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設計図

他人と話すとき目を逸らしてしまうのは悪癖と呼ぶべきなのだろうか
自分が傷つきたくなくて自分を守る手段を選ぶのは悪だと呼ぶのだろうか
だいじなときほど喉で澱んで絡まった言葉だけが詰まって涙が先に出ることは卑怯なのだろうか
耳障りの良い歌詞とメロディーだけでその歌を慰めるみたいに口遊むのはつまらないのだろうか

テストの成績を見せ合う空気が嫌いだった 皆でおんなじくらいの数字を見て安心したり貶めるのがどうしてそんなに愉しいんでしょうか
周りと違う意見を持った時に言葉を発することに怯えた 学校は多数派がいつも正しいって教え多数決はどうして正しいんでしょうか
死生観について話すことは苦手だった 死にたがることや死ぬことがあまりに世間では是とされないのですどうして生きたいと思わせてくれる世界は平等に全員に存在しないんでしょうか
カラオケで人前で歌うことはいつまでも進んでしたがらない 自分が歌った歌はもしかしたらその場の他人のだいじな歌で思い入れがあるかも知れずどうして僕は上手に歌えないんでしょうか

一生独りぼっちで良いとは思いはしない
いつでも人間は誰かの手を借りないと生きていけない生き物なのを分かり切っている
「愛してる」が要らなかったわけではない
言葉に感情の裏打ちが無ければこの世の全部が偽物に成ることを理解している
寂しがったり切なかったりすることを悪とは言わない
そういうものの数だけ自分と他者の弱さを理解しようと出来ると信じている



でも、

もう歩きたくないんだ

もうどうしようもないんだ

仕方ないと息をつくのが利口なんだ


「明日、死ぬ」

って呪文を唱えて目を瞑る夜をループしてゆく

まるで混ざり切らないカフェオレのマーブルの様で

絶望と共におもいだすのはやだな、

やだな

誰かと手を繋いでる時に手と手の間の温度に気づくのが

まるで組み立てられた炬燵の電源と布団の様で

希望を確かめられる術がないなんてやだな、

やだな



ね、君はどう思う?
言わなくていいよ。




【<br >】――――設計図

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