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手のうちでくしゃくしゃと鳴る蝶の翅
死して乾けば砂となるだけ
「もう二度と言えぬけれども愛してる」
夢のあわいであなたは笑う
幸福も喪失も雨 銀の糸
降るべく在りて去るべく過ぎる
石橋を叩いて壊し渡るでもなく
対岸にいる影を見つめる
区切られたこの部屋は海 丸く照る
電球の影 ぼやけ満つ月
背の方に抱き枕置き眠る時
かすかな温度 やわらかな夜
冷えた指 擦るひとの手 今はなく
私 自分で あたためてみる
あとはもう幸せになるだけでいい
神様どうか壊さないでよ
数日で塞がっていくピアス穴
ちゃんと体は治そうとする
ひかりある 場所にあなたが いてくれて
すくわれている 心地になる日
ドーナツの表面の糖ひび割れて
白い破片は偽物みたい
ふれ合えば月の満ち欠く星にいて
遠く離れた衛星、ふたつ
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