見出し画像

77日目 強風から始めよう

早朝の飛行機で神戸から仙台へ。仙台から福島へ。普通科改革推進事業のコーディネーター研修で福島県双葉郡広野町に前泊。震災のあと仙台には行ったことがあるが、被災地を訪ねるのはこれが初めてだった。常磐線に乗って海側を南下していく。浪江、双葉、Jビレッジなど耳にしたことがある駅名が続く。快晴だが強風のため電車が遅れた。下車すると立っていられないほどの風が帽子を飛ばした。5年前に行ったコペンハーゲンでもこんな強風に見舞われて、前方から飛んできたダンボールが体に張り付いたことがあった。漫画みたいな話だが事実である。

駅側に新築されたホテルから歩いて海まではすぐ。風に注意しながら海岸へ向かうと、空き地らしきところに金網に囲まれた線量計があった。ここは原発のそばの街なのだと実感する。海に出ると海岸線が見えた。煙突がいくつか立っているて、それは火力発電所らしい。その海岸線のもう少し向こうに福島第一原発がある。ニュースや記事で見聞きして知っているようで、私は実際には何も知らないのだ。気を緩めると海に飛ばされてしまいそうな激しい風のなか両足を踏ん張って海をしばらく眺めた。大地と並行になったプレートのようなこの海が壁としてせり上がってきたかと思うと身がすくんだ。

メッセンジャーに南相馬の知り合いから「来てるんですか?」とコメントが届いた。スケジュールが読めなかったので事前連絡をしなかったのだが、常磐線の車中から投稿した車窓の風景写真に反応してくれたみたいだった。もし時間があるなら、この機会に立ち入り禁止区域付近なども実際に目で確かめたいと思い、案内をお願いした。南相馬にはNextCommonsLab南相馬の拠点がある。私が奈良の宇陀で起業支援しているNextCommonsLab奥大和のプロジェクトと同じネットワークの拠点である。それが小高ワーカーズベースが運営する小高パイオニアヴィレッジ。立ち上げの際のクラウドファンディングで支援したがリターンを使うこともなく何年も過ぎてしまったので、今回はぜひ訪ねたい。

その前に、やり残している原稿を2本ほど仕上げないといけない。ゆっくり街を散策する余裕もなく、ホテルにこもって原稿を書いた。

明日は朝10時から、ふたば未来学園で研修と視察だ。ホテルから歩いて10分ほどのところにある震災後にできた学校で、探究学習の先駆者。教育の一環で演劇も採り入れているときく。元劇団員としても興味がある。


20231120

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?