見出し画像

9月某日

働いている会社の新オフィスの設計のための現地調査をしに阪急芦屋川に降りた。今自分が働く場所がないためにずっと在宅で仕事なのだけれど、オフィスができれば芦屋に通うことになり、前職と同じ阪急神戸線の三ノ宮行きに乗って行くことになる。最近そっち方面に行っていなかったからなんだか懐かしいなと思いつつ現地に向かった。現地へは芦屋川駅からさらにバスに乗らなければいけないのだけれど、バスの出発まで少し時間があるなと思いながら、ボケーっとホームの階段を降りていると見覚えのある人が前から階段を上がってきた。普段知っている人がいてもめんどくささが勝ってなかなか声をかけないのだけれど、その時はあまりにも久しぶりで反射的に思わず声をかけた。
「お久しぶりです」
「あら、どしたの、こんなところで」

その方は3つほど上の先輩で、色々と縁のある人だった。違う大学に通っていた彼女の研究室の先輩で、卒業設計で頭を悩ませている時に彼女から紹介してもらい色々とご指導をいただいたりお世話になった。また、自分が大学を卒業してから働いていた設計事務所の所長の師匠にあたる人のところで先輩は働いていたのだけれど、これは働いてから知った。設計事務所で働いていた当時、悩みや愚痴を聞いてくれる人はいたけどみんな内容に引くばかりで、唯一共感してくれる人だったのでとてもありがたい存在だった。関西は狭いなぁ。

閑話休題、バスが10分後に来ると先輩に伝えるとじゃあ10分間喋ろうとわざわざ改札を出て一緒に喋ってくれた。頻繁に連絡を取り合う中ではなく、消息がわからなかったので最近どうしていたか聞くと2ヶ月くらい海外で旅をしていて、先日たまたまこっちに帰ってきたタイミングだったと。しかもホームで自分と会うまで、特に用もなく40分くらいバス停の椅子に座っていたみたいで、なんだか待っててくれたのかと思うくらいのタイミングの良さで遭遇したようだった。10分と短い時間だったけどなんとも不思議でラッキーな偶然に心が温まった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?