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色を知れ、デスアンドタックス

この記事はMagic The Gathering Death&Taxes(Legacy)をプレイしている人向けの記事です。白単色デッキとして知られるDeath&Taxesに+1色のタッチカラー検討を行うというテーマについて自由研究しました。近頃よく見る赤白型Death&Taxesについても触れています。

・なぜ色を足すのか?

Death&Taxesは優秀な単体除去とクリーチャーによる白単色のコントロールデッキとして既に完成されているデッキですが、苦手なマッチアップはあります。Elves8-castのように単体除去では対応しきれない相手やLandsPostのように触りづらいリソースで戦うマッチ、Doomsdayのように呪文経由のコンボでありながらスレイベンの守護者、サリア迷宮の霊魂が有効でない、あるいは間に合わないコンボデッキがそれに該当します。
マナ基盤に負担をかけて白単色を逸脱する以上、これらのマッチアップ改善が課題となるでしょう。

1.加えた色でどのカードを採用することができ、どのマッチが有利になるか

2.それらのマッチアップの改善が多色化のリスクに見合うほど有益か

次項より各色について上記の二点を検証していきます。

・赤白

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赤白型Death&Taxesは既に確立している、白単を除けば最もメジャーな形と言えます。私もこのリストを何度か使用しています。赤白が選択される理由は偏に月の大魔術師赤霊破の働きによります。

月の大魔術師

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特殊地形に依存したLandsPostのようなマッチアップを改善します。ウルザの物語を使用する8-Castにも有効で、このカードの機能は白単及び他色では代替が効かない貴重な能力です。護衛募集員でのサーチが可能で、白単では不利なマッチアップを改善するこのカードはタッチカラーの理想的な形式です。

赤霊破

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紅蓮破の採用率を鑑みれば、有用なマッチの列記は不要でしょう。青いデッキに対して広く活躍しますが、ドローソースや実物提示教育を打ち消すなど、スペル経由のコンボへ直接干渉できるのは白単では出来ない芸当です。従来UR Delverのために除去として使用していた枠を兼用できるため、サイドボードを圧迫しません。活躍の期待できる8-Cast呪文滑りを使用される恐れがあるため、どちらかと言えば紅蓮破より赤霊破に優位性があります。

鏡割りの寓話

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特定のマッチアップを劇的に改善するようなカードではありませんが、
常にマナを必要とし、引きムラの問題を抱え、有効なETB能力の宝庫であるDeath&Taxesではすべての能力が有効に機能する純粋なパワーカードです。


月の大魔術師が苦手なマッチアップを大きく改善しており、赤霊破・鏡割りの寓話がデッキパワーを底上げしている赤白型は、紅蓮破の飛び交う現環境ではかなり有用だと言えます。赤白に限らず、タッチカラーはマナ基盤の安定のため追加の不毛の大地である廃墟の地を採用しづらい傾向にありますが、赤白は月の大魔術師が特殊土地への耐性を補っています。
鬼門であるDoomsday赤霊破程度で改善しませんが、白単よりは戦えるでしょう。

・黒白

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黒白Death&Taxesが今までに無かったわけではありません。かつて真の名の宿敵が隆盛していたころ、Elves、ミラーマッチの対策を兼ねてオルゾフの司教魂の洞窟が使われていました。それほど面の除去という機能は白単が渇望していたものなのです。

・疫病を仕組むもの

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今ではオルゾフの司教よりもこちらが良いでしょう。ミラーマッチやElvesを始めとしたクリーチャーデッキに活躍します。護衛募集員のサーチ先として存在することは心強いです。

・敵対工作員

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機能の似たエイヴンの思考検閲者の現状を思えば、レガシーにおいて3ターン以降にサーチを封じるというアクションにあまり期待はできないかもしれません。これが劇的に活躍するシーンはあっても、マッチアップを通して大きく勝率に貢献するようなことはあまりないでしょう。それでも一度当たれば大きなアドバンテージとなり、半ば除去必須のクリーチャーとして居座り続けます。

・各種手札破壊

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思考囲い、帆凧の掠め取り、潮の虚ろの漕ぎ手など相手の手札に直接的に干渉することは黒を使う特権です。1マナハンデスから相手のコンボパーツへ干渉できれば、ReanimatorやDoomsdayなどスペル経由の高速コンボとのマッチアップの改善につながります。


疫病を仕組むものは有用ですが、手札破壊が有効かといえばやはり微妙かもしれません。性質上早いターンに引く必要がありますが、決して多くない枚数のタッチカラーのカードを、それに対応する土地とともに初手に引き込む必要がある、という脆弱性を抱えています。1ターン目の手札破壊を期待したいマッチアップを考えると、単に耳の痛い静寂を増量したほうが良いでしょうね。
タッチカラーの採用カードは、月の大魔術師疫病を仕組むものなどサーチ運用が可能なクリーチャーや、後引きでも強い赤霊破のようなカウンター呪文が適しています。白黒になって改善する苦手マッチは特にElvesですが、オルゾフの司教を強引に使っていた時より相性は改善しており、土地基盤に負担をかけるほどの価値はないと感じています。再び白黒を検討する機会があるならば、それは疫病を仕組むものが環境的な強さを取り戻した時になるでしょう。


・青白

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青白型の発想がこれまでになかったわけではありませんが、日の目を浴びることはほぼなかったように思います。検討にあたり、聖域の僧院長の弱体化については触れねばなりません。このカードがコントロールやデルバーなどのフェアマッチで弱くなってしまったことにより、ほとんどサーチ前提の遅いコンボ対策カードという役割に堕してしまいました。これはメインをフェアマッチに寄せて、サイドでコンボを厚く対策するYorion&Taxesの理念にも反しています。

・翻弄する魔道士

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聖域の僧院長が対フェアマッチで弱体化した今、聖域の僧院長が指定する数値と止めたいカードを鑑みれば、ほとんどこれで十分であるか、クリーチャーも指定できるこちらの方が優れていると思っています(例外はLandsぐらい)。1マナ軽いということ、枚数を積みやすいことからサーチ運用を前提としなくてよい点は猶予時間の少ない高速コンボデッキに対して大きな意味を持ちます。最後の審判を通してからもタッサの神託者を止められるため、Doomsdayに対してもより有用ですね!

・霊気の媒介者

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複数のモードを持つクリーチャーです。劇的な改善を行うタイプのカードではありませんが、本体スペックで劣るもののちらつき鬼火に近い汎用性を持っています。カードを引き増して土地を伸ばしにいくことができるのはちらつき鬼火にはないメリットで、Yorion&Taxesに噛み合う利点だと考えます。

・玻璃池のミミック

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3マナのクローン/タップイン青マナ土地の両面カードです。どちらも十分なスペックとは言えませんが、護衛募集員で探すことのできる青マナ源には価値があります。ヨーリオンをプレイして護衛募集員のブリンクさえすればアドバンテージは補填できるので、青マナが足りない時や、絶対に5マナまで土地を伸ばしたい時に選択肢として意味を持ちます。
弱い土地としてプレイした場合もちらつき鬼火でブリンクすれば、ほぼちらつき鬼火として戻り戦線を構築してくれます。

・狼狽の嵐

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DoomsdayReanimatorなど、スペル経由コンボとのマッチアップを改善するためのカードで、「特定の呪文を通さない」という目的において優れています。「2マナでケアできる」という弱点については、2ターン以降ヘイトベアで拘束することのできるDeath&Taxesの構造がカバーしています。


その他青霊破、ハーキルの召喚術、船殻破り、呪文捕らえ、アゾリウスの造反者ラヴィニア、金粉のドレイク、聖トラフトの霊、アボレスの落とし子、拘留代理人、基本に帰れなど特異性のある候補には事欠きません。狼狽の嵐翻弄する魔道士により苦手な高速コンボ相手のマッチアップを改善できますし、青だけの役割を多く持つ青白型は可能性を秘めているとは言えます。ただし、赤白型のようにデッキパワーを底上げするような追加戦力に乏しいことは否めません。
紅蓮破が当たる色という弱点はありますが、基本白単のDeath&Taxesに対してサイドボーディング後に残しておきたいかは微妙なところでしょう。

・緑白

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はじめに、レガシーにおける緑のクリーチャーは緑の太陽の頂点土地あってのものだと考えています。ドライアドの東屋エルフの開墾者、聖遺の騎士のような代表的なクリーチャーはデッキ構築に負担を強いり、Death&Taxesにそのまま採用しても強さを発揮できません。それでもMarveick秋の騎士やクァーサルの群れ魔道士、漁る軟泥、改革派の結集者、ガドック・ティーグなどの優秀なシルバーバレット要員を多く擁していましたが、近年はほぼ白単で代用可能になりつつあります。簡単に言えば「緑の小型クリーチャーでできること」でありながら「Death&Taxが必要とすること」の範囲は、すでに白単でほとんど完結しているということです。花の絨毯窒息のような代表的な緑のサイドカードについても、すでに有利なマッチを過剰に対策することに魅力を感じませんでした。今のところ、タッチカラーに緑を選ぶ価値は薄いように感じます。


・総括


今のLegacy環境に赤白Taxが発生した背景は「月の大魔術師赤霊破が強い」ということもありますが、根本的な理由はDeath&Taxesが80枚になりマナ基盤に余裕ができた、という点にあります。60枚のころ、24枚を占めていた土地の1/3は不毛の大地リシャーダの港という合計8枚の無色土地でした。単色デッキでありながらマナ基盤に脆弱性を抱えた60Death&Taxesは、元々タッチカラーをする余裕はなかったのです。


したがって、80Taxが主流となりマナ基盤に余裕ができた今、改めてタッチカラーの検討をすることには価値があると信じてこういった記事を書いてしまいました。載せてあるリストはまだ研鑽されていない粗削りなものですが、この記事で新しい2色のDeath&Taxesに興味を持った人は是非改善してください!(各リストの名前をクリックして個別ページに飛ぶと、検討中のほかのカードも見ることができます)

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

さつ

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