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これが俗に云うコメディですか!?!?

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え、違う!?!?
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たのしい読み切り小説#2「面接」

「それではまず、お名前を教えてください。」 「はい。田辺麗子と申します。」 田辺は、緊張で自らの手が震えているのが判った。 だが、私には「ここ」しかないのだ、落ち着け。今はただ、できることをやるしかないのだ────と自らを諭し、小さく呼吸を整える。 「田辺さんですね。当社の社員募集にご応募いただきありがとうございます。本日はよろしくお願いいたします。」 田辺は、よろしくお願いします、と会釈を返した。 二人の男性の面接官のうち、痩せ型の方が、眼鏡を人差し指でくいっと掛け直し、

たのしい読み切り小説#1 「バタフライエフェクト」

夜の京葉線の中、ふと、目を覚ました。 開いたドアから吹き込んできた風の冷たさに、列車が駅に着いていたことに気づく。慌てて車内の表示を確認すると、幸い降りる駅を寝過ごしてしまったという訳ではなさそうだった。 しかし、なんだかとんでもない夢を見ていたような気がする。そのせいか、一瞬、自らが帰路にいることさえも忘れてしまっていた。 平気なつもりではいた。しかし今日は仕事上のイレギュラーが多く、それらの処理に追われた疲れが、今になって案の定どっと出てしまったのかもしれない。 そうこ