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料理の失敗談

当時は「うわぁー!やってもーたー!」と慌てふためいて
後日、飲み会でのネタにしていた出来事も
いつしかすっかり忘れてしまう。
そんな失敗が、料理に関してもあったのを思い出した。


事件発生の背景

大学卒業後に新卒で入社した会社では、3週間ほど本社での研修があった。
研修後の配属が本社以外の場合
研修期間中は本社近くのウィークリーマンションで暮らす
ということになっており、私もその1人だった。


それまで実家暮らしで、母は専業主婦
私自身あまり興味がなかったのもあり
料理を最初から最後まで自分でするという経験がなく育ってきた。

社会人になり、初めての1人暮らし。
配属先も実家から離れていたため
仕事はもちろん、家事にも早く慣れていかねばならない。


利用したことのある方はご存知かもしれないが
ウィークリーマンションには備え付けの調理器具がいくつかある。

1週間ほどなら、それらを使わず
食べて帰る、お弁当等を買ってくる、で済ませていただろう。

しかし、3週間という微妙な滞在期間。
健康面と金銭面への考慮
何より、手際良く料理ができる人に早くなりたい!という意気込みから
最低限の調味料を揃え
初心者でも使いやすそうな食材等を買うようにしていた。

そんな、かれこれ数年前となる研修中のとある晴れた休日、事件は起きた。

事件の詳細

スーパーから帰り、お昼ご飯を作り始めた。
と言っても、食材と○○の素とを加熱するのみ、だが。
麻婆豆腐だったか、中華系の1品だったと思われる。

だんだんフライパンの中身がそれなりの見た目に近づいてきたものの
温め不足で生死をさまようことがあってはならないと
箱に記載された時間より長めに炒めていた。


あともう少しかなと思い始めた頃。

「シューッ」という音とともに
フライパンから何やら白いものがもくもくと上がってきた。

右手で菜箸を動かしたまま数秒ほど見つめた後
これは!と咄嗟に火を消したものの、既に遅かった。

白いもくもくは、咄嗟の抵抗も及ばず
天井の丸いスイッチのようなところへとのびていく。
そして、けたたましい音が鳴り始めた。


たしか、管理人のような方が部屋にすっ飛んで来られたはずだ。
とにかく、そのときはこの上なく恥ずかしかったのと
部屋も自分も無事ですと伝えるのに必死すぎたゆえ
あまり詳細な記憶がない。

幸い、被害は昼ご飯が台無しになったのみだったが
爆音を轟かせたために、ご心配とご迷惑をおかけしてしまった。


少し落ち着いてから、会社のことが気になってきた。

入社早々、とんでもない失態を犯した。
入社したといえど見習い期間ゆえ、尚更この先どうなるのだろう…。
爆音で貴重な休日を邪魔された、という同期がいるかもしれない…。


しかし、次の出社日
個別の呼び出しはなく
火事かボヤ騒ぎがあったらしいと話す同期もいなかった。

同じマンションに住む同期数名には
休み中に火災報知器の音を聞いたか確認したが
出かけており、知らなかったとのことだった。

事件からの学びと変化

その後、初期配属地では借り上げマンション
本社への異動後は会社の寮
結婚を機に一般の賃貸住宅
と、幾度か住処は変わったものの
管理人さんにご足労をおかけしたのは、本件のみと思われる。

こうした事件を起こしたのが、ウィークリーマンションでなかったら…
と、考えると末恐ろしい。


この経験から
調理器具は、それなりに名の通ったところのものを使い
ダメになる前に買い替えることを心がけている。

また、直接の要因ではないが
必要な食材と加熱するのみの〇〇の素の類や
味のついたお肉やお魚は、買わないようになった。
量や、含まれている食材や香辛料等が、自身に合わないことが多い
ということに気付いたからである。

もちろん、何かあったときのためと
レトルト・インスタント・冷凍食品等は、多少ストックしているけれど。


生活環境が大きく変わり、大抵毎日料理をするようになり
作る品の数や種類は、事件を起こした頃の何倍にもなった。

しかし、焼きそばが短い麺ばかりになったり
刻んだ食材をシンクへぶちまけたりと
失敗が絶えることはない。

まだ子どもが幼いのもあって
できる限り、大人も子どもも一緒に食べられるものか
具材のサイズや味付けのみ違うものを作るようにする
というのが、ここ最近の取り組みである。
麻婆豆腐は、そのうちの1つだ。
よくぞここまで成長したものである。

そうして、もっと手際良く
もっと美味しいものが作れるようになろうと
台所で試行錯誤する日々を送っている。

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