見出し画像

スーパー戦隊シリーズとCO(中央集権型組織)・DAO(分散型自律組織)の関係性(定義編)

前回の記事ではCO(中央集権型組織)とDAO(分散型自律組織)の関係性について基本の導入を話した。
それではここからどのように分類していくかについて、具体的な定義と分類の方法・手順について説明していく。
昨日の記事でも書いたように明確な基準は以下の4つだ。

  1. 組織が公共機関か私設組織か?(設定)

  2. 戦いに際してどの程度準備をしていたか?(設定)

  3. 司令官の存在がどれほど影響しているか?(描写)

  4. 正規戦士と非正規戦士の比重はどれだけ物語に影響するか?(描写)

上2つが「設定」からの定義であり、そして下2つが「描写」からの定義だが、なぜこの4つの基準なのかを説明していこう。

1、「設定」から定義する理由と手順


「設定」から定義する理由と手順だが、戦隊シリーズでは1・2話のパイロットを見ればその戦隊がどのようにチームを結成したのかが分かる仕組みになっている。
スーパー戦隊シリーズはウルトラシリーズやライダーシリーズと比較しても対象年齢は2〜5歳の児童であるため、よほどのことがない限り設定が理解出来ないことはない。
この立ち上がりの段階で作り手がチームをどのように形成し、そこにキャラやストーリーを当てはめるかというところで作品のカラーの8割が決まってしまう。
逆にいえば、この設定をきちんと詰めておかないとどういう組織なのかがあやふやになってしまい、作品全体の迷走や破綻の元にもなりかねないのだ。

まず「組織が公共機関か私設組織か?」だが、現実にも公務員と民間企業で大きく別れているように、スーパー戦隊シリーズも公共機関か私設組織かで大別される。
例えばシリーズ初期の「秘密戦隊ゴレンジャー」〜「太陽戦隊サンバルカン」までは国際規模の軍人戦隊が多いのだが、これらは国から公的に存在が認められているということだ。
軍人や教師、警察といった公務員関係をモチーフにしたヒーローは大体ここに当てはまり、またそういう戦隊は殆どが公的動機で戦うというパターンが多い。
つまり組織の意向ありきで組まれており、そこに個人の責任と能力は決して大きくはなく、何をするでも必ず司令官なりリーダーなりとった上層部の許可が必要となる。

次に私設組織だが、これは「大戦隊ゴーグルファイブ」以降の作品群に見受けられる設定であり、国の許可を得ていなくて自発的に組織を作ったパターンである。
その規模は民間の中小企業のようなスタイルもあれば、零細〜個人事業主レベルのスタイルもあって、規模が小さければ小さいほど個人の責任が重たくなるのだ。
こちらの場合は自発的に結成されることが多く、私的動機で戦うことが多いため一見良さそうだが、悪く言ってしまえば勝手に国の許可を得ずに組織している非合法な武装集団でもある。
だからこそ個人の決断に身を委ねる場合がほとんどであり、失敗してもその責任は自分で取るしかないために、高い能力値とハードルが要求されているのだ。

そして「戦いに際してどの程度準備をしていたか?」だが、戦隊ファンが作品を論じる時に意外と見落としがちな点がここである。
第一話で敵と戦うに際して、臨戦態勢で敵と戦うのか、それとも不本意に偶然選ばれたけれども仕方ないかた出たとこ勝負で戦うのかによって全く異なるのだ。
例えば同じ軍人戦隊でも「秘密戦隊ゴレンジャー」と「電撃戦隊チェンジマン」ではその選び方が全然違っているのだが、ここではその説明は省略する。
戦士たちを地獄に叩き落とすほどの試練を課すのだが、そこで命辛々生き延びて戦士に選ばれた「ゴレンジャー」とアースフォースの奇跡が発動して戦士に選ばれた「チェンジマン」では違うだろう。

また、その準備が個人単位で成されているものなのか、それともチームワークありきで成されているのかというところでも全く違っている。
例えば民族衣装を着たファンタジー戦隊として「恐竜戦隊ジュウレンジャー」は最初に神が伝説の5人を選び1億数千万年ぶりに現代に復活するという方式だ。
対して「星獣戦隊ギンガマン」はそれぞれ5つの属性の戦士という「個人」の観点から戦士を選抜によって決め、星獣剣とギンガブレスを手に取るところから始まる。
この違いはそのままキャラクターや物語にも大きな影響を及ぼす要素になっており、その比重がどれだけ高いかによってCO(中央集権型組織)かDAO(分散型自律組織)かが大別される。

だからまずは各戦隊のパイロットを見てどのような方法でチームが結成されたのかをしっかり見極めながらそれぞれに算出して数値化していくことだ。

2、「描写」から定義する理由と手順


次に「描写」から定義する理由と手順だが、設定の段階でプロフェッショナルかアマチュアかが大体決まり、そして「描写」から見ていくと更に綿密に組織カラーが決まってくる。
例えば立ち上がりの段階で素人っぽく設定されていても実際の描写として見ると意外とプロっぽかったり、逆にプロっぽく設定されているのに実際は素人っぽかったりするというズレが生じることはごまんとある。
つまり見た目と中身に食い違いがどれだけあるかということだが、それがきちんと一貫している作品もあれば、一貫性をまるで欠いている作品もあるだろう。
それは決してプロアマという違いで決まるものではなく、前者がだいたいの場合は「名作」「傑作」と評価され、後者の場合が「凡作」以下の評価をされがちだ。

しかしここでは戦隊シリーズの「分布図」を作るわけであって「評価ランク」を作るわけではないから、どんな作品であれ基本的には中立的に扱うこととする。
その具体的な算出方法だが、具体的には「司令官の存在がどれほど影響しているか?」と「正規戦士と非正規戦士の比重はどれだけ物語に影響するか?」でそれぞれ10点満点で合計するといいだろう。
「司令官の存在がどれほど影響しているか?」だが、司令官の存在もまた物語に大きく影響するわけであり、決して無視できる要素ではない。
特に民間の私設組織であったとしても実際の描写として司令官やリーダーとなるものの権限が強い場合は個人の自由というものは制限される。

そして次に「正規戦士と非正規戦士の比重はどれだけ物語に影響するか?」だが、これもまた実際の物語の中で大きく影響していくであろう。
全員が正規戦士の作品もあれば1人だけ非正規戦士という場合もあるし、逆に1人だけが正規戦士で他が非正規戦士という場合だってある。
「鳥人戦隊ジェットマン」と「未来戦隊タイムレンジャー」がまさにこのパターンだが、「ジェットマン」は後者で「タイムレンジャー」が前者だ。
それによってチームカラーも大きく規定され、これに関しては最終回まで含めてどのように変化していくかを1話ずつ丁寧に見て判断していくしかない。

例えば共通了解が取れている戦隊だったら意見の対立もほとんどないが、共通了解がきちんと取れていない戦隊は意見の対立や修羅場もかなり目立つだろう。
そして多くの戦隊ファンは前者がチームワークありきで組まれており、後者が個人の資質ありきで組まれる傾向がある、もちろんそれが絶対というわけではないのだが。
何れにしても、実際の描写をきちんと見てから判断し、その数値を算出していけば大まかなチームカラーはしっかり算出できるであろう。

3、歴代戦隊分布図の定義の仕方


では実際にこれから歴代戦隊のポジショニングマップ(分布図)を見ていくわけだが、縦軸と横軸で綺麗に分けることとする。
まず縦軸が「プロフェッショナルかアマチュアか」という基準、そして横軸が「CO(中央集権型組織)かDAO(分散型自律組織)か」という基準だ。
算出方法は作品ごとに4つの基準、すなわち「組織が公共機関か私設組織か?=組織の公私」「戦いに際してどの程度準備をしていたか?=組織の完成度」「司令官の存在がどれほど影響していたか?=トップの権限」「正規戦士と非正規戦士の比重はどれだけ物語に影響するか?=メンバーの関係性」である。

このうち「組織の公私」と「トップの権限」の合計を横軸、そして「組織の完成度」と「メンバーの関係性」の合計を縦軸として、各々10点満点で合計20ずつを算出して分類する。
ここで注意しなければならないのは数値の大小と強さの大小は決してイコールではないということであり、ここを誤解する人がいるのでそうではないことを強調しておく。
4つのゾーンは左上が「プロフェッショナル×DAO=プロDAO」、右上が「プロフェッショナル×CO=プロCO」、左下が「アマチュア×DAO=アマDAO」、右下が「アマチュア×CO=アマCO」である。
次回からは具体的に作品ごとのチームカラーを算出して実際に分類していくのでお楽しみに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?