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細かすぎるけど伝えたい、『ごめんねFingers crossed』(レコ大)

はじめに


 さあ、レコ大が終わり生田さんが乃木坂46として立つステージは紅白を残すのみとなりましたね、どうもひょうたんです。師走の忙しさにかまけて卒コンのレポを書くことができなかったのでこの時間を使って書こうかと思っていたのですが、あのレコ大を見て書かずにはいられなかったのでこちらを優先することになりました。にしても時間がないので本当はシンクロやAKBについてもたっぷり書きたいのですがごめfinの曲自体の感想だけにするとします。行くぞー!


今だってもちろん好きだけど

なぜだろうあの頃に戻れない

君の幸せをずっと祈っているよ 

ごめんねFingers crossed


 今までのこのOP部分はさくちゃんが振り向いた瞬間にそこまでがどんな文脈であろうとその場を遠藤さくらのための空間にする効果があったのですが今回は少し違うように感じました。正確には東京Dあたりから少し変わってきていると思っていたのですが今回はよりはっきりと。なんというか振り向いた瞬間に場を支配する時期も見てきているからなのか、私は遠藤さくらが振り向く前からすでに遠藤さくらを渇望している状態だったんですよね。そして振り向いた瞬間に待ち望んでいた瞬間が訪れ、遠藤さくらが私が抱いている高すぎるかもしれない期待を「超えてみせますよ」と言っているように見えました。エンターテイナーの目というか。全ツ福岡で言うと1日目ではなく2日目の目をしていた(福岡二日目は若干1日目の精神状態を引きずっているようにも見えるが)、そんな気がしました。そんな目をした遠藤さくらがメンバーの間を悠々を歩くカットを見て、全メンバーが遠藤さくらに勝るとも劣らない気概で臨んでいることを認識させられるのです。この流れによる体のしびれは何度パフォーマンスを見ても衰えることがありませんね(毎回同じ種類の心の動きではないが)。

 そしてfingers crossedポーズをするさくちゃんの抜けに映る絢音ちゃんがあまりに美しすぎる。俯くタイミングとか何?俯くだけで一生食べていけるよ?昔から「乃木坂らしさを背負っている」という描写をされることが多い絢音ちゃんですがこの曲がそもそも絢音ちゃんがまとっているような”乃木坂らしさ”とは異なるものなので異質に移り、際立って美しく見えるのかもしれません。


愛し合うそのことが初めてだったから
すべてがぎこちなくてキスだった下手すぎて
緊張しながら何度も抱き合った


 飛鳥遠藤山下による画面ブレイク。(豪炎寺鬼道円堂によるイナズマブレイクみたいに言うな)このパフォーマンスもれなく全員が目で画面を割りにきてるんですがこの三人はやはり攻撃力がえげつないですね。そしてその前に佇むあやレイがしっかり風景として佇んでいるのあまりにも絵画ですね。

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手を伸ばせばいつだって君がそこにいる


 生田ソロではなく松村さんのポジションに絢音ちゃん。ライブなら生田ソロのほうが評価されたかもわからないが、レコ大で披露するのにおいては代打を立てるのが大正解であり、27thのアンダーメンバーだと確かに絢音ちゃんが最適解だと思います。生田とペアを組ませる相手というのは関係性がある相手だと一気にその方向での解釈になるので人選が非常に大事だと思うのですが、今回の場合生田さんと絢音ちゃんの間に具体的な関係は特筆すべきものではないが、いわゆる”乃木坂らしさ”を日ごろから背負いながらこの場ではごめfinの世界線を全うしているという意味では親和性が高かった。そしてここぞというところでの代打や裏センターとしての適性が抜群の絢音ちゃんなのでもう納得です。(納得とか偉そうに言うなパフォーマンスを享受してる立場で)この絢音ちゃんも最高に目で画面を割りにきてますね。

 生田さんにこういう解釈を持ち込むのもグループを離れたらなくなってしまうのかなと思うと急にひたすら寂しくなってきました。最初からミュージカル女優でも活躍していたのかもしれませんが、それだとアイドルとしての生田絵梨花、乃木坂の中の生田絵梨花を楽しむことができなかったと思うとやはり乃木坂に入ってくれてありがとうというありきたりな言葉に帰着するのです。


当たり前になってしまったその存在に


 久保とみなみちゃん。山下や絢音ちゃんと違ってここの二人は冷たい目つきで画面を割りに行ってるのすごく良いですよね。個々が一番の武器で画面を割りに行ってる。(画面割るって多用しすぎてこれがそもそも結構なファン特有の表現であることを忘れそう)

 みなみちゃんの髪飾りよかったですね。普段の音楽番組ではかなり顕著に表れていることですが、AKBが個の主張が根底に流れる中で一体感を演出することにフォーカスしているのに対して乃木坂は一体感が根底に流れる中でこの魅力があふれ出ていることが多いです。今回のレコ大はAKBが比較的ワンショットが多く、乃木坂はかなりヒキの画が多かったので普段より根底の流れが強調された形ではありましたが。そんな中でみなみちゃんの髪飾りは個を主張するアクセントになり、本人のパーソナリティにもあっていてよかったと思います。


甘えて油断してたタイミング


 ”日常”の北野日奈子がいた。絢音ちゃんとひなこちゃの場所はこれで正解だった思います。この方がより互いの良さが生きる。


会えない時間が寂しくなくなって
気づけば心は離れてた
やり直そうと言われたら
僕はどうした?


 見どころたっぷりのサビ前ですが曲のテンポ感に合わせてサクサクいきたい。

 れんちゃん。フラットな表情が曲調にマッチしていて良いし眉をピクリとあげるだけであんなに人を引き付けられるのは流石の一言。

 掛橋。マジ淑女。

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 からのあやめちゃん乃木坂の塊すぎる。

 打率バケモン女、レイセイミヤ。

 まゆせーらの初々しさと洗練の狭間のパフォーマンス。

 新内さん絶好調。

 ちまちゃん特大ホームラン。


今だってもちろん好きだけど

なぜだろうあの頃に戻れない
冷静じゃないから恋ができるんだ
客観的って自分らしくない
明日ももちろん好きだけど

近づかない遠い光のままで言葉にできないこの気持ちをそっとさよならFingers crossed


 ここまで割と個人にフューチャーされてきたけどやっぱり遠藤さくらが支配してたんだなと思わせられる。一瞬でそう思わせる強さがある。サビの頭はいくみなが若干離れてシンメを組んでいるわけですが、これがくぼしたの風神雷神のようですごく良い。私の中の解釈ではいくみなはくぼしたと違って普段からかなり近い距離でいるペアだと思っているのですが、この二人を離れておくことで風神雷神のような覇気をまとうことができるのかといくみなラスト観測にして気づかされました。

 え、今自分で書いて気付いたけど紅白生田さんピアノだからいくみならしいいくみなはこれが最後じゃね?え?情緒なんだけど(ここにきて日本語喋らなくなるの何)

 そんでもってやはり飛鳥山下が強いとか色々ありますが、このサビはもういちいちかいつまんで見るよりオーケストラに乗ってパフォーマンスをする流れで見たほうがよさそうですね。まあ言ってしまえば全体を通してそうなんですが。

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Wow wow wow


 みんなこの後息できた?録画みるときはぜひこのあとのパフォーマンスもちゃんと見るためにイナズマブレイク()食らった後一時停止することをお勧めします。

 ここでもそうですし全然キスが下手そうじゃないでおなじみのカットでもそうですが、というか最近割とずっとそうですが、飛鳥ちゃんのいいところとしてダンスよりも言動があげられることが増えたように感じます。飛鳥さんも白石さんみたいなポジションになってきたのかなあとしんみりしますが、やっぱりパフォーマンスは注視すると健在です。細部まで洗練されたパフォーマンス。ダンスに詳しくないので想像ですが、後輩の個性に目を引かせるために自分のダンスの癖を出すのをやめたりしてるんでしょうか。私もまんまと見落としちゃうことが多いので飛鳥推しの皆々様には是非飛鳥さんのいいところを発信し続けていただきたく存じ上げます?


Ah なんて

人間の感情は身勝手なものだろう
愛がなくなったら生きていけない


 生田さんと絢音ちゃんのペアダンスから久保とみなみちゃんのシンメ。まあ生田さんのペアダンスの良さはもう言わずもがなですよね。(解説でそういうこと言う教師めっちゃ嫌い)(単純に言語化が難しい)

 図らずもグループを去る生田さんとみなみちゃん、受け継いでいく絢音ちゃんと久保という意味合いのあるシンメになりましたね。久保は生田さんのように活躍してほしいし、(”第2の生田”と呼ばれるのはプレッシャーだろうしあんまり私も呼びたくない。表現が思いつかないからこう書くけどなんというか”第2の生田”になってほしいと言いたいわけではない。生田のように。)絢音ちゃんは乃木坂の核のようなものを表現し、伝えていってほしいなと思います。


誰もみんな思い込んでるのに

大丈夫


 この一年で梅はすごい成長したなと思います。正直7thバスラ以降重い役割を背負わされたせいなのか、梅本人が見えてこない上にあてがわれている役割に能力が追いついていないからあまり評価できなかったんですけど、この1年で梅らしさも見えてきたし、あてがわれた能力に応じた迫力も出てきたなと思います。この覚醒のきっかけって結局何だったんでしょうか?映像研なのか、26thなのか。これからますます楽しみです。

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最終列車で見送るステーション
僕だけどうやって帰ればいい?
動き出した窓ガラス
指をクロスして


 横から歩いてきてセンター前に座って何の違和感もない久保様もこの1年さらに力付けましたよね。久保はかなり前から評価していたので正直補正が入っているのでこの1年でどれくらい伸びてきたかとかあんまり言えませんが確実に伸びたと思います。久保さんレベルの人がぐんぐん伸びるの言って結構すごいことだと思っていて。好きなんですよねやっぱり生田さんの系譜の人種。

 あと窓ガラスのところの与田のカメラ目線はさっきのみなみちゃんの髪飾りと同じ理由でgoodでした。結果的にちょっと統率が取れてないような感じにはなりましたがグループにはああいうことができる人もいていいだろうなって思います。ただ与田の引き出し不足でちょっと一人だけポップな感じになったので結局のところ今回についてはみなみちゃんの髪飾りくらいの規模感なら曲のテーマから外れた自己主張がアクセントとして機能するのかなと思いました。与田はそういうところの加減間違えそうな雰囲気プンプンするのでシンプルにこういう世界観のある曲への適応がまだ今一つなのかなとは思います。

 で何回も言いますけど飛鳥山下だけもうなんか別の競技してますよね。何か一つとびぬけているというより存在がもう飛びぬけている感じがします。それを両脇に抱えて支配的なオーラを出している遠藤さくらは本当にもう何者なんだかわからん。

 と書こうと思って映像確認してたらこの時点でちょっと遠藤さくらのギアが切り替わり始めているように見えました。どのあたりからかと思って巻き戻してみたのですがどうやら2番に入ったあたりから少しずつギアが変わっているようです。この抽象的な話は次のサビの項以降で。


いつの間に壊れていたのかな
無我夢中追いかけるのその欲望
考えるより先に行動してた
慣れてしまうとドキドキしない
メモリー壊れていたのかな
本能の一部を復元しない
後悔しそうな胸の痛みをそっと
このままFingers crossed


 まず山下と清宮ですよね。さくちゃんの話はもうちょっと先でさせてください。(どうぞ)山下の不敵な笑みが刺さらない人なんてそうそういないと思いますけどぶっ刺さりすぎて困りますよね。あんだけやってて曲が壊れないのは曲にベストマッチの自己主張をしてるからなんでしょうね。余談ですが『慣れてしますとドキドキしない』と『メモリー壊れていたのかな』の間の移動でさくちゃんと顔を合わせていたのは意図的なのか、さくちゃんが動線確認したときにたまたま目が合ったのかどっちなんですかね。前者だとしたらあの状況でさくちゃんと目合わせて笑いかける山下美月ちょっとかなりすごく恐ろしい。

 そして清宮は髪の短さもあってもう生駒です。2列目、3列目で映って最高に映えるパフォーマンスのキレというかわかりやすさというか。であってちょいちょい西野七瀬みたいなタイミングで笑います。私は初期からレイちゃんの顔が好きということもあって結構目で追うことが多かったんですが、I see...→26thでぐんぐん伸びたなという感じです。ほんとにこれから楽しみな子なんですが一つ懸念事項として生駒、伊藤万理華の系譜に入ると序列に恵まれないというのがあるんですよね。2列目3列目においておくと最高に映えるしなんならアンダーとかやらせるとメッチャ良いものが見れると思います。しかもちょうど掛橋田村早川というフロントに立たせたくなる人が同じくらいのスピードでいろんな種類の実力をつけてきてるんですよね。私がレイちゃんが好きだからという理由ですがそういう立ち位置にさせることに申し訳なさを感じます。上に行かせあげたい気持ちはあるのに(レイちゃん本人も夜明けフロント組に負けたくないといったようなことを言っていた覚えがある)今の場所でいることを過剰に評価してしまうことに。色々思いますがとにかく今後楽しみな子です。このレコ大も一回通してレイちゃんフォーカスモードで見ても後悔しません。私が保証します。

 さてやっとさくちゃんのギアが変わった話ができる。2番に入ったくらいから俗にいう福岡1日目のような状態になってきてる気がしました。すなわち今にもぶっ壊れそうな状態。ただ福岡1日目と違って壊れはしないだろうと思えました。27th期間、全ツを終えて自信がついたのか、そういうときのメンタルの保ち方を身につけたのか、憧れの先輩の最後に情けない姿を見せたくない、受け取ったものを表現して恩返ししたいと思ったのか。真相はわかりませんがなんせ1番の時より不安定な状態であったことは間違いないでしょう。その状態の遠藤さくらを消費する危うさはありますがやはりその姿に引かれずにはいられないんですよね。人を釘づけにする力がある。使い古された言葉で言うと”センターの素質”だろうか。


アウトロ


 さくちゃんですが口を真一文字に結んでこらえるような姿もありましたし何より最後の表情ですよね。初めて見た表情だったと思います。崩れ落ちそうな儚さと決して崩れないだろうという強さを読み取らせる表情。その裏にある背負いきれないほどの背負っているものも透けて見えるけど一切見せようとしない、そんな表情。

 今年1月、白石麻衣が卒業してから初めてのシングル発売。山下が初センターを見事に務め上げ次世代への希望を見せた。その次のシングル、そのバトンを渡された遠藤さくら。2度目のセンターはグループとして2年ぶりの全国ツアーでの座長も兼ねた。その千秋楽は4年ぶり2度目の東京ドーム。1年半前に3daysで白石麻衣卒業コンサートを行うはずだった会場でグループ結成10周年と高山さんの卒業を祝った。今年も卒業するメンバーが相次ぎ、松村さん、桃子さんのラストステージでのごめfinでもさくちゃんはセンターを務め上げた。そしてこのパフォーマンスでは永遠の憧れの生田絵梨花を見送る。そんな2021年の日本レコード大賞に1期生以外として初めてセンターに立ち、『ごめんねFingers crossed』を披露する。ぶっ潰れるのが普通だと思えるほどのものを背負って彼女がこの場に立っていたのは、このグループが他のどこでもない『乃木坂46』であり、彼女が他の誰でもない『遠藤さくら』だったからだ。

 そうしてあの表情が生まれたわけだが、この表情は絶対に2021年12月30日にしか見れない表情であった。この日以前にあの遠藤さくらは存在しなかったし、これ以降の彼女はきっともっと強くなった姿を見せてくれるだろう。いずれは儚さをすべて内に秘めた完全なエンターテイナーとしての彼女になってしまうかもしれない。私たちはその一瞬一瞬の遠藤さくらを心に刻まなければいけない。そして彼女が歩んだ道を振り返るとき、必ず2021年12月30日は重要な通過点として記されているだろう。


おわりに


 こんな伝説的なパフォーマンスを経て迎える12月31日は生田絵梨花がアイドルとして私たちの前に現れる最後の日。普通に間に1か月挟んでくれないと消化できない。しかし私たちもどう切り替えればいいのかわからないが、さくちゃんをはじめメンバーは、あの『ごめんねFingers crossed』に加えて生田絵梨花のラストステージの『きっかけ』を作り上げなければいけないのだ。我々が折れるわけにはいかない。どう考えても折れている場合じゃない。生田絵梨花の乃木坂としてのラストが最高の花道じゃないわけがない。彼女たちができないことなんてない。だから私たちは心してその時を待ちましょう。ありったけの感謝を胸に。

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