見出し画像

手紙の自由

幼い頃、友達に手紙を書いては、紙を台形やハート型に折って渡しあっていたことを、似たようなかたちで今も続けている。
SNSなどで手軽にコミュニケーションがとれても、手紙にはかなわないことがある。
いつも手紙でやり取りをする紙漉き作家の方とは、市販の便箋や封筒を使わない。封筒じゃないものも封筒にし、好きな紙を好きなように切り、文字を書く。

画像1

古い障子での封筒。桟のあとがかわいい。

そこへ押し花や香りを自由に加え、視覚に触覚や嗅覚のたのしみを加える。
手紙を開けた時、その方の持つ空気がうわっと広がる。思わず笑みがこぼれる瞬間だ。

字の練習なんてしなくていいのよ。個性だから。

たのしすぎる字を書く私に、同じく手紙でやり取りをする方が笑っておっしゃった。達筆でくださるその方に、いつも緊張して書いていたけれど、最近は、筆ペンで踊るような字を書き、万年筆でにじみまくる字を書き、のびのびと文章を綴る。自分らしくていいんだと、教えていただいて。

画像2

ハートやシャツの形を折って贈りあった幼少期

使ったことのない紙、使ったことのないペンを、自由に使うことを大人になって覚えた。
手紙に白紙を一枚つけることは、ヨーロッパではしないそう。
余白に意味をもたせる楽しさも、幼い頃はまだ知らなかったな。