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持続可能な開発とは何か

人類は従来のままの経済成長を続けることができるのであろうか、あるいはそれを目指して良いのであろうか。経済成長は、環境問題や社会問題を多く引き起こしてきた。とりわけ、先進国と発展途上国との間の経済格差は大きく広がり、従来の経済モデルが正しいものであったのかは見直す必要が出てきている

このような従来の価値観に対する疑問から生まれたのが、「持続可能な開発」という考えである。持続可能な開発とは「将来世代が自身のニーズを満たす能力を損なうことないよう、現代世代のニーズを満たす発展」と定義され、この概念は、1987年に出版された “Our common future” において初めて提唱され、現代を生きる我々に対して、経済成長だけでなく、環境や社会への影響をも考慮し、将来世代に負債を残さないよう努力すべきことが主張されている (World Commission on Environment and Development 1987)。

とりわけ、持続可能な開発では、経済成長が人々の生活水準を改善させる一方で、長期的には地球環境への被害を拡大させてきたことを問題視している。それゆえ、成長ではなく、開発 (development) へのパラダイムへと移行する必要性を説いているのである。

成長と開発の違いについて、Daly (1996) は前者が量的な増加を示す言葉であるのに対し、後者は質の改善を示す言葉であると論じている。つまり、従来の物質の量的豊かさを求める社会から、生活の質を高める社会への変革を持続可能な開発は求めているのである。それでは、そのような状態は具体的にはどのような状態なのか。

Daly (1990) は持続可能な開発の原則について、以下のように述べている。第一に、再生可能な資源を利用する割合は、その再生速度と等しくあるべきであること、第二に、再生不可能な資源を利用する際には、再生可能な資源を持続可能なペースで利用することで、代用できる程度を超えてはならないこと、第三に、汚染の排出割合は、それが排出される生態系の自然の同化容量と等しくあるべきであること、である。

References

Daly, H. E. (1990). Toward some operational principles of sustainable development. Ecological Economics, 2(1), 1-6.

Daly, H. E. (1996). Beyond growth: The economics of sustainable development. Boston: Beacon.

World Commission on Environment and Development (1987). Our common future. Oxford: Oxford University Press.

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