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6月某日

部屋の窓から見えるところにあったドッグラン付きのカフェが取り壊された。

もう次が決まっているらしくずんずんと建物の基礎工事まで進んでいるのをみて、不意に前あったカフェが見たくて仕方がなくなった。写真はよく撮る方なのだけれどいくら探してもこのカフェが写っている写真は見つからない。いつも部屋からは見えていたし、そのカフェに行ったこともないのでそこまで特別な感情があるわけではない。ただ、いつのまにか変わってしまった風景をみて、もう二度とみれないかもしれない何でもなかった風景が無性に恋しくなり、こんな風に取りこぼしてしまった何でもなかった風景は気づかないくらい無数に存在しているのだと思うと少しだけ胸が締め付けられた。

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