中高年メンヘラの生態と取扱説明書
メンヘラを制するにはメンヘラの生態を知るのが一番。
というわけで。
結論。
メンヘラ同士がお互いを知り尽くして共に成長していくのが最高の組み合わせ。
なのではないかと…。
実体験から導いてみました。
というわけで体験談、どうぞ。笑
昨日、突然、負の感情に襲われた、私。
ふとした言葉がトリガーとなって。
小さな小さな記憶のカケラを貼り合わせ。
脳内で勝手に妄想はひろがっていく。
そうして強く輪郭を描く。
「彼はまだ前の恋人への想いを抱えている」
そういえば、あの時…。
そういえば、あの言動…。
出会ってから彼が語った元恋人へのコメント全てが「彼はまだ彼女を忘れられない」証拠材料となって私の脳内で再生される。
止まらない。
仕事中。
キーボードが叩けなくなり画面の前でフリーズする私。
脳内が負の妄想で埋め尽くされ目から涙がこぼれてきた。
ヤバい。
久しぶりに来た。
妄想、大爆走…。
そして。
自分に負ける。
トイレに駆け込みラインを打つ。
「まだ前の恋人を忘れられないの?だから繋がっていたいと思うの?」
しばらくして彼から返信
「長くなりそうだし仕事中だからラインでは説明できない。あとで電話で話すね。でも前の人のことは全然好きじゃないし、もう忘れているよ。」
ああ…。
彼に、なんてラインを…。
しかも仕事の邪魔をしてしまった…。
ダメな私…。
でも、その質問の意図を説明だけはしておきたい!
その後「どうしてそう考えるに至ったか」を長文ライン。
すると彼から返信。
「時間がなくて長いラインは打てないけど、僕はさくらが大好きだよ。」
からの
「帰りに僕の職場に寄って行きなよ。」
そうだ。
彼の顔を見たら。
この負の感情から抜け出せるかもしれない。
「ありがとう。行く。」
彼の職場で久しぶりに。
彼が仕事をしている姿を見る。
なんて素敵な人なんだろう…。
あの人が私の恋人だなんて…。
彼のお母さんと談笑し「息子をよろしくね」と言ってもらう。
彼も窓越しに手を振ってくれる。
幸せな時間。
彼ほどの人は他にいない。
私は、馬鹿だなぁ。
不安に思うことなんて何も無いのに。
どうしてこんなことになってしまったのか…。
帰宅すると、彼からライン。
「さくらは面倒くさい女だなぁ。笑。とても他の人の手には負えないよ。だから僕と一緒にいればいい。なんでも受け入れるから。愛してる。」
絵文字だらけのハートが散りばめられた愛のこもった文字たち。
これを。
通常時に読んだとしたら。
嬉し涙が溢れて止まらなかっただろう。
が。
絶賛メンヘラ中の私。
思考回路が、ねじ曲がっている。
…。
面倒くさい、か…。
前の恋人は面倒くさくなかったのかな。
そういえば「誰かと付き合うのは面倒くさいこと。だから、さくらと別れたらもう誰とも付き合わない」って彼、言ってたな。
私も「面倒くさい」うちのひとりだったか…。
思っていた以上に深くハマっていたらしく負の沼から抜け出せない。
自分がものすごく、くだらない人間に感じる。
突然、何もかもが、嫌になった。
「面倒くさくて迷惑かけて、ごめんなさい。もういいよ。」
そして
「ばいばい。」
あーあ…。
送っちゃった…。
馬鹿だな、私…。
ボロボロ泣きながらラインを送りあう。
彼は関係を終わらせる方向で話を進めてくる。
彼からしたら「さくらが突然わけのわからないことを言って、関係を終わりにしようとしてる」んだろう。
訳がわからないままに私の別れ話に乗っているに違いない。
しかし。
負の沼から抜け出せずにもがいている私は、それに気がつけない。
こんな自分が彼と一緒にいても、彼は幸せにはなれない。
私が身を引いたほうが彼は幸せになれるんじゃないだろうか。
何度も電話をくれる彼。
でも、出られない私。
ようやく、意を決して、何度目かの電話に出る。
静かな声で、彼が言った。
「60歳まで一緒にいようって言った、数日前まで最高に楽しい時間を過ごしていた相手が、突然『ばいばい』ってラインを送ってくる。その時の僕の悲しい気持ちが、さくらには、わかる??」
うー!!
わー!!
私は、何てことを…。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
泣きながら謝る。
「いいよ。そんな気持ちにさせたのは、元々はといえば僕が軽はずみに、さくらを傷つけるようなことを言ったから。そんな気持ちにさせたのは本当にごめん。僕も悪い。」
彼も謝ってくれる。
悪いのは私なのに。
明日は。
ふたりが出会った日で。
思い出の店で記念日のデートをずっと楽しみにしていた。
のに。
突然、負の妄想だらけの沼にハマって身動きがとれなくなったあげく、彼をこんなに悲しい目に遭わせてしまった。
彼「明日の朝、会いに来てくれるって言ってたでしょう?来てくれるの?」
私「うん!行きたい。行ってもいい?」
彼「待ってるね。もう寝て?明日の朝、会おう??」
私「ありがとう。本当にごめんね。おやすみなさい。」
そんなこんなで。
メンヘラの私は、彼に沼から引き出してもらい。
事なきを得た。
が…。
真夜中目が覚めて。
自責の念…。
なんてことを!
馬鹿な私!!!
自分が馬鹿すぎて苦しい…。
メンヘラって…。
なかなか治らないもんだなぁ…。
朝起きて。
彼の家へ向かう。
玄関を開けて、ハグをしてキスをして。
「昨日は本当にごめんなさい」と謝る。
「いや、さくらも辛い思いをしたんだよ。昨日は、さくらは、とっても辛い気持ちだったね。苦しかったね。僕は大丈夫だよ」と彼。
そうして、泣きながら謝る私の頭を、撫でてくれる。
あんなに酷いことをしたのに。
それでも許してくれる。
「僕は大丈夫」って言ってくれて。
私の気持ちを受け入れて「苦しかったね」って言ってくれる。
こんな…。
こんなにメンヘラに優しい対応って…。
あるんだ。
若い頃からいままで、私が負の感情にやられて喚き散らかしても、だいたいの相手は同じように喚き散らかすか、黙り込むか、だった。
こんなふうに包んでくれる人はいなかった。
この人の前なら、素直になれる。
私「大切にするって約束したのに、私、昨日は自分のことばっかりしか考えられなくて。嫌な思いさせて本当にごめんなさい」
彼「誰かと別れる時って、きっと、そういう感じなんだと思う。さくらの心のどこかに僕と別れたい気持ちがあったんじゃないの?だから言葉に出たんじゃないの?」
私「違うの!昨日突然、自信がなくなっちゃって。私なんかより他の人の方がしんちゃんを幸せに出来るんじゃないかって思って。それで私は身を引いたらいいと思ったの。」
彼「馬鹿だなぁ、さくらは。こんないい女が自信を無くすなんて、そんな必要は無いよ。」
私「でも、急に不安になって、そう思っちゃうときがあるんだよ。ごめんね。」
彼「それならそれで大丈夫。受け入れるよ。さくらのことはね。娘のように愛おしく感じてる。可愛くて可愛くて仕方がない。絶対に離れたくないし、何でも受け入れる。だからずっと一緒にいてくれ。」
私「うん。一緒にいる。っていうか、娘のように?私もう51歳なのに??笑」
彼「ああ、ようやく笑ったね。いつでも、そうやって笑っていなよ。さくらがいつでも笑っていられるように、僕、頑張るからさ。」
そうして彼の淹れてくれたコーヒーを飲む。
嬉しそうに笑って彼が言った。
「さくらが、いま、ここにいてくれて嬉しい。昨日『ばいばい』ってラインが届いたときは、さくらを失うんだって思って怖かった。だから、何度も電話をかけた。そうして話が出来て、いま、さくらが、ここにいてくれるだけで、僕は嬉しい。」
そのあと何度も。
「ああ、さくらがいる。良かった!」
と私を見てニコニコと微笑む彼。
こんなんされたら。
離れられないよ。
彼が言った。
「いつでも不安になって大丈夫。そのたびに僕は『ああ、また不安になってるんだな』って思うことにするし、ちゃんとさくらの不安に向き合う。そして、どんなさくらも受け入れる。」
一年前の今日、私と知り合って。
ほどなくして恋人になって。
私にさんざんnoteで「メンヘラおじさん」呼ばわりされ書き散らかされた彼は。
約一年かけて。
メンヘラ彼女を包み込めるような懐の深いオトコになった。
こんな結末。
誰が予想した??
一生懸命向き合ってきて、本当に良かった。
人生は。
重ねれば重ねるほど、素晴らしい。