見出し画像

2次を突破するフレームワーク思考(企業診断8月号より)

こんにちは。やまりです☺

本日は、「中小企業診断士試験の2次試験を控えている」という方に向けての記事です。

今回は、企業診断8月号で特集されていた「2次を突破するフレームワーク思考」をもとに、個人的にポイントだと思った内容を紹介していきます。


第1章 記述力向上のためのフレームワークとは

2次試験の問題を読んでから解答するまでの流れにおいて、「考える」ことはもちろん、「読む」ことがとても重要で、そこには1次試験の知識が大きく関係してきます。

2次試験では、1次試験とは比べものにならないほど深い知識の理解が求められます。

また、2次試験は記述試験なので、記述力が弱いと突破できません。

「記述力が弱い」原因を大きく分けると、以下の2つに集約できます。

・1次試験の知識が欠落している場合
(例:早期に「企業経営理論」を科目合格し、2次試験時に知識を忘却している)
・1次知識自体は記憶しているが、それを活用できない場合

ここでは、後者の場合(解答作成のプロセスに必要な与件文読解や問題解決などに必要な1次試験の知識については理解・記憶していることを前提)における対策として、フレームワーク思考を取り上げていきます。

2次試験で合理的なフレームワークを使用して解答を組み立てることには、大きく2つの利点があります。

1つ目は、解答内容の妥当性が高まることです。

問題の解決や分析等を行うにあたり、自分の過去の経験やアイデアといった不確実なものではなく、一定の決められたフレーム(枠・骨組み)に従って思考を進める方が、妥当な結論に達する可能性が高くなります。

2つ目は、速さです。

80分という極めて短い時間内で解答を作成することを要求される2次試験では、解答の妥当性はもちろん、一定の解答速度が必要です。

一定の決まったフレームワークを使ったトレーニングを続けることで、習熟効果により、正確性が担保された高速化が期待できます。

52ページ「図表2 フレームワークの全体像」をもとに作成

上の図は、第2章で詳しく取り上げるフレームワークの全体像を示しています。

①のコンテンツ・トライアングルは、記述の形式面に関するもので、内容は極めてシンプルです。

②のレイヤー・レンジ分析は、解答の内容を考える上で不可欠のプロセスで、2次試験解答作成のための、ロジカルシンキングの具体的展開としてのフレームワークです。

③の制約条件・不要表現分析は、②をもとに解答内容を考える際、その可能性があるレンジ(範囲)を決定した上で、さらにレンジ内でのコンテンツを狭める(絞る)指示や、解答内容の方向性を誘導す表現を取り上げ分析します。

全体としては、レイヤー・レンジ分析と制約条件・不要表現分析は、コンテンツ・トライアングルの具体的内容を絞り込むためのツールということもできます。


第2章 3つのフレームワークと事例別対策

1.コンテンツ・トライアングル

2次試験は、答えそのものが不明確であり、自分が間違っているかどうかが分かりにくく、さらに、答えに至るプロセスが不明確で自分が正しい思考過程を経ているかが分かりにくい・・・つまり、メタ認知が困難であると言えます。

※メタ認知とは…
第三者的な視点から、客観的に自分の能力についての認識ができること。

メタ認知は、解答作成時において特に重要で、その際にコンテンツ・トライアングルのフレームワークが重要になります。

54ページ「図表1 コンテンツ・トライアングルの概念図」をもとに作成

合格答案の内容(コンテンツ)には、「1次知識」、「与件文(引用)」、「設問文(引用)」の3点が原則として組み入れられる、という極めてシンプルな原理を表しています。

このフレームを用いれば、解答骨子作成時点で、合格答案の3要素を満たしているかどうかについて、自分で確認(認知)できます。

しかし、その配分量(比重)は設問のパターンにより大きく異なるので、次のレイヤー・レンジ分析で詳しく見ていきましょう。


2.レイヤー・レンジ分析

事例問題における解答は、「環境」、「戦略」、「戦術」という階層に大きく分けられることから、各設問がこの3つの階層のどこのことを聞いているのかを分析するのがレイヤー分析です。

そして、解答を作成するにあたって検討すべき範囲を分析することが、レンジ分析です。

(1)レイヤー分析

・環境問題
SWOT分析系の問題が代表的で、正確な与件文引用が最も重要であり、1次知識や設問文は構成要素に含まない場合もあります。

・戦略問題
設問文から主語を引用し、与件文引用と1次知識をバランスよく配分することが求められます。

・戦術問題
目的を設問で明示されている場合は与件文引用は少ないかほとんどなく、1次知識に関する記述量が大きなウェイトを占めることが多くなり、1次知識の応用力が試されます。

環境問題は基本的に分析問題となりますが、戦略や戦術に関する問題は、分析系と助言系の2つに分かれます。

分析系の問題は、過去及び現在についての事象を対象にするのに対し、助言系の問題は、未来に向かった施策に関する内容であることが多くなります。

そのため、分析系の問題は与件文引用、助言系の問題は1次知識の活用が必須となります。


(2)レンジ分析

環境分析系の問題は通常「レイヤー≒レンジ(内部環境・外部環境)」となります。

戦略系の問題についても、ドメイン全体を検討するのか、一部分(たとえばターゲット)を検討すればいいのかの判断は比較的容易であり、そのレンジ内で使用する1次知識も定番であることが多いです。

戦術問題については、大きくピンポイント系と網羅的検討系に分かれます。

・ピンポイント系戦術問題
狭い範囲の論点について、与件文を引用しながら1次知識を正確に記述する必要があります。

・網羅的検討系戦術問題
広範囲にわたる施策手段の中から、目的に合致した適切な手法を選択します。
与件文引用の重要度は比較的低くなり、制度の内容について丁寧な記述をするより、もれなく列挙することの方が重要です。


3.制約条件・不要表現分析

制約条件には、「~について記述してほしい」「~な方向性で記述してほしい」という積極的条件と、「~については記述しないでほしい」という消極的条件があります。

これはさらに、明示的条件と黙示的条件(不要表現)に分かれます。

※不要表現とは…
設問文の中にその表現が存在しなくても、日本語として十分意味が通じるにも関わらず、あえて追加されていると思われる表現のこと

こうした条件は基本的には設問文に記述されますが、事例によっては、与件文に表現される場合もありますが、どちらの場合でも、解答の方向性に非常に大きな影響を与えます。


4.事例別対策

フレームワークの観点から、事例Ⅰ~Ⅲそれぞれの特徴を分析していきます。

事例Ⅰ
解答要求が不明朗なことが他の事例に比べて多い一方、レイヤーが明確に分かれる問題が多く、レンジについても比較的分かりやすいため、過去問を正しく研究することが得点に繋がります。
他事例よりも与件文に解答の根拠となる具体的内容が乏しい傾向があり、そもそも与件文引用ができない問題や与件文引用の割合が少なくなる問題が多くなります。
また、制約条件・不要表現は、事例Ⅰ~Ⅲのうち、最も重要かつ頻出です。

①環境分析系問題
事例Ⅱ・Ⅲと異なり、SWOT系の問題が少ないのが特徴です。
具体的には、以下の4つのパターンに該当することが多くなります。

・SWOT系分析
・外部環境変化分析
・戦略の分析
・商品(市場)特性分析

②戦略問題
「成長」という文言は入りませんが、成長戦略に関する問題が多いのが特徴です。
反対に、競争戦略についての問題は少なくなっています。

③戦術問題
目的を明確にした上で、その目的を達成するための具体的施策を記述させる問題が多く出題されます。


事例Ⅱ
制約条件が厳しく設定されることが多いため、その場合には指定された条件に忠実に解答する必要があります。
出題者により出題パターンのバラツキが大きく、過去問の研究が得点力アップに直結しにくい難しさがあります。

①環境分析問題
ここ5年連続して、SWOT分析及び3C分析の問題が出題されています。
それ以前もSWOT分析系統の出題が多くなっています。

②戦略問題
競合に対応するための競争戦略についてや、新市場開拓・新製品開発といった成長戦略をターゲット・プロダクトといったドメインに関係させて問う問題が多くなっています。
プロダクトについては、戦術としての具体的な4Pの内容であるとともにドメインそのものでもあり、戦略と戦術にまたがる問題となることがほとんどです。

③戦術問題
圧倒的にプロモーションとCRM系の出題が目立ちます。


事例Ⅲ
過去問に類似した問題が多く出題されるという特徴があり、過去問の分析が極めて有用かつ重要です。
通常5問の出題がありますが、そのうち4問くらいは15年分の過去問のどこかで出題された問題の類似問題であることが多くなっています。
すべての問題パターンを通じて、与件文引用の重要性は高いです。

①環境分析問題
SWOT分析の中でも「強み・弱み」を問う問題が非常に多くなっています。

②戦略問題
今後の中・長期的な成長戦略に関する問題が多く、通常、最後の設問で問われます。

③戦術問題
与件文や設問文に明示された問題点に対する1次知識を応用した解決策が求められることが多くなっています。


最後に

今回は、企業診断8月号の「2次を突破するフレームワーク思考」をもとに、ポイントをご紹介してきましたが、いかがでしたか?

ちょうど昨日(8月26日)から2次試験の受験申し込みが始まったということもあり、このテーマを取り上げるには絶好のタイミングだと思い、昨晩から慌てて書き始めました。笑

今年2次試験を受ける方も、来年度以降受験予定の方も、この記事を読んで少しでも2次試験の俯瞰や頭の整理に繋がれば幸いです。

ここでは取り上げませんでしたが、企業診断8月号では、過去問を例に挙げて解説されていたり、第3章「学習のアドバイスと誌上添削」というコーナーもありますので、気になった方はぜひチェックしてみてください!


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

「この記事を読んで良かったな」
「2次試験の全体像が何となく見えてきた気がする」
と少しでも思っていただけたら、
「スキ♡」やコメントで教えていただけると嬉しいです☺

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?