を顧客に購入してもらうこと」です。
アップセルのシンプルな方法として「松竹梅メニュー」の設定があります。
三段階の価格の商品を用意すると、心理的に一番下の梅を避けて真ん中の竹を選ぶケースが多いので、竹の利益率を少し上げておいて利益増を狙うやり方です。


商品の購入数アップ①クロスセル

クロスセルとは、顧客がある商品を購買した際に、関連商品を勧める方法です。
基本的には、顧客が商品を購入すると決めたタイミングで、購入した商品より割安な関連商品を紹介します。
特に、高額な商品の購入を決断すると、心理的に金額に対する抵抗感が薄れますので、提案を受け入れやすくなります。
しかし、不要なものは購入してくれませんので、購入した商品を長く大切に、更に便利に使うために必要な関連商品を揃えておくと、同時購入の確率が高まります。


商品の購入数アップ②パッケージ化

クロスセルが、メイン商品を購入してもらったあとで関連商品を販売するのに対し、「パッケージ商品」は、はじめから関連商品をセットで販売します。
パッケージ販売で重要なことは、パッケージ化するテーマに対して、顧客に共感してもらえなければ購入には至らないということです。
ターゲット顧客に対して、強く共感を訴求するセットメニューが組めれば、仮に高額商品であってもパッケージ化は可能です。


2.数量アップの戦略

次に数量ですが、ある期間の売上数量の算出は、次のように表せます。

売上数量=顧客数×購入頻度

売上数量を増やすためには、
・購入してくれるお客様の数を増やす
か、あるいは
・購入してもらう頻度を増やす
ことが必要です。

顧客数アップ

新規顧客の獲得は、持続的成長を図る上では欠かすことができませんが、簡単ではありませんし、コスト(お金と時間)もかかります。
一般的に、新規顧客開拓のコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかると言われています。
既存顧客の維持がおろそかになり、他に流出させてしまってはまったく意味がありません。
よって、顧客開拓コストに留意した上で、いかにして新規顧客を開拓するかがポイントになります。

中小企業庁の2017年版「小規模企業白書」に掲載されている「持続成長型企業における成長段階ごとの販路開拓の取組」によると、
創業期、成長初期、安定・拡大期の、各ステージにおける販路開拓の取り組み内容は、
1位が「友人・知人・取引先などからの紹介」、
2位が「インターネットなどのメディアによる周知」、
3位と4位が僅差で、「チラシなどのポスティング」と「展示会・イベントなどへの出展」
になっており、いずれもオーソドックスな方法です。
このような地道な販路開拓方法を組み合わせて、着実に実行する必要があります。

〈友人・知人・取引先などからの紹介〉
自社・紹介元・紹介先の「三方よし」が成立しないと、紹介は機能しません。
自社ならではの特徴を持っていると、紹介元は紹介しやすくなります。
そのためには、何かNo.1と呼べる分野を作ることです。
地域、商品、顧客層などを絞って、小さい領域でもいいのでNo.1の分野があると、紹介されやすくなります。

〈インターネットなどのメディアによる周知〉
SNSの活用は、大手に比べて販促予算が限られている中小企業にこそ、適している販促方法と言えます。
ホームページによる集客においては、ターゲット顧客に対して、まずは「顧客の悩みやニーズを解決する情報」を提供し、そのあとで「当社の商品やサービスがどのように悩みの解決に役立つかを紹介する」作りにすることがポイントです。

〈展示会・イベントなどへの出展〉
展示会の魅力は、何と言っても短期間で担当者情報(名刺)が収集できて、見込客と出会えるチャンスがあることです。決裁者と直接商談できることもあります。
出展コストについては、自治体によっては、販路開拓の手段として補助金を設定している場合も多いですし、商工会議所が補助して、地域の会社が共同でブースを出展し、単独出展よりもコストを抑えられることもありますので確認しましょう。
新型コロナウイルスの影響により、従来の展示会の代替策としてオンライン展示会というイベントが開催されています。
ウイルス終息後も、リアル展示会とオンライン展示会をそのメリット・デメリットによって、使い分ける流れになると思われます。

〈チラシなどのポスティング〉
地域密着型のビジネスを展開している場合、ポスティングは顧客獲得の手段として有効です。
集客のためのチラシをどのエリアに撒けば、より効率的にターゲット層に届けられるか、を分析することができるGIS(地理情報システム)を活用することで、ポスティングの費用対効果が向上します。
商工会議所によっては、会員サービスとしてGISによる商圏分析サービスを行っているところもあり、その場合はコストをかけずに活用することも可能です。


購入頻度アップ①シェア拡大を図る

シェアは、「自社売上÷対象市場の需要額」で表すことができます。
シェアは、顧客内シェア、地域シェア、商品シェアなどさまざまありますが、顧客内シェアであれば、他社からではなく、自社から買ってもらう頻度を高めることで、シェアを高めることができます。

シェア拡大に向けた方策は、事業形態が「パレート型」なのか、「ロングテール型」なのかによって異なります。

「パレート型」は、「全体の8割は主要な2割の要素で構成される」という「パレートの法則」が当てはまる事業形態です。
BtoBビジネスの多くの業態で、「売上全体の8割は主要な2割の顧客でもたらされる」ということが当てはまります。

「ロングテール型」は、「上位の企業が全体の売上に占める割合が低く、小口の取引先の集合によって大きな売上が構成される」という事業形態です。
「ロングテール型」ビジネスは、ネット販売の成長とともに出現しました。

「パレート型」のシェア拡大策ですが、「パレート型」は、上位の顧客が大きな売上を占めるため、重要顧客を選定して、限られた営業リソースを重点顧客に優先的に配分し、顧客生涯価値(取引期間中の総売上-取引コスト)を最大化させることが重要です。
重点顧客の選定には、「拡販余地を加味した顧客のABC分析」が有効です。

「ロングテール型」でシェアを拡大するためには、ネットで集客する仕組みを構築して、いかに効率的に新規顧客の獲得を図るかがポイントになります。


購入頻度アップ②ストックビジネス

ストックビジネスとは、「継続的に収益を生む仕組み」です。
ストックビジネスには、次のようにさまざまな種類があります。

・消耗品や付随品を伴う機器を設置する(複写機、自動販売機、浄水器など)
・定期購入品を販売する(雑誌の定期購読、健康食品など)
・毎月払いでサービスを提供する(不動産賃貸、携帯電話、スポーツクラブ会員など)
・保守などの定期サービスを機器販売に組み込む(エレベーターの定期点検など)
・各種フランチャイズビジネス(加盟店からのロイヤリティー収入など)

ストックビジネスのメリットは、何と言っても安定収益を得られることです。
一度顧客として獲得すれば、解約が生じない限りは、継続的に収益を上げることができます。
継続して収益を上げるためには、価値を提供し続けなけらばならず、類似サービスに品質で劣れば、乗り換えられてしまいます。


3.変動費率ダウン(限界利益率アップ)の戦略

変動費において最も大きなウエイトを占めるのは売上原価です。
製造業であれば原材料費や部品購入費、卸売業や小売業であれば商品仕入高ですが、既存の取引先に限定せず、「価格」」「品質」「納期」の点で、ネットの活用も含め、よりよい仕入先の情報収集を怠らないようにしたいものです。

メーカーや商社などが、自社商品をネットで卸売りをする自社サイト(BtoB-EC)の市場が拡大しています。
今後ますます、BtoB-ECに参入する企業も増えてくるため、仕入先の情報収集および選定においては、更に有力な選択肢となってきます。

その他のオーソドックスな仕入コスト削減方法としては、次のようなものがあります。

・仕入先の集約
・計画発注
・共同仕入れ

製造業のコストダウンの決め手はVE(Value Engineering)です。
VEとは、製品やサービスの価値を明確にし、そのための機能とコストを見直すことで、「顧客提供価値」の向上を図る手法で、調達・製造・使用・廃棄といったライフサイクル全体のコストを最小化しつつ、必要な機能を達成するために、非常に有効な手法です・


4.固定費ダウンの戦略

固定費は2つに分けて考える必要があります。

①会社機能を維持するための固定費
②利益を稼ぐために必要な固定費

固定費の中で大きなウエイトを占めているのは人件費なので、この2つの視点で、人件費の最適化について見ていきます。

直間比率を見直す

人件費を、「会社機能を維持するための人件費」と「利益を稼ぐために必要な人件費」に分けると、前者は「間接人員」で、後者は「直接人員」になります。
「直接人員」とは、売上を上げることに直接関わる営業部門や製造部門が該当します。
「間接人員」は、売上に直接関わらないバックオフィス部門(総務・人事・経理など)です。
直間比率は、「直接人員」と「間接人員」の比率で、利益体質の会社にしていくためには、極力、直間比率を上げていくことが基本です。
直間比率を上げるための取り組みとしては、以下のようなものがあります。

・業務効率化を進める(ECRSの原則)
・アウトソーシングを活用する
・IT活用による業務効率化と生産性向上


最後に

今回は、「小さな会社の儲けの仕組みの教科書」の第2章「利益を増やすための基本戦略」の内容を簡単にご紹介してきましたが、いかがでしたか?

今回取り上げた内容に加え、
・利益を増やすための5つ目の方策「スピードアップ」
・逆張り戦略
についても第2章で取り上げられていますので、気になった方はぜひチェックしてみてください!


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
「この記事を読んで良かったな」
「この記事の続編も気になる!」
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