【随想】何のための審議会か?#1−行政施策に民意を反映させるいくつかのルート(1/4)

 新年早々、東京新聞の一面を飾ったのは、地方自治体における審議会のあり方に関するものであった(東京新聞2018年1月4日1面)。記事の内容は、行政施策を議論するために設置された審議会において、都道府県議会の議員がかなりの割合で兼務しているという実態を告発するものであった(「審議会兼務問題」)。同紙によれば、全国の都道府県の県議会議員定数合計2687人のところ、全国で延べ1243人の兼任が認められ、このうち15%を東京都議会が占めており、また、関東の一都六県では4割近くに上るという。
 ちょうど昨年後半から、わたしがつとめている神奈川県の消費生活審議会の意義やあり方について、いろいろと考えさせられる一連の経緯もあり、いつもならスルーしそうなこの記事がいやがおうにもわたしの目に止まらざるを得なかった。この記事の問題の前提ないし背景は、行政をチェックするはずの議会ないし議員が、行政の附属機関である審議会に参加していることであり、このような事実が行政との馴れ合いをもたらし、ひいては議会の監視機能を形骸化させることのではないかという懸念である。
 幸い(?)、わたしが所属している審議会には「審議会兼任問題」はない。だが、わたしは、たまたま昨年以降、神奈川県の消費生活条例の改正をめぐり、消費生活審議会の意義や位置づけについて、否、審議会にとどまらず、より広くはパブリックコメントの意味や議会の役割など、行政施策に民意を反映させるために存在するルートについての問題に直面していたのであった。
 発端は、2017年12月5日の神奈川県議会本会議における、神奈川県消費生活条例の改正に関する質問に対する黒岩祐治県知事の答弁である(2018年1月5日記)。

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