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車内広告を見て人間のサブスク、について考える

土曜日、電車にボケ~と乗っていたら車内広告に目が止まり、眺めているうちにモヤモヤしてきた。

別に青木崇高にはなんの恨みもない

「未経験から、正社員型雇用のITエンジニアに。」
「ITエンジニアの無期雇用派遣サービス」

派遣なら派遣って堂々と謳えや!!

とモヤってきてしまった。
正社員型雇用、ってなんだ。型雇用ってなんだ。
無期雇用のフォントが大きいのもムカつく。
派遣サービス、のフォントがちっさいのもムカつく。

大体、派遣社員の3年縛りルール(2015年の労働者派遣法改正(改悪という人も多い))って本来は派遣社員から正社員への雇用促進、非正規労働者を減らそう、が建前だったはず(もう十年近く経ったのか!)。派遣社員は同一部署で3年以上働けないってやつ。でも実際は3年経ったら他の派遣社員に置き換えるだけ。勿論いろんなパターンがあって、派遣先の正社員にめでたくなれる人もいる。実際に友人にも1人いる(30代)。
でもそれは私が知る限りレアケース。
あとは派遣先の無期雇用パート・アルバイトになるパターン。このパターンは時給労働であることに変わりはなく、永遠に時給労働。 てことはケガしてもインフルエンザになっても欠勤したらその分の給料は出ないってこと。もちろん賞与も退職金も無い、というか賞与と退職金は時給に含まれています、というのが前提で契約書に書いてある場合が多い(ホントかよ、という時給であることが多い。低い方でホントかよ、である)。

実際に私が過去に派遣会社を通して派遣先から言われたことがあるのは、直接雇用のパート契約(1年契約だった)をしませんか、ってやつ。ちなみにそれまでは通常の派遣契約と同じく3ヶ月更新。
あなたの働きぶりが良いので直接雇用のお話があります、の前置きは良かった。だけど、よくよく話を聞いたら「パート契約」であり「時給が百円下がる」ってこと。そして「お時給は下がりますが無期雇用ですから♡いかがですか?」と。
そんな契約条件を誰が飲むんだ、と思うかもしれないけれど、意外と飲む人は多い。3年後にまた違う職場になることや、不意の契約期間終了に怯える不安、というものはそれだけ派遣労働者にとっては大きいということ。その不安と引き換えに、もっと安く働け、というキョーハクに感じて、ヒジョーにアタマに来てその会社は辞めてしまった(正確には派遣の契約更新をしなかった)。

車内広告に戻る。

正社員型雇用、というのは恐らく、3年が過ぎても同じ職場で働けるし、厚生年金にも入れるよ、健康保険もあるよ、ということなんだと思う。そして時給労働ではなく、時給換算を元にした月額固定給なのかもしれない。今そういうとこ増えてる。月額固定給は魅力だけど(例えば風邪引いて休んでも電車が遅延しても固定給は引かれない)賞与も退職金も昇給も無いのは一緒なんだと思う。そうでなかったら「型雇用」ではないからだ。「無期雇用派遣」ではないからだ。
この場合「無期」に雇用してくれるのは派遣先の会社ではなく、派遣会社だ。リクルートエージェントやリクルートスタッフィング情報サービスとやらだ。パソナやスタサやアデコやテンプ、それらは大手の一角で、他にも建設系介護系倉庫系、派遣会社はピンから切りまでこの日本社会の隅々にまで蔓延っている。その派遣会社に無期雇用されて1つの会社に居られる人はまだいいけれど、そうでない場合は色々な会社をたらい回しにされて(派遣が集まらないクライアント会社(=人が集まらない・続かない何らかの問題がある会社が多い)に補充として無期雇用派遣社員が派遣されることがある)、死ぬまであなたは派遣労働者だよ、派遣切りにはならないよ、おめでとう!みたいなヤツだ。腹立つ。

いや、悪いことばかりではなく、もし派遣先との契約が突然終了したら、次の派遣先が決まるまでの待機期間、派遣会社が給料を負担しなければならない。そこがメリットかな。でもそれは多分会社にもよるけど全額ではなくその派遣社員の能力に応じた平均的な時給の6割〜8割位かと思う。6割ならば手取り20万なら12万てこと。
そしてどんなに派遣先でいい仕事したって、それが次のキャリアに引き継がれることはほぼない。もちろん例外はあると思うけど。。。ぶっちゃけこの広告を見て、私は
『正社員ぽく働けるよ、という吊り広告、実体はサブスク定額使い放題の派遣労働者募集』、としか受け取れなかった。

ところでこの青木崇高のドヤ顔を見ていたら、この人は雇用する側なのだろうか、それともされる側なのだろうか?と気になった。気になって調べてみたら、こんなサイトがあった。

で結局どっちなのかよくわからないというか、どうやら派遣先の会社でもなく雇われる側の無期雇用派遣のITエンジニアでもなく、派遣会社の人のようだ!!
ドヤー!なるほどね!!
しかしこの深堀りがさらに私をモヤらせることになろうとは。

青木崇高のCM撮影エピソードに添えてあった、完成した広告写真を見て、違和感。

ん?

ああ、下の黄色い広告は電車内広告と同じヤツだな、とぼんやり眺めた。
しかし、しかーし!よく見ると違っていた。

う  お い!

「型」が! 私をモヤらせた「型雇用」が、ない!


そこには

『未経験から、 正社員雇用の ITエンジニアに。』

とあった。

いや、本来こっちで広告会社が作成してOK出したけど、いざ出稿して世の中に出す段階で(こ、これはマズイぞ)となって『型』を付け足したのだろうことは容易に想像が、、、つき過ぎて更に腹立ち倍増。

どうせなら
 画像も直せよ 
  リクルート。

一句出来てしまったぜ、、、
詰めが甘いぜ、、、というかそんな細かいこと誰も気にしないのだろう、かな。(ちなみにこのインタビュー記事は2024/3/18公開)

なんだかんだ私は、会社勤めは好き(仕事は好き)だけど正社員には向いてないと思っている=派遣社員で良かった、と思っているクチなので、別に一生派遣でもいい。
だけど、いかにも未経験からIT業界で正社員になれる、みたいな胡散臭いコピーはムカつく。そうやって手に入れたピチピチでムチな若い労働力をサブスク感覚で使い倒すんだろ。派遣労働者を使い倒す会社が自分達の血を流さずに得をするシステム、それがこの無期雇用派遣サービスなのだから。

サブスクリプション(英語: subscription)は、月単位または年単位で定期的に料金を支払い利用するコンテンツやサービスのこと。
商品を「所有」ではなく、一定期間「利用」するビジネスモデル。日本ではサブスクとも略される。

出典∶Wiki

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