最近の記事

昔話 (1) 体力

20代になってから、もう10代の頃のようには無理ができなくなりました。 自分の小さい頃、「シャトルランって仮に無理してぶっ倒れても、みんなが見ている前でぶっ倒れるぶんには救急車呼んでくれて助かるだろう。そこらへんの道端でランニングしてぶっ倒れるのと比べればましだな。無理しまくっても多少は大丈夫。」とか考えながら暢気に走り続けていたら、知らないうちに自分がクラスの一人にまで残っていました。今考えると、昔から相変わらず自分は理屈だけでしか物事を考えないんだろうな、と思うのと、そ

    • おいしいおみせ(東京都内)

      おいしいお店についての自分用メモ。行ったことのあるお店と、ないけど他人から勧められて知ったお店を載せていきます。 僕が行ったことのあるお店についてはできるだけ詳細にコメントを載せているので、行ったことがあるのか・ないのかは秒で察してください。近いうちに行こうと思っているお店もいくつかあるので、食べに行ったら、帰ってきた瞬間に更新します。 僕のおすすめ度合いは、僕の載せたコメント内容から察してください。どれもおいしいですし、僕の気に入っている好きなお店だけを載せていますの

      • それでも鳥は鳴いている (短編小説)

        起きてしまえばいいのに,どうしても起こらないことがある。それはちょうど,肌触りのよくない服に擦られることで,体のうちの特に鈍感なところまでもが敏感になってしまうかのように,あるいはぼくの指先にある細くて小さなすじのひとつひとつが,束ねられていつしかぼくの身体の中心をつらぬいてゆく大きな運河となってしまうかのように,そのくらいもっともらしくないように思われた。夕立の音に耳を貸しながら,昨日のぼくはたしかにそのようなことを考えていたが,しかし今朝になってみてあらためてそれは少し違

        • 早稲田大学戸山図書館 閉館の音楽(3曲)

          閉館のときに流れる曲を,覚え書きとして,リストアップしておきます。すてきな曲です。 1曲目: Old Friends (Simon & Garfunkel)原曲 ギターアレンジ by M. Barrueco (実際に流れているのはこれです) 2曲目: Children's Song No.1 (Corea)原曲 ギターアレンジ by M. Barrueco (実際に流れているのはこれです) 3曲目: Bookends (Simon & Garfunkel)原曲

        昔話 (1) 体力

          中世哲学における神の存在証明

          トマス・アクィナス『神学大全』における神の存在証明について。 この記事ではまず,神の存在証明とは何であり,なぜ証明する必要があるのかについて扱う。その後,実際に5つのやり方で証明する。 1.なぜ神の存在証明は必要か。中世哲学において,神の存在は,信仰の結果として得られるものではない,と考えられていた。 そもそも神の存在は,それ自体として自明なものであるが,しかしわれわれ人間にとっては自明ではないものである。 ・それ自体として自明ある:神は,存在の原因を他に持たない。つ

          中世哲学における神の存在証明

          僕が普段よく使うLaTeXのプリアンブル

          僕が普段よく使っているLaTeX文書の書式を載せておきます。ご自由に参考になさってください! 想定: ・本の証明の行間を埋めてまとめたノートを作りたい! ・膨大な文書をできるだけ手軽に効率よく編集したい! 特徴: ・LuaLaTeX & jlreq を使用します。 ・Macからヒラギノ書体を表示させます。(luatexja-preset) ・定理環境を見やすくデザインしてあります。(tcolorbox) ・カラーユニバーサルデザインにも対応。(definecolor) ・

          僕が普段よく使うLaTeXのプリアンブル

          勉強用noteにします

          今後,このnoteを勉強用にしようかと思います。 どう使うかについては,やっていくうちに試行錯誤しようと思います。 関心: 現代英語圏の言語哲学,分析形而上学,心の哲学 科学史,フランス科学認識論 古代における知識論 主にこのあたりの分野の勉強メモを残していこうと思っています。 人に見せることのできる質の文章を書くよう心がけますが,誤った理解をしている箇所もあるかもしれません(ご了承ください&ご指摘いただけるとありがたいです)。出典は欠かさずに示します。

          勉強用noteにします

          プロ (短編小説)

          彼と知り合って以来、僕にはそう信じてやまない事実がひとつだけある。彼が、紛れもなくバックパックのプロということだ。そもそもバックパッカーというのは旅人のようなものだから、職業人という意味でプロのバックパッカーがいるわけない。そんなのは言うまでもないことだろう、これほど馬鹿げた話もない。しかし彼こそは、本物のバックパッカーとしてふさわしい人物であると僕には思えるのだ。 きわめて厳格な性格の持ちぬしである彼の旅行は、まずとにかく準備から始まる。彼がいつも、初めての場所であろうと

          プロ (短編小説)

          お腹をすかせた人が

          お腹をすかせた人が動物園内で動物を襲って食ってしまわないのは、単に人が「狩りをする」という知を"持たない"がゆえに「狩りをする/しないの選択肢がそもそも存在しない」だけか、それとも「動物を襲って食わないほうがいい」という知を"持つ"がゆえ「狩りをしない選択肢を(積極的であれ消極的であれ)自ら選んでいる」といえるのか。

          お腹をすかせた人が

          2022年を振り返って

          いろんな距離にいろんな人がいる……その微妙な隙間ひとつひとつを悪意という仮面で被すことなく見つめ直してみたい、という気持ちと裏腹に、やはりどこか埋まることのないその隔たりを、何層も折り重ねた“気のせい”で満たしてしまいたい、そういう思いが絡みあっていくうちに、気づいたら一年でした。

          2022年を振り返って

          学ぶ

          机の上で学べなかったことは、黒板の前で叩き込まれました。

          kawaru-gawaru (短編小説)

          ぼくの自宅からみてちょうど真向かいに、手入れのよく行き届いた雑木林がある。その中へと分け入り、舗装されていない細い一本道をしばらく歩くと、少しだけ奥まったところに三差路がみえる。三差路のいちばん右をそのまままっすぐ進めば、木々の葉がいよいよ覆い重なって、昼でも太陽の光が見えないほどの暗さとなる。しかし、その場でじっと立ち止まったまま目を凝らしてみれば、真あたらしい新築の家がみえるだろう。白くて小柄で初初しい、差し掛け屋根の一軒家。そこに双子の姉妹がたったふたりだけで暮らしてい

          kawaru-gawaru (短編小説)

          ほんとうに心が限界のとき、メールの文面に「お疲れさまです」と書かれているだけなのに、まるでぼくの疲れを労ってくださったように思えてしまうことも、あるんだ。

          されちまえ (短編小説)

          職場の最寄り駅から歩いてすぐのところに、僕の気に入りの寿司屋がある。昼前になると店を開いて二時間ばかり営業するが、夕方になるといったんのれんを下ろしてしまい、しばらくして夜が近づくとまた客を迎え入れる。要するに、昼の客と夜の客がいるわけだが、たいてい僕は昼の客だ。 昼間に僕がそこの寿司屋に行くたびに、店長はいつも「夜のお客さんは、めったやたらに声がでかい」と愚痴をこぼすのを、僕はたびたび耳にした。そもそも、これほど風格のある老舗の寿司屋に、夜にかぎって声のでかい客が来る、と

          されちまえ (短編小説)

          実りの前に (短編小説)

          昼どきが過ぎると、寿司屋の入口ののれんが取り外されて、駅前通りはいっそう寂しくなった。誰もいない、誰の声も聞こえなかった。ただ秋の気配だけがそこにある。風が少しだけ肌寒いような気がするのは、薄着で出歩いているからだと思う。僕に上着を貸してくれる呉服屋もなかったし、上着を僕が返してもらうクリーニング店さえもなかった。 陽が傾いて、駅前の寿司屋ののれんが取り外されてしまえば、この街には何も残らない。何年か前に、市の議会で「空が見えないまちづくり」という標語が打ち出されて以来、こ

          実りの前に (短編小説)

          ひとりどり (短編小説)

          行き先をまだよく調べていないのに、気付けば最寄り駅のプラットホームで切符を握りしめていた。仕方がなかった。頼まれたのだ。行ってこいと言われたから行く。湿った空気があまりにも重たく鼻先にのしかかっていた。さっきからずっと僕は、唇の先をすぼめながら、へそのある場所を手でティーシャツの上からぐりぐりと、人さし指でなでたりいじったりしている。時々つまんだりつねったりもしている。電車が来るまでの時間をこうやって弄ぶことしかできなかった。 焼けたせんべいの香りがすると思って、あたりを見

          ひとりどり (短編小説)