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オニオングラタンスープ①

私がオニオングラタンスープと出会ったのは確か中学の国語の教科書だったと思う。
ネットで確認してみるとどうやら今道友信が書いた暖かいスープという短編らしい。

内容はというと、パリの小さなレストランで作者がなけなしのお金でパンを頼んだら、すごくあつあつでどっしりとしたオニオングラタンスープも運ばれてきた。それはお店の人のご好意で、人種の違う人にも優しく接してくれる暖かさに感謝する。
みたいな話だったらしい。

そんなじんとくる話らしいが、私はいつもそういう重要なことを忘れていて、オニオングラタンスープ美味しそう、憧れる!みたいなことしか記憶していない。

とにかくオニオングラタンスープが一体どんなものか気になってしょうがなかった。
で、最近やっと出会ったのだ、しかもチェーン店で。
そう、あのロイヤルホストだ。なんかファミレスの癖にちょっと敷居が高い店。
なんと私の家から歩いて5分くらいのとこにある。中3から今まで、6年も憧れてたものがこんな近くにあったなんて...

ロイホ(みんなはロイヤルホストをなんて呼んでる?私はこれ)のオニオングラタンスープはセットメニューとして頼むのが主流らしい。グラタンと名付けられているのでもっとメインなのかと思っていた。
ちょっと私は欲張って、ポルチーニ茸のクリームスパゲティに憧れのあれと、あとドリンクバーをつけた。
たくさん頼んだが、もちろん気持ちはオニオングラタンスープがメインディッシュだ。

ドリンクバーを楽しみながら待っていたらすぐにやってきた。小さ過ぎず大き過ぎない、セットメニューらしいサイズの器に入っている。湯気が立ち込めていて、ぐつぐつと煮え立っているようだ。中央には、グラタンらしく狐色の焦げ目がついたチーズが乗っかっている。

待ちきれずチーズの中にスプーンを入れると、ふわっとした何かに当たる。どうやら汁気を吸ったパンらしい。おおっ!と思いすくって口に入れる。が、私は猫舌なので味より先に熱が舌から伝わり思わず叫んでしまった。

冷めるまで飲み物を楽しむ。ロイホにはカフェインフリーのおから紅茶なるものがある。意外としっかりとした茶葉の香りを感じることができるので是非飲んでみて欲しい。

さて、湯気も収まって、いよいよ自分にとっての食べごろがやってきた。
スプーンにすくって口に入れる。うわっと広がる玉ねぎの甘さ、コンソメのコクに圧倒される。それがチーズのまろやかさと相まって、味のインパクトが凄いのだ。そしてスープがよく染みたパンはフワフワで、解けるように口から消えていく。
これは美味しい!!!

一口でわかるおいしさだった。しかし、ちょっとスープの味は濃すぎる気がする。玉ねぎは加熱するとかなりしっかりと甘味が出る。それならばコンソメはそれを引き立てる程度の量の方がいいのでは?と思う。夏にはかなりハードめなスープかもしれない。

でも、この飴色玉ねぎがぎっしり入ったスープはもはや飲むというより食べる感覚でこのたっぷりと入った玉ねぎの甘さがかなり好みだ。
私はかなりこの料理のことが気に入った。いつか私はこれを絶対作ってみせる、という気持ちになった。
そして、その時は意外とすぐにやってくるのだった.......

つづく

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