『スピッツ』#69

他ならぬ、日本を代表するロックバンド、スピッツ。わたしのCD購入デビューはあの2枚組のCYCLE HIT1991-1997,1997-2005である。中学生だった。あの中の、半分も知らなかった。1991-1997なんてあの3曲、空も飛べるはず、ロビンソン、チェリー、、これだけだ。だけど、あの2枚にスピッツが詰まっていて、それからはレンタルCDで、スピッツのB面、アルバム曲をちょこちょこと耳に入れていくようになる(買いの前に、スーベニアだけは聞いていたはず、レンタルで)。
なんでスピッツだったのか、なんで知ってなんでハマっていったのか、それがほんとうに思い出せない。勿論、曲を聴いてハマっていったことは確かなのだが、熱が入っていった初めはなんだったのだろう。なぜかけーちゃんにもらった8センチCDのチェリー(カップリングはバニーガールだ。なかなか刺激的じゃああるまいか)が熱を加える一因にあったとは思う。あのMD最盛期にCDを持っていた彼はただものではなくて、かっこよく太鼓を叩いていた。
テレビのCMにもしばしば使われていたはずだ。
遠く、遠く、あの光まで、届いて欲しい。ミニバンのCMで、家族がキャンプへ行って星を眺める夜のシーンに流れていたんじゃなかったか。あれは賑やかで、一人ぼっちが切ない夜では決してなかった。それでもよかった。
越えて、越えて、超えてゆけ、命が駆け出す。アクエリアスのCMで、躍動するスポーツ選手の迫力ある映像と、波しぶきのような流れのあるグラフィックの組み合わせがかっこよかった。みそかの疾走感は、いきなりサビから入ってもキレキレで心浮かれる。そういえばアクエリアスのCMは、春の歌が使われているバージョンもあったんじゃないか。
そのへんのCMが流れる頃は、ぐんぐんハマっていく過程で「あ、これスピッツなんじゃね?さすが、かっこいいわ」って変に得意げになる高校生くらいだったろうか。
歌詞は時に甘っぽく、時にまどるっこしく詩的で叙情的で、時にロマンチックでかっこよく、こう3つ並べて書いてみても示している領域というか、大雑把には同じことしか言えてない。甘さ。でもロックバンドであることは確かで。何も8823とかメモリーズ・カスタムとか、音がそれらしく激しい曲を引き合いに出すこともない。フォークギターで演奏されることもあればピアノが入ることもある。おっぱいを歌うこともあれば、猫になりたいと歌うこともある。
何が、ロックなのだろうと、アレっと思うこともある。だけど真っ暗な夜道を一人で歩きながら「夜を駆ける」を聴いて「君と遊ぶ、誰もいない市街地、目と目があうたび笑う」そう歌いながらドラムが後ろでタタンタタンと駆り立てる気持ちいい高揚感で、歩く足には力が滾る。何度も聞いて、スピッツの曲から少しずつ発見する音のかっこよさは(最近だと、冷たい頬の、ギターの高い音と弾きかたとがキた)私自身の耳と脳をパーンッとブレイクしてくれる。青春期10年経てなおも。

#スピッツ #180225

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