【随想】電車の忘れ物はこうして戻ってくる!
先日、購入したばかりのスマートフォンを電車の座席に置いたまま降りてしまった。いつもなら手に持っているか、カバンの定位置にしまっておくのだが、疲れていたのかもしれない。うつらうつらいくつかのメッセージに返信したまま、そのあとちょっと記憶がない。すっかりカバンのなかに入れたものだと思っていた。
なんの疑いももたずに電車を降り、帰宅してはじめてスマートフォンがないことに気づき、眠気もふっ飛んだ。終電ではなかったものの、時間も遅かったので、窓口は当然しまっている。諦めるか?窓口が開くまで待つか?とにかくできるだけのことはしておこうと自宅でPCを開いてやや思案した。まずは乗車した電車の時間と乗降駅、そして行き先を思い出すことだ。
わたしはたまにこのような失態をしでかすタイプなので、乗車する電車の時間と行き先は覚えるようにしている。たしか電車の行き先は東海道線・平塚駅。ダメ元で直接電話をかけようと試みる。が、駅直通の電話番号は公開されておらずかけられない。忘れ物窓口は午前8時から受け付けるとのこと。
そういえばスマートフォンのGPSを使って所在場所を探索できることを思い出した。調べてみると、どうも平塚駅のホームにあるらしい。始発と同時に動き出したら電車のなか、動かずホームにあるなら事務室などで保管されている可能性が高いということか。
そこまで確認したところで、「JR東日本忘れ物チャット」というたいへんよくできたサイトを発見した。これがなかなかの優れもので、質問に答えていくだけで忘れ物の特徴などが登録され、これに該当するものがあれば、翌日、駅からメールで連絡がくるというものだ。スマートフォンの機種、携帯キャリア、カバーの形と材質、さらには待ち受け画面の画像等々、とにかく忘れ物の特定に必要な諸々の特徴が聞き出され記録される。
始発が動く時間になっても、平塚駅にあるわたしのスマートフォンの位置は動かない。「間違いなく、これは駅で保管されているな」とやや安堵して、スマートフォンが手元にない不便さを感じながら、「忘れ物チャット」からの返信を待つことにした。
翌日の正午過ぎ、チャットから返信がきた。平塚駅に保管されていうので、受け取りに来て欲しいとのこと。深夜の動揺からわずか12時間余りで解放されることになったのである(2021年7月5日記)。
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