『暑い』 #363

どちらかと言えば暑さには強い方で、尋常じゃない量の汗を出すけれど、汗を出すから、暑いなーと感じていても活動量は落ちないしどちらかと言えば生き生きと動けるし、こと熱中症にもならない。一度だけ、真夏にテトラポットの上で昼寝をしたんだったかどうだったか、とりあえず海辺で日に当たりながらのんびりとしていたら熱中症みたいな感じで食欲がなくなったことだけはあった。確かその日は夜に川崎で激辛い刀削麺を食べてビールを飲んだ、んだったと思う。
今年の夏も暑かった。そう、振り返るような夜で外からはリンリンと鈴虫が鳴くような音が聞こえていてパソコンを載せた腿の上は熱いけれどそれはただ熱いだけで、体全体としては空気の少し涼しげな感じを纏っている。今年の夏も暑かった。つい数日前まで日本列島(主に西の方)では数日間にわたる記録的な豪雨で連日のニュース冒頭は占められていて冠水氾濫崩落倒壊等々の被害状況にはこの禍中の大変さも合わさって重たい心持ちだった。長雨は過ぎ去ってまた台風12号が日本列島に近づいているというニュースもあったけれどこれは日本海の方へ流れていきそうで陸地は一安心といったところで、外からは鈴虫の鳴く声が聞こえる。今年の夏も暑かった。こんなふうに振り返るような、気候になった。日中は気温がまだ30度を超すけれどそれでも、身構える厳重さはだいぶ違うような気配で、シャツ一枚になって扇風機に当たっていれば落ち着いて仕事もできる。むーんと集中するとじわじわぼたぼたと汗が滲んで滴るような熱量は去っていった。
ふと不思議な、というか、疑問に思うことが湧いてきて、そもそも、人間は暑いと汗をかく身体の作りになっているわけだけど、暑いから身体の体温が上昇しすぎないようにと汗をかいて熱を出し、その汗の気化熱でもって皮膚の温度を下げて自分の身体に熱が溜まらないように冷却する、いや冷却するというと涼しげだけどあくまで暑いものは暑いわけだが、という、ここ、身体の表面は冷却をしているわけだから、どんどん涼しくはなるわけで、周りが暑かったとしても汗をかくペースが下がっていくそのとき、直感的には当然、暑いものは暑いわけだけど冷却されている皮膚の感覚を通じて発汗を減らす脳は「涼しくなってきたぞ」と感じているのだろうなと推測できそうなのだ、これが疑問で、空気は相変わらず暑くても、口は「暑い」と口走っても、皮膚を通じた脳の知覚は「涼しい」になっているのか、と、なんだか面白いことじゃないかと思って、不思議なものだと思ったところ。そんなところ。
そろそろ、テレビをつけたら天気予報士が真夏のピークが去ったと言ってくれないかなと、待ち遠しい。今年の夏も暑かった。

#暑い #210823

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