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キムタクかっけえ。/『JUDGE EYES:死神の遺言』

セールで1200円ほどで販売されていたので、勢いで購入し、プレイした結果は大満足。ただ、来たる12/7にフリープレイができるようになったことを知った時は、ちょっとだけ心が落ち込みました。まぁ、良し。うん。よしよし。

小さな心の傷に目を背けつつ。本作は非常に面白かったので、まだ未プレイでPS PLUSに加入されている方は、ダウンロードをお勧めします!ホントに男女問わず「キムタクかっけえ……」となれる作品ですよ。


あらすじ

ネオンきらめく街、神室町。その夜の華やかさは、同時に町に深い陰を落としていた。関東の最大勢力である暴力団”東城会”の末端組織である”松金組”や、関西から進出してきた暴力団”関西共礼会”が町に根を下ろし、仮面をつけた窃盗団が出没しては、警察の追走をかいくぐって暗躍する始末。さらには、共礼会のヤクザが[両目をえぐられて殺害される事件]が、三件も起こっていた。そんな町で、便利屋まがいの探偵業をしているのが、本作の主人公である八神隆之。ある事件で家族を亡くし、荒んだ生活を送る中で松金組の組長”松金貢”に手を差し伸べられ、その支援の末、司法試験を突破。弁護士としての道を歩むも、八神が無罪を勝ち取った被告人が、恋人の殺害とアパートの放火を犯してしまう。それにより”凶悪な殺人鬼を野に放ったインチキ弁護士”というレッテルを貼られてしまい、八神は法廷から姿を消した。そして、”八神探偵事務所”で何とか暮らしていたそんな折。松金組の若頭である”羽村京平”が、八神の先輩弁護士である”新谷正道”に弁護を依頼した。羽村は三件目のヤクザ殺害事件の容疑者として、逮捕されていたのだった。殺害された被害者と、直前まで揉めていたためである。八神は新谷のバックアップという形で証拠集めに奔走し、それにより見事無罪を勝ち取った。しかし、羽村の不自然な行動に疑問を持ち、その裏を暴こうとするうちに……ヤクザ殺害の真犯人である”モグラ”や、あらゆる事件の黒幕。国の機関。新薬による莫大な利権の闇につながっていくことになる……。


好きな点

もうOPからカッコいい。

演出もそうですが、[Alexandros]の『アルペジオ』も相まって、とてもオシャレに仕上がっている印象。初めて観たときは「かっこええ……」となり、ストーリーをクリアした後も何度か見返したほど、インパクト抜群。

本作の最大の特徴と言えば、やはりあの木村拓哉さんを操作できること。カンフーの流れを汲んだ我流のケンカで、町でエンカウントするチンピラやヤクザと戦ったり。特定の相手の尾行したり。人物を追いかけて走ったり。そのどれもがカッコいい。時にはチンピラにおでんをぶち込んだり、飛んでしまったぼうし(?)を追いかけたり。本来なら映画やドラマじゃ見られないネタやアクションも、この作品なら見れてしまうのです。あと、改めて木村さんはイケボなんだなと再認識。たまに一本調子になるところはあれど、迫力のある演技は、さすがキムタク。個人的には、小声で愚痴をこぼしたり、ツッコミを入れるところが好き。あの有名なセリフ、「ちょっ、待てよ!」も言います。

劇場前通り_

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笑顔で自撮りをするキムタク。4人の女性との恋愛イベントもあります。

また、ストーリーもとても面白かった。開発された新薬、ヤクザの抗争、殺害事件の真犯人”モグラ”。ただの点に過ぎないと思っていたことやものが、少しずつ線になっていき、より深くて重苦しい闇に変わっていく過程は、本当にワクワクしました。希望だと思えたことが実際は絶望になったり、何とも思わなかった人物が物語のカギを握ったり……と。久しぶりにほとんどの時間をゲームに裂いてしまったくらい面白かった。特に、”モグラ”や真の黒幕は、多少の予想こそしてたけど、裏切られましたね。そう来るか!という衝撃で、またさらに物語にかじりついてしまうのです。

キャラクターもみんな魅力的。相棒的な存在の”海藤正治”は、直情的で喧嘩っ早いように見えて、時には解決の糸口をポロっと話すような鋭さも持つ兄貴肌。あるイベントでは子供の面倒を見ることがあるのですが、本当に良い兄貴でした。八神が弁護士時代に所属していた”源田法律事務所”のメンバーもいい。演じる中尾彬さんの演技も相まって、所長の”源田龍蔵”はとてもやさしい「親父」に見えました。事務を担当する”城崎さおり”は地味に見えて精神的に強いキャラだし、八神の後輩にあたる”星野一生”も今どきの草食系イケメンに見えて実はかなりの秀才であり、度胸もある。検察という対立関係にありながら、八神を陰ながらサポートしてくれる”藤井真冬”や、正義感の強い男”泉田圭吾”。終盤の展開には驚きましたねぇ……。悪徳刑事で金で情報提供をしてくれる”綾部和也”は、滝藤賢一さんが演じられています。やはり良い声。クズと言えばクズなのですが、独特な魅力のあるキャラクターでした。そして、その上司である”黒岩満”は、谷原章介さんが。イケメンで、しかも検挙率トップ。その演技も、毎朝の情報番組で見かけるあの爽やかさだけじゃなく、どこか渋さもありました。何となくかっこいいイケオジ、くらいの印象だったので、あらためて俳優としてのすごさを思い知りました。

さらには、ミニゲームの多さに驚き。バッティングセンターあり、VRのすごろくもあり。あのキムタクが、派手な色彩の世界を、独特のサングラスをかけて走り抜ける姿は笑うの必至。ドローンレースに参加することもできるし、ゲームセンターに行けば『ぷよぷよ』や『バーチャファイター』、ゾンビシューティングゲーム『KAMURO OF THE DEAD』も楽しめる。UFOキャッチャーもあるし、別の場所ではカジノもあるし、八神探偵事務所にはピンボールの台が設置されていて、いつでもプレイ可能。なぜかUnityで作られてるけど。

本当に「エンタメが詰まっている」なぁ、と。サブイベントでは神室町の複雑怪奇な人間模様(と言っていいのかどうか)を見られるし、”変態三銃士”というパワーワードが飛び交ってます。ど派手なケンカ、恋愛、広大な闇を暴く重厚なストーリー。そして、様々なミニゲーム。『龍が如くシリーズ』のファンの方には物足りない点もあるかと思いますが、自分はとても楽しかったです。あまり触れてこなかったのもあり、新鮮味も手伝っているかもしれませんが、そこを差し引いてもすごく良かった。


好きでない点

まず、物語に多少の粗があること。主人公の八神がある人物にこんな言葉をかけるシーンがあります。「人間は自分の行動に正義があると感じた時に一番残酷になれる。あんたがやってることは、本当の正義か?」と。つい、口から「そりゃお前もだよ」とツッコまずに入られませんでした。かなり違法スレスレ(物によっちゃ普通に違法)をやって、真相を解き明かしていく主人公が、これ言うかね?みたいな。結構勢いのままで楽しむと気にならないところも、後から冷静になると「ん?」となるところはありました。まぁ、エンタメなのでね。ツッコんでたらどうしようもないところもあります。

次に、”致命傷”の存在。ある一定レベル以上の敵になると、ガード不能の強攻撃を出してきます。その攻撃を受けてしまうと、HPゲージに赤いひび割れが起こり、上限が狭まってしまうのです。こうなると普通の回復アイテムではどうにもならず、とある医者に診てもらうか、”医療キット”という専用アイテムでないと元に戻りません。しかし、医者の診察で2万、医療キットは4万(これでも一番安いやつ)。中盤以降、お金稼ぎの手段が増えてくる頃ならまだしも、序盤でこれを受けるとかなり痛い。

さらに、鍵のかかったドアに向かうと、鍵束の中から対応したものを選ぶ、というちょっとしたアクション(?)要素があるのですが。これが本当に要らない。丸暗記するか、専用スキルがあれば一発で分かるようになるので尚更要らない。無いなら無いで、対応したものを当てられるまで順当にボタンを押すだけ。何の意味があるんだこれ。

神室町がそこまで広くないのも、ちょっとモヤっと。作りこみは非常にしっかりしていて、結構あちこちの建物に入れるのですが、町自体はそこまで大きくありません。オープンワールド系でなくても、町の広さと動きの自由さに力を入れた作品がそれなりにある時代なので、この奥行きの無さはちょっとなぁ……と。

最後に、チンピラ集団”京浜同盟”の存在。ある時点から八神とケンカすることになり、ランダムで登場するのですが。ただでさえ普段から町中でヤクザやチンピラと遭遇するのに、京浜同盟が登場する時はエンカウント率が跳ね上がるのです。しかも、物語の終盤になれば雑魚なのにHPゲージ2本分ある敵も出てくるし。京浜同盟の”四天王”がいるのですが、全員当然HPゲージ2本分。加えて致命傷を与える強攻撃を出してくるし、ある一人に至っては連発してきます。なまじっか強いし。このイベントは、画面右上に表示されるパーセンテージが0になるか、四天王を倒しきるまで終わりません。ああ、めんどくさい。倒せばあるキャラから感謝されるも大したものをもらえず、倒さず無視していると嫌味を言われ。「よっしゃ、サブイベントこなそうかな」なんて思ったタイミングで京浜同盟が登場した時は、うぜえという感情しかなかった。一応、助けてくれるキャラも出てくるのですが、結局四天王は八神のみで倒さないといけないし。プラスになるところが乏しすぎる。


まとめ

いろいろと粗い部分もあれど、全体的には「レベルの高いエンタメ作品」に落ち着いていると思います。キムタクを操作できるゲームという、唯一無二の特徴。そして、ドラマを見ているような感覚になれるストーリー。本作のキャッチコピーである「正義という名の凶器」は、まさにその通りでした。多彩なアクションと、多様なミニゲームに、面白い(中にはぶっ飛んでる)サブイベントの数々。昔からテレビで観ている、あのカッコいいキムタクをたくさん見れつつ、ギャグにもシリアスにも対応した良作だと思いました。本作は『龍が如くシリーズ』とはほとんど関連しないので、自分のようにシリーズ作品を知らない人でも楽しめます。PS PLUSに加入されている方、ぜひプレイしてみてください。


お読みいただきありがとうございました。続編の『LOST JUDGEMENT:裁かれざる記憶』もいつかはプレイしてみたいと思います。それでは。