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【おこるでしかしぃ#11】大晦日の舞踏会(4)

んでまあ、その女とホテル行ってんけどな、結局。まあ、やることやったらもう、とっとと帰りたいのが人情っちゅうもんやわな。初日の出も上がったこっちゃし、だんだん顔もはっきり見えてくるさかいな。でもな、そういうときに限ってな、なかなか相手は帰りよらんもんや。相変わらずその女はしつこかったんや。

「なあ、ちょっと用事あるから帰るわ」
「ええ、なんでぇ。初詣行こうよぉ」
「いや、わしクリスチャンやからあかんわ」
「えっ、ほんとぉ。じゃあ、ムリだわねぇ」

その女、わしの言うこといちいち信じよんねん。

「じゃあ、おうちに遊びに行くぅ」
「だから用事あんねんって」
「なんの用事があるのぉ?」

もうな、ほんまに面倒くさかったからな、「これであきらめてくれるやろ」思てな、ムチャクチャいい加減なこと言ったってん。

「いや、わし、イタリア人とのクォーターでな。これからミラノのじいちゃんの家に里帰りせんならんねん。飛行機の時間もあるこっちゃしな」

こんだけてきとうなこと言うたら、さすがに帰ると思てんけどな。

「ええ、そうなのぉ! そうかと思ってたぁ。じゃあ、わたしぃ、成田まで見送りに行くぅ」

そんなもんっ、ウソに決まってるやろがあああああああああああああああああ。
なんでも信じたらええっちゅうもんちゃうやろっ、ぼけええええええええええ。
おのれはっ、どこまでついて来るつもりなんじゃあああああああああああああ。


はよ帰らせてくれ。

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