商品か機能か#3:セット販売の問題性(3/5)

 抱き合わせ販売ないしはセット販売には、メリットも多い。PCにあらかじめ基本的なアプリケーションソフトがインストールされていれば、買ったその日からPCを駆使できる。旅行に出かけるのに、歯ブラシとデンタルペーストの両方が一緒になっているのもありがたい。自動車を購入する際、タイヤやホイールはちゃんとついてくるはずだ。
 いずれも顧客が望んでいることだ。
 しかし、セット販売で購入した商品の片方が消耗品であったらどうだろう?商品の消耗のタイミングが違っていたらどうだろう?使い終わった商品や使えなくなってしまった商品を新たに購入しなければならなくなる。そのとき、セットでなければ購入できないとしたらどうだろうか?とても不自由を感じるはずだ。
 つまり、セット販売(抱き合わせ販売)が顧客に望まれるのは商品ごと別々に購入できることが前提となっていることに気付く。
 抱き合わせ販売やセット販売は、そのかたちでしか購入できないとすれば、不自由だし、いらないものでも買う羽目になる(不要商品強要型抱き合わせ販売)。
 抱き合わせ販売やセット販売の問題は、いらない商品を押し付けられるからだけだろうか?実は、そのほかにも問題がある。とても人気があってみんなが使っているアプリケーションソフトがあったとする。このアプリケーションソフトを開発している会社がもう一つの別のアプリケーションソフトを販売していて、そちらの方はイマイチ人気がない。
 あるとき、この会社は、二つのアプリケーションソフトを一緒に販売することにした。もちろん、この二つのソフトを売りつけられた顧客は、人気のソフトのみならばまだいいかもしれないが、人気のないソフトを押し付けられ迷惑を被る。それだけではない。人気のないソフトと競合する他の会社のソフトの売り上げに影響を及ぼすことにもなる。人気のソフトの影響力が大きければ大きいほど人気のないソフトと競合するソフトが影響をうけ、売り上げを減少させることになるだろう(競争者排除型抱き合わせ販売)(2023年4月記)。

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