No.16【気になるニュース】シンガポールでの外国人労働者受入厳格化

外国人労働者について調べている中で、コロナ禍におけるシンガポールの外国人労働者受入政策についてのレポートで面白いものがあったので、今回はそれについて書こうと思います。

シンガポールでは、新型コロナ禍を契機に自国民の雇用を優先し、外国人労働者の受け入れを厳格化しています。

■ シンガポールの発展に寄与する外国人労働者

シンガポールがアジアのハブとしての地位を確立し、世界トップクラスの経済的豊かさを実現できた理由の一つとして、低技能から高技能まで幅広い層の外国人労働者を積極的に受け入れてきたことが挙げられます。
今では雇用者全体に占める外国人の割合は4割近くにのぼり、製造業で5割、建設業で7割強、家事労働(メイド)に至っては10割を占めています。

■ 国民の外国人労働者に対する警戒感

シンガポール国民の間では、彼らへの依存が高まるにつれて次第に警戒感が広がっていきます。
自国民に比べてコストが安価な外国人の雇用が優先されている、といった警戒感です。
この警戒感は、高技能および中技能の外国人労働者に向けられています
(なお、国民の所得水準が高いため、低技能労働を希望する国民が少ないので、低技能の外国人労働者は警戒の対象になっていません。)

■ 外国人労働者の受け入れを段階的に厳格化

シンガポール政府は2010年代入り、外国人労働者の受け入れに関し、それまでの積極姿勢を徐々に後退させていきます。

国民感情への配慮に加え、外国人労働者への過度の依存が、企業の生産性向上に向けた投資意欲を削ぎ、持続的な経済発展にマイナス影響を及ぼしかねないとの懸念によるものです。
(人件費が安い場合、労働代替化や効率化のための技術に投資を行うインセンティブが低くなります。)

政府は、外国人労働者の雇用コストの引き上げを行います。
具体的には、①外国人雇用税の引き上げ ②雇用上限率(全雇用者に占める外国人労働者の上限比率)の引き下げ ③中・高技能を持つ外国人労働者の最低月収の引き上げを行いました。

シンガポール政府は、自国民の雇用を優先する姿勢を一層強めています。
しかし、外国人労働者の受け入れを厳格化する一方、自国民のスキル向上を図らなければ、企業は優秀な人材を雇用することが難しくなります。


外国人労働者が自国の労働者よりも優遇されることは少ないでしょう。
むしろ、過酷な状況で働く外国人労働者が多いと思います。

そのような状況下において、なぜ途上国の若者は海外へ働きに出るのでしょうか?途上国内の雇用状況はどうなっているのでしょうか? 
次回は、このあたりを調べて書こうと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?