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もう二度と看護学校に行きたくない。

「あなたはね、看護師向いてないよ。」


夢を目指している人に対してこんなことをよく言えたもんだと、今でも思うが、SNSやあるニュースでも近いこと、もしくはそれ以上のことも言われているのを知ると、自分だけじゃなくて"看護全体”がそうなっているんだと。


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ある実習の事前ミーティングをしていて、もう憂鬱になっていた。


実習自体が憂鬱なんだが、さらに増しているのが、その実習の担当教員が私のことが気に入っていないようで、結構厳しい”ご指導”してくれるのだ。


看護学校あるあるかもしれないが、先生に媚びたりする子が可愛がられると実習や学校生活で良い評価を得られる。


つまり、そういうのが苦手な子は嫌われるので、徹底的にやられてしまい、最終的に退学へと追い込まれるのだ。


私も媚びる行為が苦手だったため、可愛げないというどうでもいい理由でその担当教員から好かれていなかった。


だから今回の実習でのターゲットが私なのが決定しているため、憂鬱さが増していたのだった。


実習メンバーも私が今回のターゲットだと分かっているせいか、「今回の実習は単位取れましたわ。だって○○さんいるもん。」と裏で言っている始末。


もう味方はいない、かといって私も辞められないのだ。


私は社会人だったこともあり、資格を持っている強みを知っていたから食いっぱぐれない看護師免許を取得したいのと、学校の費用も無駄にしたくなかったから、やるしかない。


とにかく、教員の機嫌を損ねないようにしないと。。


~実習1日目~

最初は患者さんの情報収集がメインとなってくるので、それほど大したことは言われなかった。


私は隅々まで収集して「全然知ってないじゃない?」など言われないようにメモに記載していくが、他の子たちは要点だけメモしている。さっさとアセスメントに入る子もいた。


つくづく要領悪いことしているよなと分かっているが、どこで上げ足を取ってくるか分からない。とにかくメモを取ろう。


~2日目~

「あなた、多く書きすぎて何がしたいのか分からないわ。やり直し」


1日の看護スケジュールを教員に見てもらって、すぐに言われた。


え?まさかの書いている量の指摘かよと、逆に少ないと根拠は?とか詰めてくるくせにと一瞬で苛立たしくなる。


急いで消していこうとするも、何が不要なのか分からない未熟な私は対して消せず「う~ん。。」と悩んでいると。


「皆ナースステーションに行ったわよ。遅いわ。まあ、まだ2日目だし良いわよ。まずは患者さんと話してきて関係の構築と情報収集でもしてたら?話するぐらい人間なんだからできるでしょ?」と最後の一言は別に付け足さなくて良いのに、いちいち嫌味を言わないといけないらしい。


すみませんと苦笑いまじりで頭を下げて、教科書やプリントを実習用かばんに詰め込んでいく。プリントの一部がぐしゃっと潰れる音がするも直さずにナースステーションへ駆け込む。


~3日目~

そろそろケアを計画していく段階に入って来る。ここで根拠がきちんとしていなければ、することも出来ないんだが。。さすが気に入られている子は


「先生~、ちゃんと調べた結果これなんです!先生的にはどうですか???」とちゃんと作られた愛嬌で対応している。あと絶対調べてないでしょ。


下の名前でちゃん付け呼びして、にこにこと笑ってながら、「だめだよ~!まあ、参考にこれ見て。このケアの計画書よ。」”答え”を易々と教える。


この光景に気持ち悪さしかない。学生は媚びて、単位を取ってやろうという思惑が見え見えで、教員は教員にとってかわいい学生が頼られている『私、教えられているわ…!』という優越感に浸っている。


一方私となると「○○さん、なんですか?これは読む気にもならない。」と3時間もかけた計画書を数秒程度でやり直しになる。


何が良くないのかを言わないと訂正は出来ない。理由を聞こうにも「まずは自分でも読んでみなさい」だけ。


読んでも分かりませんでしたなんて、言ってしまったら『そう、なら分かるまで病棟に上がらないでね』という地獄が始まるだけ。


とにかく、ここの部分が悪いですか?と質問しまくる。


「はあ…。あのね。とにかく聞けば答え教えてくれると思ったの?意欲ないのね」わざと大きい溜息をし、ねえ、どう思う?とお気に入りの学生に問う。


苦笑いしながら、『○○さんも私と一緒で頑張り屋さんなんですー』内心ではそのままターゲットになっといてね。と思っているんだろう。


~4日目~

初の居残りになる。


実習には9時から始めるようになってるのでその前には1日の計画、前日出した課題を出していくようにするのだが、OKサインが出ないと病棟に上がれない。


つまり、もらえないと病棟には上がれないので欠課扱いとなる。実習には最低何時間はしないといけませんよという決まりがあるので、欠課の時間が長引くと休んでいる訳でないのに休んだ扱いになり、単位取得できないのだ。


さすがに私もあせるので、何とかOKサインをもらうように必死で計画の修正していると、


「あなた、病棟に上がりたいというのが見え見えよ。そんな状態で行けると思ってる?どんだけ必死なのよ。」フッとあざ笑う教員。


何を言ってるんだ?頭おかしいのか?単位の取得する以外に何があるんだというのか。


「すみません。。」と言うしかなかった、何に謝っているのかも分からない。


「まあ、もういいわ。これ以上時間がもったいないから、早く病棟行きなさい。あなただけにこんなに時間使ってられないの、皆に不公平でしょ。」


実際のところ、あの子のおかげで教員いないから、ラッキーだわと病棟ではのびのびしているだろうに。



~5日目~

私は9時前に病棟に入れた。


今日は別の子が集中的にご指導されていて、私は手薄になり、病棟へ上がれたのだ。


申し訳ないという気持ちもあるが、それ以上に良かったという気持ちがあって、ほんとつくづく嫌なやつだと思う。


皆は「今日はあの子だったねー。○○さんも良かったね!○○さんのは理不尽なところもあったけど、あの子のは単純に勉強不足だから自業自得というか。。」とフッとあざ笑う。


こいつらは私のときもこうやって言ってたんだろう。将来はきっとあの教員のようになってくるんだろうなとぞっとするが、看護の世界ではこういう人間がしぶとく残る。


そんな人間になりたくないが、私もホッとしている以上は同じなんだろう。


~6日目~

今日も私でなく、昨日と同じ子がターゲットにされていた。


流石に今日はまずいかなと思うところもあった。というのも、課題をしているときに疲労で寝落ちしてしまったのだ。朝になってとにかく多く書いとけば、調べた感が出るだろうと付け焼き刃な課題を提出しても「いいんじゃない」と。


ターゲットにされなかったらこうも違うのかと驚くが、それよりも「ほんとですか!ありがとうございます」とわざと笑顔で言い、ターゲットにされている子を横目で見て病棟で上がっていく私があまりにも嫌なやつで気分が悪かった。


けど、手を指し伸ばしたところで私もまた戻るかもしれないし、何より単位を取得したい…。がんばってほしいと願うしかなかった。でもその願いは本心なのか…?


~7日目~

昼ごろに教員が病棟に現れた。いつもならおそくとも10時ごろにあの子と一緒に病棟へ来るのだが、「あの子ったら、あまりにも勉強不足だったから学校で自主勉強してもらうことにしたわ。わざわざ送ったのよ、それで遅くなったわ。」


周囲の学生は「先生送ってあげたの、優しい~」と言っているが、いやどこが優しいんだよ。頭おかしいやつしかいないのか。


彼女が勉強不足の訳が無い。この中で1番勉強していることを知っている。


昨晩、lineを送ったのだ「大丈夫?」と。すぐに既読になって向こうから電話がきた。


「もう限界よ。。○○さんってこんな仕打ちうけてたんだね。」と声からも伝わる酷く疲労しているなと。


お互い寝不足というのもあり、寝落ちしないようにそのまま電話しながら課題を進めていく。先に終わった私は、流石に最後まで付き合える体力無かったので、申し訳ないけども先に寝かしてもらった。確か午前2時頃だった気がする。


私たちは未熟だから確かに間違っていたのかもしれない。けど、頑張りを分かっていないのは、教員としては最低なのでは無いかと、怒りを通りこして呆れてしまう。


~8日目~

とうとうあの子は、休んでしまった。もうすぐ実習は終わるのにそれでも耐えれなかったんだろう。


ターゲットがいなくなった今、再び私へターゲットに来るかなと思いきや、その日は何事も無く過ごせられた。


過ごせられたら、良かったんだけど。。。


休憩時間にやばい。。と鞄や服のポケットを探っている子がいた。


この時間は調べものをしているのが大半のため、周りを気にしないんだがあまりにも落ち着きが目に余るから、皆も手を止めてどうしたー?と聞き始める。マスクしていても分かるぐらいの蒼白していて、何秒か黙ってうつむいたまま、ボソッと『どうしよ。。メモ落としちゃったかも。。』


メモには患者の個人情報もあるため、落とすと当然個人情報の漏洩もあるため、訴訟の可能性もある。大げさかもしれないが、実際あった事例もあるから、そりゃあ顔面蒼白にもなる。


とにかく、教員への報告していくのと周辺に無いか探しに行く結論になり、私は教員の報告へ一緒に同行することになった。



『どうしよ。。これじゃ単位取得出来ないよね。。』単位云々の前に、まずは患者の心配を。。と思ったが、実際同様の立場になったら、単位のことを考えるだろう。そのためにやっているのだから。


「ねぇ、2人!早く休憩室に戻ってきて!教員が呼んでる!」


あぁ。。と小さく声をもらす彼女。終わるのは分かっていても、現実で起こるとなると、理解が出来なくなる。


本当は走って戻らないといけないんだろうが、行きたくないが故にとぼとぼと歩く。それに痺れを切らしたのか彼女は引っ張られていく。


それを少し見届けて、私も走っていく。


『メモを落としたようですね?スタッフさんが拾ってくれたそうです。あとでお礼言っておくように。あと、インシデントレポートも書いとくように。』


あまりにもあっさりしすぎて、さすがお気に入りの子だなと感心してしまったが、


『皆もインシデントレポート書いてもらうわよ』


はい? 別に落としたやつだけが悪いとは思わないが、なぜこちらも書かないといけないのかモヤモヤはしてしまう。


~9日目~

もう実習に関係が無くて笑えてしまう。本当にマスクしてて良かった。


私のインシデントレポートが気に食わないらしい。ほかの子たちは受理されている、そして当の本人も早くに受理された。


実習も終盤になり、看護過程も終わってしまった今は、こういうのでしか私を𠮟れないだろう。


出席時間もクリアしているから休むのも有りだったが、逆に負けた感じもして癪だったから実習に来ていた。


訳も分からない言い掛かりをつけているが、私にはもう可哀想な人しか思えなくなる。


とにかく、すみませんと泣きそうな素振りをしとけば満足するだろう。


~10日目~

『あなたのインシデントレポートから全く改善しようとする姿勢が見られないのよ』


次の難癖は、これらしい。正直落としたのは違う子なのにどう改善すればいいんだろう、グループの落とし物無いか日頃から見ときますってか。意味分からない。(私自身はメモに伸びる紐?みたいなので繋いでいる)


さすがに私も腹が立ってきて、反抗したら相手の思うツボなので、ボイスレコーダーで録音することにした。最初から録音しとけば良かったと反省する。


『そもそも元からあなたの態度気にくわない』『私の言う事聞かない』『良心が無い。』『どういう育ちをしたら。。。』出てくる、出てくる今の私にとっての都合のいいワードの連発だ。


そういえば、母親の知り合いに弁護士いたっけ?聞いてみよう。


~11日目~

あの教員が私に対してあまり特別なご指導しなくなった。あまりにも昨日とは態度が違うため、周りの子も違和感を感じている。


『今日は何も言われなくて良かったね、○○さん!いつも理不尽な事を言われていて、心配してたんだ~。』と心配なんてしてないのが見え見えな薄っぺらい言葉をかけられる。


もともとこいつがメモ落としてこうなったのに、せめて実習おわるまで反省しとけよと思う。


こういう子は看護業界で、強く生き残るだろうし、こうでないとダメなんだろう。でもこんな人が患者を救うなんてと思うと、なんともいえない気持ちになった。


優しかったり、本心から人のためにがんばろうとする人はすぐにつぶれちゃうのだ。


病棟へ上がる道のりまで、辞めていった優しい友人や、来なくなった彼女を思い出して、駆け走っていった。


~12日目~

『この子たちは今回の実習で大きく成長しました…』


最後のカンファレンスで、良い言葉を並べて『全体的に良かったよね!この実習は!』という雰囲気にしようとしているのに気持ち悪い。


けど、私も同様なことを述べて発表しているから、自分自身にも気持ち悪くなる。


更衣室のロッカーの鍵を返す時が1番、この実習終わった感を実感出来るのだが、この教員の実習の時は格別にこの実感を得られる。


けども、まだ終わっちゃいない。私にはこれからやるべきことがあるし、看護師目指してもっと頑張らないとなと強く決心した。


そして看護師になった今はこの実習が私にとって良い実習だったなと実感している。









最後に山本先生へ、散々学生の人生を潰しておいて、いざ自分となると鬱になったと言って教員辞めるんですか?もう大人なんですから自分の行動に責任持ちましょうよ~。


あ!最後の嫌味はいらないか。すみませんね、先生の癖が移っちゃったみたいです!




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