『字幕』#242

映画のジュラシック・パークを見た。DVDを借りてパソコンで。率直に、ものすごく興奮してあっという間の2時間だった。迫力と緊張感も。洋画的な、アメリカ的な?小粋なジョークまで面白い。そのなかで、スピルバーグ監督のメッセージというか心境が出てるのかなぁと思うような名ゼリフもあった。
劇中の中盤(時間感覚が無かったので後半かもしれない)、ジュラシックパークのトラブルを受けてなお、オーナーのハモンド博士は計画を進める強い意志を見せる。やめるべきと進言する古生物学者の主人公に対して毅然と放つ一言が強かった。
“ハモンド博士
「創造は
意志が生み出す(邦訳字幕)」”
というもの。度重なるトラブル、自身の孫が危険な目に遭っていてなおかつ安否もわからない夜、それでもやり遂げる強い気持ちを見せた。
映画監督のスピルバーグ氏の心境も、この作品でなくとも長い人生のなかで制作にあたって逆風にさらされることや葛藤が幾度も幾億度もあったろうと、想像できる。そんな気持ちを、博士の口から言わせたのだろうかとまた、想像する。
して、このセリフ、邦訳は先の通りなのだが原文を聞き取れなくて悔しくて、わからないままなのも嫌だと思って調べた。
私が聞き取った断片がこれ
「creation is ... share will」。becomingかなと思ったんだけど、ちがった。
検索してわかった全文がこれ
「Creation is an act of sheer will」。sheerという単語の意味がわからなくて、また調べた。形容詞では「まったくの」や「本当の」が適当かと思われた。ほかの形容詞的用法では、布地などの「ごく薄いこと」「透き通るような」、あとは、がけなどを修飾して「切り立った」「けわしい」と意味するらしい。じゃあ今回は、というと「まったくの」も「本当の」もイマイチしっくり来ない。先のセリフを紹介していたサイトでは邦訳を「純然たる」と書いていた。たしか字幕ではその修飾はされてなかったような記憶なのだが、確実とは言えない。意味は通る。
字幕で「おおっ」と思ったセリフを、果たして自分は耳で捉えているのか、字幕の日本語文章表現に感銘を受けているのか、意味・内容に突き当たれているのか、それがわからなくなった。
映画「ターミナル」では主人公は、旅先の空港に到着したときに祖国が紛争で無くなってしまって国籍を失った。彼は入国が許されず、空港での待機を余儀なくされる。言葉も通じない、人の往来が激しいターミナルに放り出される彼は案内した警備の男に質問をする。
「僕はここでどうしたらいいのか(なにができるのか」(この質問はメモがないので記憶頼り)
それに対して警備員は一言、
「ショッピング」と。空港ターミナルにはファッションブランドや軽食、本屋もあり、たくさんのお店がある。これが心に残ったのは、私は大学四年の頃にショッピングモールについて関心があって、そのとき、「空港って、出入国やフライト機能が使えないとしたらそこには、広大なショッピングモールが広がっている、それだけの、空間だ」という気づき、このときは興奮と落胆とサブイボが走った。空港が、ショッピングモールであることは気づいてはいたし、消費傾向として空港をただショッピング空間として訪れる人が増えているというような報道がある時期だったので、わかってはいた、わかってはいたけど「こういうことか」と驚いた。それで、トムハンクス演じるビクター・ナボルスキーはショッピングだけではない、奇跡的で愉快で、創造的な生活をするのがこの映画の見どころなわけだが、それはそれとして、そのときの字幕は「ショッピング」とあった、答えた警備員はなんと言ったかと言えばただ一言、「shop」と。これは、なにが自分に入ってきたかと言えば「ショッピングしかできない」というこの、意味、だ。字面でもなく英語の音でもなく、意味。
これからも私は字幕で映画を見るだろうし、字幕を読んでしまうのだけれど、耳も鍛えてたくさん楽しめるようにしたい。こう、なんとも単純な感想で終わる。

#字幕 #180817

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