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形容詞/Adjective

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#近い

『近い』#294

このあいだ『遠い』ことについて書いたとき、どうして書かなかったんだろう、と思ってることがひとつ。川上弘美さんの小説に「どこから行っても遠い町」というのがある。そのこと。 その小説はいくつかの短編でなっていて、ある町を舞台にしたいくつかの人物・まとまりにフォーカスした群像劇になっている。メインに据えられるのは商店街とそこにある魚屋、そこの主人とそこに居候している男性、二人ともそこそこに歳を経ていて、一人の女性に関してそれぞれに過去を持つ二人が、なぜか、同じ屋根の下(居候している