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2022.04 小樽

久しぶりの投稿となりました。
2年前に小樽を歩いた時の記憶を掘り返していきます。

市史やいくつかの本を読んで挑んだ最初で最後の街歩き。小樽に来るのは4ヶ月ぶり。

北海道小樽市

大学の講義が終わった後の平日午後なので観光客は少なかった。
小樽駅は明治36年に小樽中央駅として開業、数度の改称を経て大正9年から小樽駅として小樽の玄関口となっている。現在の駅舎は昭和9年建築で、道内初の鉄骨鉄筋コンクリート造の駅舎である。

まずは定番の小樽運河へ。小樽駅から小樽運河への動線は見事だが、発展が昭和初期と遅れたため近代建築は少ない。
大正12年に竣工した小樽運河。現在観光地となっている南側は道道臨港線の建設により半分が埋め立てられている。

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まずは小樽市総合博物館運河館を見学。展示では小樽の発展の歴史や北前船について学べた。建物は旧小樽倉庫を利用しており、明治23年竣工の北海道初の営業倉庫である。瓦屋根に鯱が乗り、和洋折衷のデザインが特徴的。

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今回は小樽の発展初期の姿を探るため、運河周辺の散策は程々に。石造倉庫が軒を連ねる運河地区に、昭和8年築の鉄筋コンクリート造の旧通信電設浜ビルが立っている。

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南運河に繋がる於古発川は、かつて高島郡と小樽郡の境界であった。堺町通りの由来もこの郡界である。

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於古発川は妙見堂にちなみ、妙見川とも呼ばれる。

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堺町通りへ。この地域は隣接する港町とともに明治中期に発展した。元は荒物屋が連なり問屋街を形成していた。

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旧百十三銀行小樽支店。小樽支店の業務拡大に合わせて明治41年に建築された。

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旧金子元三郎商店。明治20年に建てられ、両袖のうだつが特徴的な典型的な明治期の商店建築である。

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旧岩永時計店。明治30年代の建築で、半円のアーチ窓や軒の装飾など細部にも凝ったデザインが見られる。鯱は商店では珍しい。

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旧第百十三国立銀行小樽支店。堺町通りの入口にある旧銀行のかつての店であり、明治28年の建築とされる。平屋建ての和洋折衷建築は見応えがある。

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旧北海雑穀。明治後期の建築で、和風の建築ながら細部には洋風の意匠が取り入れられている。

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旧久保商店。明治40年に小間物雑貨卸の店舗として建てられた。

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旧木村倉庫。明治24年と堺町の最盛期に建てられた大規模な石造倉庫。内部には港から引き込まれたトロッコのレールが今も残されている。
北一硝子が店舗に転用した例は、倉庫を店舗として活用する先駆けとなった。

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旧戸出物産小樽支店。大正15年築、左右非対称で特徴的なデザインが見どころである。

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堺町通りの南端・メルヘン交差点に立つのは小樽オルゴール堂。
旧共成株式会社。道内有数の精米・米穀商で、煉瓦造は小樽では珍しい。

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メルヘン交差点付近からは旧魁陽亭を望める。信香町と入舟町の双方への展望に優れた高台にあり、北前船首や商人で賑わった。日露戦争後の明治39年には樺太境界画定委員会の宴会が行われた。

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明治期に倉庫街として整備された有幌町。今も倉庫らしき建物が多く、道はかつての海岸線に沿っている。

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旧岡崎倉庫。信香町にあり現在は小樽唯一の造り酒屋である。明治38年・39年に建てられた3棟の垂木小屋を連ねている。
信香町は小樽で初めて市街地が形成されたオタルナイ地区にあたる。

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信香町から南小樽駅の方へ坂を上る。
かつてはこの交差点に住吉神社があり、この道が表参道であった。

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南小樽駅を越えた辺りは、明治中期に住之江神社が鎮座していた。
現在市立病院がある土地はかつての量徳小学校跡地で、小樽での教育発祥の地である。

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住吉神社へ。小樽の総鎮守として明治元年に遷座された。鳥居には北前船主、灯籠にはかつての豪商の名が刻まれている。社務所は道内最大級の木造社務所らしい。

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住吉神社からは海へまっすぐ参道が伸びている。北前船をはじめ航海に深く関連した神社であることを感じられる。

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第二運河へ連なる勝納川。オタルナイ場所の上流であるため、江戸時代から和人が居住していた。

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龍徳寺。明治9年建築の本堂は市内で最古の寺院である。銅板で葺かれた大きな屋根が目を張る。

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市民の台所・南樽市場の脇を通り、勝納川に沿って下る。

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南小樽駅の少し西には入舟陸橋がある。入舟川の痕跡の谷を渡る鉄橋で、現在の橋台は明治38年にレンガに改築された。

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19世紀末に宅地開発が行われた相生町から水天宮へ。当初は相生町は海であり、この参道は海へ向かっていた。

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水天宮は桜の名所としても知られている。
本殿裏には樺太国境標石のレプリカが置かれており、今回も見学した。

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海へ背を向ける2代目の参道で水天宮から下り、花園地区へ。山を貫く函館本線と立体交差する。

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花園はかつての花街であり、駅から離れているが商店街が発展している。
19世紀末に尾根を切り崩し区画整理されたため、小樽には珍しく整然とした街並みである。

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花園から小樽駅へ向かうと、昭和39年に高架化されたJRの線路がある。南小樽〜小樽の区間は当初連絡線であり、大通りと交差することになってしまったため、開かずの踏切となっていた。

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於古発川を渡り高島郡に戻り、小樽駅へ帰ってきた。
歴史を知ると街歩きに深みが増すことに気づけ、小樽のさらなる魅力を知りたくなった。今後も小樽を歩こうと当時は思っていたが、次に訪れるのは1年後であった。

北海道小樽市

2022/04/27

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