Rの軌跡 第七話「文化祭」
校内では生徒会長。校外ではバンドマンという二重生活を謳歌する僕。
それはまるで普段はうだつの上がらない新聞記者だけどピンチとなると電話ボックスに入り、マントを装着し、ビュンと現場にひとっ飛び。さっと解決して立ち去る。スーパーマンのようだった。お名前は?名乗るほどのものではありません、にやり。そんな感じ。
校内清掃、避難訓練、体育祭の司会などあらゆることをそつなくこなし、いよいよ文化祭が目前に迫ってきた。
職員室の扉の前に立つ。深呼吸。扉をそっと開ける。
僕:O先生。折り入ってご相談がありまして。
O先生:うん。まあ座れや。
僕:ありがとうございます。実はですね、
O先生:ライブやろ?文化祭の。
僕:はい。そうです。やらしてもらうわけにはいかないでしょうか。
O先生:前例が前例やからな、、、ま、でも生徒会長よーやってくれてるし、一回校長に相談してみたるわ。
僕:本当ですか!ありがとうございます。ぜひ何卒よろしくお願いします!
後ろ手でゆっくりと扉を閉めて僕は職員室を出た。何とか一歩前進。あとは校長先生にかかっている。頼むぞ運命!
そしてその数日後。
O先生:F~。こないだの話やけどな。
放課後にO先生が教室へやってきた。ゴクリ。僕は先生に聞こえるんじゃないかというぐらい大きな音を立てて生唾を飲み込んだ。
O先生:OKや。
僕:へ、え、あ、え、そ、え?ええー!いいんですかー!
O先生:ああ、特例や。政治活動が実を結んだな。校長もほめとったぞ。
僕:ありがとうございます!
僕はいてもたってもいられずメンバーへ報告しに行った。
O先生:走るなー、廊下ー。
やった、やった、ついに、文化祭でライブができる!
メンバーも一緒になって喜んだ。なんだかわけがわからないけど政治家が国を動かすってこんな感じなのかと思った。自分たちのやりたいことができるってこんなに幸せなんだ。
歓喜に沸くメンバー。どの曲をどの順番でやるかなど想像に夢が膨らむ。
メンバー:ところでさあ、
僕:ん?
メンバー:音響って、どうするの?
全員:・・・・おんきょう?
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