たのしい読み切り小説#2「面接」
「それではまず、お名前を教えてください。」
「はい。田辺麗子と申します。」
田辺は、緊張で自らの手が震えているのが判った。
だが、私には「ここ」しかないのだ、落ち着け。今はただ、できることをやるしかないのだ────と自らを諭し、小さく呼吸を整える。
「田辺さんですね。当社の社員募集にご応募いただきありがとうございます。本日はよろしくお願いいたします。」
田辺は、よろしくお願いします、と会釈を返した。
二人の男性の面接官のうち、痩せ型の方が、眼鏡を人差し指でくいっと掛け直し、