【随想】消費生活センター条例化の課題#4−条例化の手法と組織(4/10)

 消費者安全法の今次改正を受けた消費生活センターの条例化につき、県として、法型式の上では2つの対応が考えられる。まずひとつは、既存の神奈川県消費生活条例の改正により消費生活センターに関する規定を条例に追加する方法、いまひとつは、たとえば「神奈川県消費生活センター条例」のような消費生活センターの設置を定める条例を新たに制定する方法である。消費者庁が公表している「改正消費者安全法の実施に係る地方消費者行政ガイドライン」(平成27年3月)は、「条例という法型式であれば、設置管理条例、消費生活条例等の形式・名称は問わない」とし、「条例において規則に委任した上で、具体的な事項は規則で定めることも可能である」と述べている。同ガイドラインは、都道府県はもちろんのこと、市町村においても条例が制定されることを念頭に、とにかく消費生活センターに関する最低限の事項の条例化を優先したものであり、すでに消費生活条例に基づいて相応の規模で消費者行政を展開し、かつ、それなりの実績を有する神奈川県のような地方公共団体が制定する内容としては不十分である。
 なお、神奈川県の消費生活審議会で県によって示された素案によれば、消費生活センターの組織および運営等に関する新たな条例(上記ガイドラインにいう消費生活センターの「設置管理条例」のようなもの)を制定する意向とのことであった。
 神奈川県は、今回の条例化にあたって、県の消費生活センターの体制ないし組織をこれまでと変わらず、県民部消費生活課を消費生活センターとし、名称もこれまでどおり「かながわ中央消費生活センター」とする意向のようである。現体制ないし組織になったのは、2010年(平成22年)に消費生活相談と消費者教育および事業者指導の連携を強化するため、消費生活課をかながわ県民センターに移転し、それまで相談業務を担っていた消費生活課横浜駐在事務所と統合し、課全体を「かながわ中央消費生活センター」とした時点に遡る。
 消費生活センターの相談業務等の実施・運営形態には、①直営型、②出先機関型、③民間委託型が考えられるところだが、県は今後とも消費生活センターを本課に置き、①の形態を引き続き採用することとした(2015年12月5日記)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?