少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE エーデル- Delight@銀河劇場

もう1ヶ月前になってしまいましたが、オケコンに引き続きミュージカル観てきました。2月が劇場版コンサートと合わせてスタァライトを立て続けに浴びられたので、満足感がすごくありました。

初めてのスタリラ舞台は演出の妙と表現すればいいでしょうか、制作陣の、出演メンバーの持ち味と技術を全体で最大化できるように作品を構成して、今のメンバーにできる最高の舞台を作るという気合を見せつけられた気がしました。
まずこのエーデルディライトをミュージカル作品として仕上げるための脚本と演出が上手くて、かつそれぞれのキャストの持ち味を生かして魅力をアピールできる工夫をしているのが分かりやすく見えて、すごく面白かったです。また、舞台スタァライトの良さや愛情深さも感じました。

エーデルディライトの演出について思ったことを集約するとこの3点です。
◆舞台経験者の配置の潔さ
◆声優陣の声のインパクトを活かした場面
◆スタァライト史上一番濃い宝塚オマージュ

◆舞台経験者の配置の潔さ

この舞台に青嵐が必要だった理由がわかります。制作陣の青嵐3人への信頼度の高さがはっきりと見えました。
今回メインキャスト数がシークフェルト5人&青嵐3人&他3人と多かったのもあってか、幕開きと最後のレヴュー以外は各場面では2~5人くらいの少人数ずつが代わる代わる登場していくという流れでストーリーが展開していきました。
各場面に見せ場として歌&ダンスシーンのシーンがあるのですが、ほぼ全てのシーンで真ん中or主要どころに青嵐の誰か(多かったのが涼ちゃん)が入り、しっかり他のメンバーを引っ張ったり支えたりしつつ、客席に向けても歌とダンスでミュージカルとして魅せる場面にするという構成になっていて、青嵐メンバーのきらめきに改めて圧倒されました。青嵐以外ではメイファン役の竹内夢さんも綺麗で通った歌声で活躍されていて目立っていたのを覚えています。
この潔いくらい全面的に舞台経験者にミュージカルパートを託す演出は、舞台経験がない/少ない出演者も多い(しかも想像ですがコロナ対策で稽古も制限があったであろう中)今回のカンパニーではすごくプラスに働いていて、実力的に押さえるところがちゃんと押さえられていたので結果的には舞台経験者だけでなく他の人の歌やダンスも楽しく観られて、全編通して見応えがありました。

◆声優陣の声のインパクトを活かした場面

キャスト配置について語ってきましたが、ミュージカルでは上手い人が良いポジションに付くというのは結構普通にあることだと思っているので、すごく分かりやすくそういう構成にしていたのはツボだったのですが、その上で声優の方々の武器である声を生かした場面を作ったことが特に印象的でした。
先日『千と千尋の神隠し』の舞台でも実感したのですが、スタリラもゲームでキャラクターの声を聞き慣れているので、耳慣れた声が聞こえた時のインパクトや求心力は絶大で、特に声優の方の声の声が聞こえると一気にスタリラの世界観に引き込まれます。
さらに、声で出演していないキャストまで演じられていて、(時間が経って誰が誰の声を演じていらっしゃったのか失念してしまいましたが)クオリティにびっくりしたとともに、この舞台に出演していないキャラクターの存在も感じさせてくれることに嬉しくなりました。これは声優の方々がいらっしゃったからこそできた技だと思います。夢が見られたと同時に、適材適所で活躍できる場面を用意している制作陣の愛も感じました。

◆スタァライト史上一番濃い宝塚オマージュ

これまでのスタァライトの舞台でも宝塚オマージュは結構色々ありましたが、吹っ切ったのか最初のシーンが清々しく宝塚で愉快でした。晶さんの背負ってた羽根の雉羽根が本物なのかが観劇したときから今でも気になってます。
宝塚のパレードって掴みとして完璧なんだなと改めて思います。華やかさな上に全員の顔が客席に向くので、出演者が一斉に認識できるしわくわく感が高まります。
この場面はとにかくクロちゃんと柳小春の男役が素敵でした。2人とも衣装がめちゃくちゃ映えてかっこよかったです。ペアのダンスもエスコートぶりが楽しかったです。娘役陣の中では氷雨と涼の階段を降りる時のドレスさばきが綺麗で、目が行きました。
作品的には、劇場版でも宝塚がモチーフの新国立第一歌劇団が世界最高峰のカンパニーとされている世界線なので、高校生の晶が観客を楽しませるためのオープニングアクトのアイディアとして宝塚っぽいショーを選ぶということはありそうと解釈しました。あと、宝塚のショーは明確に序列が存在するので、トップを自認する晶にとっては都合が良さそうです。
一幕ラストも宝塚を踏襲した階段降り演出になっていましたが、ここで晶がトップスタァとしての一人降りではなくミチルと一緒に降りてきたのは、レヴューを経た晶の相方を思う心の現れだと思うとちょっと楽しくなります。
最後に一番主張したいこととして、3組目のペアとして私は南風涼ちゃんの男役が観たかったし氷雨と組んで踊ってほしかったと書き残しておきます。絶対似合うし格好良い。

今回演出が楽しくてそちらにばかり意識を向けて観ていたので、キャラクター観点での感想が乏しくなってますが、気になった方々についてです。キャストの感想とキャラクターの感想が混ざってます。

キャスト感想

雪代晶@野本ほたるさんはまず主役という立場が納得の存在感です。身長が高くてかっこいいので真ん中が似合うし、レヴューで武器を振り回していると迫力があります。キャラクター的には、自分のできないことに自覚的だったのが意外でした。その上でエーデルの頂点である雪代晶として存在するためにはどうあるべきかを考えて、だいぶ強引ですが思い描いた雪代晶像を具現化しようとするところに、ミチルと志を共有している絆を感じます。スタリラのストーリーを踏まえて今回の舞台を観ると、ミチルが晶を押し上げようという思いは一方的なものじゃなく晶も晶なりに応えているという気がしてきたのが良かったです。
夢大路文@倉知玲鳳さんは晶にとってのファム・ファタールでした。倉知さんの芝居が、存在感や雰囲気は柔らかいし優しいのにどこか心に刺さるところがあって魅力的で、晶にとって大きな存在だったことが分かる気がします。レビュー服がStarryDiamondの時から左肩のデザインが変わってすっきりしたのも良かったです。
今回のストーリーは、ミチル、文、氷雨たちとの関わりを通して雪代晶のキャラクターを浮き彫りになっていって、これまで見えなかった晶の一面が見えてくるというのが面白かったです。

青嵐の3人はスタァライトの舞台に欠かせない存在になってきてます。
柳小春@七木奏音さんのお芝居は元々好きなんですが、今回等身大の女子高生らしさにスポットがあたって、周囲の人とも絡みも多くて可愛い感じでした。大体は困り顔でしたが。後輩を仲裁しようとするシーンの姉っぽさ、上級生っぽさもこれまであまり描かれてこなかったように思うので、小春も#2と青嵐公演を経て周囲との距離感やコミュニケーションが変わっているところに成長を感じます。あと同じシーンのダンスが力強くてしなやかで見応えがありました。
南風涼@佃井皆美さんはムードメーカー力が爆発してました。そして歌いまくり踊りまくりの大活躍で周りを引っ張っていたのがかっこよすぎました。涼のように自然体で周囲に溶け込んでいくキャラクターって意外に他にいないので、複数のキャラクターをつなぐハブになっている役どころとしても存在感を放っていて素敵です。涼のダンスは動きが大きく鋭いので他のキャラクターと同じ振り付けに見えなかったです。
穂波氷雨@門山葉子さんは、孤独属性を持つ人を放っておけない性格なんだなというのをこの作品でやっと理解しました。美しい歌声が目立つので歌のイメージが強かったのですが、今回は晶に対峙する時の真っ直ぐで温かみのあるお芝居が印象的でした。レヴューシーンは数少ない晶側ですが、母親役を演じながら登場したときに美声も相まって妙に迫力があって目を引きます。歌については二幕に見せ場があって嬉しかったです。

シークフェルトの中ではメイファン@竹内夢さんがコメディっぽい役割を担っていたことも相まって体当たりな演技で良かったです。今回はストーリーが晶&ミチルにフォーカスされていたので出番が少なく感じましたが、歌声がとても綺麗なので次は歌唱シーンをもっとたくさん見たいです。
クロディーヌ@相羽あいなさんは出番が少ないにもかかわらず出てきた瞬間から存在感があってさすがですし、実力もあって安心感があります。天堂真矢がいないのに天堂真矢の話をしているのは安定でした。今回の舞台で語られた真矢クロの関係性すごく好きです。

ライブパート

スタァライトおなじみの二幕のショーは今回も楽しかったです。
特に大好きなのが晶&氷雨バージョンのRose Poemsで、見た目も歌も本当に素晴らしくて聴き応えがありました。晶&栞バージョンとは全然違った魅力があり、今回のスタリラ舞台特別版として聞けてよかったです。
晶&氷雨のRose Poemsは氷雨の強くて芯があるヒロイン的な歌声の魅力が存分に発揮されていて、氷雨が主役の曲になっていました。原曲のパート分けもメインの旋律はヒロイン側が歌っている印象が強く、モチーフとなっている美女と野獣の主役もベルなので、氷雨が主役として存在すると安定感と納得感があります。その氷雨と組んだ晶の印象も変わって、引っ張るというよりはベルを受け止める野獣としての大きさや温かさを感じて、こんな雰囲気も持っているのかと思いました。
絶賛してますが、私はStarryDiamondの晶&栞のビジュアルと身長差が完璧でなんとなくよそよそしさのあるところから始まって打ち解けていくというストーリーを感じるRose Poemsも好きです。
ゼウスの仲裁もメンバーが追加されててにぎやかで楽しかったです。クロちゃんが天堂真矢のことを歌うシーンの「嫌な女よね」の部分で小春と目を合わせて頷きあってたのが可愛かったです。

初のスタリラ舞台は楽しくて愛があってスタァライトを堪能できる作品でした。
次回は6月の朗読劇が楽しみです。
舞台#3でも劇場版でも九九組が卒業を迎えた今、一段落して新しいイベントの企画スピードが落ちるのは理解しているのですが、スタァライトは二層展開式少女歌劇とぶち上げているので、やっぱりライブのイベントを観たいなあという気持ちになります。
あと円盤化もおめでとうございます。#3も円盤化発表以来音沙汰がないので、合わせて早く発売してほしいです。鉄は熱いうちに打ってください。