殷周伝説 横山光輝

 時間がとれたら、ずっと読みたかった。文庫本で、全12巻。潮漫画文庫という聞いたこともない文庫から出ている。横山光輝と言えば、彼の代表作である三国志は、中学生の頃読んで、感動したことを覚えている。よく60冊も読んだものだ。正し、殷周伝説は初出が2000年以降なので、三国志より後に書かれたものである。
 殷周伝説は、その三国志の時代よりかなり下った時代のことである。名前だけは聞いたことがあり、故事にもなっている武王とか文王とか太公望がどのような人たちでどのようなことをしたのか、知りたかった。
 感想は、こんな感じ。
- 出てくる武将の姿形が似ていて区別が絵だけでは、区別がつかない。冠とか衣装とか違うけどそんなのよく見ないとわからない。三国志だと、主要武将は、明らかに異なった描かれ方をしているので、目立つ。区別がつかないので、字で補完することになるが、そもそも、出てくる武将がどれも似たような仕事しかしてないので、特徴がつかみにくい。
- 戦闘に女・子供・仙人などが多発する。しかも、仙人が使う妖術がかなり強く、数万の兵がやられてしまうことがある。女や子供もなぜか協力な武器を使い強い。この辺は、少年誌に掲載されたものであろう。かなり史実とは違いデフォルメされている。
- 太公望 呂尚は、戦場で実際に戦ったりして、諸葛亮孔明や黒田如才のような軍師のイメージとは違った。あと、結構戦術に失敗し、味方を殺してしまうこともある。本作では、文王や武王は殆ど登場せず、太公望は、殆どこの物語の主人公といって良いが、いまいち、ぱっとしない。
- 物語に出てくる「土行孫」(これで、どこんそん と読む)という妖術を使えるキャラが強すぎる。裸になってカメレオンのように姿を消して、敵の城に侵入したりすることもできる。戦場でも捕縛丈を使い強い。しかも、そんなに強いのに、あっさり最終巻で殺されてしまう。


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