親愛

短い期間で手紙を書いてばかりいますが、今日は大好きな選手に宛てて手紙を書きます。

今シーズンで引退を発表した阿部勇樹選手へ。

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阿部勇樹選手へ

長い間応援していましたが、初めてお手紙を書きます。

わたしよりもずっと年上の選手ですし、もちろん知り合いではないので、本当は敬称をつけるべきなのでしょうが、ここではサポーターから親しまれた呼び名の"阿部ちゃん"と呼ばせてください。

2007年の冬のこと。阿部ちゃんはその年のたった1人の新加入選手でした。

わたしは小学生でした。遠い遠い記憶のような気がします。ほくろとヒゲが印象的なお兄さん。当時の監督と埼玉スタジアムで握手を交わしてる姿は今でも覚えています。

わたしは、その前のシーズンで小野伸二選手に魅せられてサッカーを見始めました。やっとルールを覚えたばかりのようなわたしでしたが、阿部ちゃんの虜になるまでそう時間はかかりませんでした。

阿部ちゃんは、サッカーというスポーツの面白さを教えてくれました。わたしには難しい戦術は分かりませんでしたし、正直なところ今でも分かっていません。

けれども、サッカーはゴールシーンだけが見どころではないということや、ゴールシーンに直接絡んでいなくとも重要な動きがあるということ、そしてそれを理解することでゴールシーンがより魅力的に感じられること。全て阿部ちゃんが教えてくれたことです。

阿部ちゃんに出会わなければ、サッカーがこんなに面白いスポーツだなんて知らずに生きていたことでしょう。

そして、阿部ちゃんはサッカーの面白さ以外にもたくさんのことを教えてくれました。

ひたむきに努力をすること。弱音を吐かずに目の前の壁と向き合うこと。時には本音をぶつけ合うこと。いつも真摯であること。

それらはわたしの人生における重要な場面でいつも力をくれました。

特に大学受験ではあなたのひたむきな姿に力をもらって頑張ることができました。そして、合格した大学では素敵な出会いがありました。

わたしは、進学した大学のサッカー観戦のサークルに入りました。そのサークルではサッカーを心から愛し、自分の応援するチームに情熱を注ぐ人たちに出会いました。優しい先輩、可愛い後輩、そして楽しい同期たち。彼らはサッカー以外でもわたしの力となり、時には笑い合い、時には励ましてくれる存在です。これは阿部ちゃんが繋いでくれたご縁だと思っています。本当にありがとうございます。

サッカーが好きになって、あなたを好きになって、わたしの人生は想像もつかないほど豊かになりました。今ある言葉を全部並べてもこの感謝は伝えきれません。

あの時小学生だったわたしは大学を出て、大学院を修了して、社会人になりました。今までもこれからもあなたのひたむきな背中を追いかけていきます。わたしにサッカーの楽しさを教えてくれてありがとうございます。わたしの人生を彩ってくれてありがとうございます。

阿部ちゃんのこれからの人生も豊かであることへの祈りを結びにかえて。

2021.12.28

浦和レッズのサポーターの1人より。

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阿部ちゃん、お疲れ様。ありがとう。

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