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万丈が万丈していた映画『ビルドNEW WORLD 仮面ライダークローズ』

突然ですが、『仮面ライダービルド』好きなんですよ。記憶喪失ながらも、愛と平和のために戦う、てぇんさい物理学者の桐生戦兎。最初は身勝手なことをしたけれど、戦兎のヒーロー像に共感し、時には自分を犠牲にしてでも戦う筋肉バカの万丈龍我。ライダーのデザインに一目ぼれしたし、終盤はテンポの悪さこそあれどきれいにまとめられたストーリーも大好きで、毎週日曜日になるのが待ち遠しかったことを覚えています。

ただ、きれいにまとめられた風呂敷は、きれいに解くのも、また畳むのも難しい。記憶が正しければ、『メタルギアソリッド』シリーズに5が発表された当時、ファンの反応が様々だったことがありました。4できれいにまとまって終わったので、続編が出ることへの不安があったのではないでしょうか。結局、シリーズ最終作である『MGSVTPP』は、アクションへの肯定的な意見は多いものの、ストーリーへの否定的な意見が多く見受けられました。Amazonのレビューでも、☆5だけどストーリーへの苦言があったり。

そういう事例もあるので、正直観るのが怖かったんですよね。きれいにまとまって楽しかった思い出があるので、それが雑にされるの嫌だなぁ……と。ただ、クリスマスで気が大きくなっていたのもあって、レンタルして視聴しました。個人的にモヤっとした点と良かった点、総合的な感想を書いていきます。できるだけネタバレは避ける方向で。


1.簡単なあらすじ

パンドラボックスと仮面ライダーエボルのエネルギーを使い、スカイウォールのない新世界を作った桐生戦兎と万丈龍我。二人以外に以前の世界の記憶を持たないこの世界。二人は、戦兎が作った発明品を、万丈がフリーマーケットに売り出して生計を立てるという日々を送っていた。そんな平和な日常を送っていたある日、いつものように仕事をしていた万丈に、ある女性が現れる。その人は何故か、忘れられていたはずの、仮面ライダークローズのスケッチを持っていた......。一方、戦兎の倉庫兼ラボに保管していた白いパンドラパネルが光り輝き、戦兎の姿に擬態した謎の存在が現れる。その名はキルバス。あのエボルトと同じブラッド族であり、ブラッド星の王子。キルバスは巷に人気のダンサー・柿崎悟志に擬態し、地球どころか宇宙を滅ぼすために行動する......。

2.モヤっとしたポイント

2.1 白いパンドラパネルの説明が一切ない

テレビ本編では、白いパンドラパネルと戦兎が作ったジーニアスボトル、エボルトのエネルギーも利用し、スカイウォールのない世界を作ったところで終わりました。もしまた白いパンドラパネルを作るなら、パンドラボックスとエボルト遺伝子を持った万丈がいないとできないんですが、その辺は一切語られず。戦兎がわざわざ作るとも思えないしなぁ......。ツッコむだけ野暮ではあるのですが。

2.2 本作のヒロイン的存在、馬渕由衣

壮絶な過去を持ち、以前の世界を持っている謎の存在であり、本作のヒロイン的存在である馬渕由衣。以前の世界で、彼女は仮面ライダークローズに助けてもらえなかったことから、仮面ライダーそのものへの不信感を募らせます。ただ、キャラがどうにもブレブレというか、万丈が強くなるための当て馬的な扱われ方で、とてもつらい過去を背負ってるはずなのに、どうも感情移入しづらい。最終的には仲良くなるのですが、個人的にはもう少しツンな態度の方が一貫性があった気がする。

2.3 キルバスの強さについて

モヤっとしたポイントというよりはツッコミたくなったポイントなのですが、本作の敵であるキルバスは、テレビ本編で暗躍していたエボルトよりもはるかに強い。その秘密は、10年間エボルトが地球を滅ぼすために秘密裏に動いていた間、ブラッド族が強くなる源の「星を食らうこと」を続けていたため。ただ、みんなのために戦う覚悟を決めた万丈と、エボルトの遺伝子を極限まで増幅させる変身アイテム・マッスルギャラクシーボトルによって倒れます。たくさんの星を食らうことで強くなったそうですが、それにしてはコスパ悪ない?と思ってしまった。

3.良かった点

3.1 ど派手に火薬を使いまくる演出

今作はエボルトと合体して生まれる新フォーム、クローズエボルが活躍するのですが、必殺技を放つ際の演出に、これでもかと火薬を使って爆破されてます。他にもキルバスの攻撃シーンにも用いられていて、ぜいたくな使い方してるなぁ、と。また、変身含めてCGもすごかった。エボルサイドのパンチのエフェクトは、「ヒーローが出す色合いじゃねえwww」と笑いながら見てました。かっこよかったです。

3.2 ライダーのデザイン

前述したクローズエボルですが、腰マント&青と白と黒を基調にした配色&クローズとエボルトをうまいこと反映させたデザインで、これが最高にかっこいい。また、今作では記憶を取り戻したスクラッシュドライバー組も登場するのですが、やっぱりグリスもローグもかっこいい。敵のキルバスも、クモのモチーフを最大限に主張させつつ、赤と黒を主体としたシンプルな配色で、ゴテゴテしつつも様になるデザインでした。やっぱり、ビルドライダーのデザインは良いなぁ......。クローズビルドのフィギュア、買っておけばよかった......。

4.まとめ

いつまでエボルト使うねん、と思ったし、うーん......となった箇所もチラホラありましたが、総じて万丈が万丈していたと思います(語彙力の崩壊)。誰かのために体を張って戦い続ける筋肉バカ。これを60分の尺の中でしっかり表現できていたと思うし、本来ならあり得ない”エボルトとの共同戦線”というテーマをきっちり描き切った脚本の武藤さん、本当にすごい。お疲れさまでした。

ということで、『ビルドNEW WORLD 仮面ライダークローズ』の感想、長々と書いてまいりました。何だかんだで楽しかったです。やっぱり万丈は好きだなぁ。熱血バカは昔からどうしても好きになってしまう質でして......。

いつになるかはわかりませんが、『仮面ライダーグリス』も観て、感想を書きたいと思います。