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乃木坂46 10th year birthday liveレポ①-セトリ概観と久保史緒里さん-

 どうも、生田さんが卒業してからグループ内では清宮レイちゃんを愛でているひょうたんです。今回私は10th year birthday liveに2日間とも現地参戦しました。「生田さんがいない乃木坂のライブどうやって楽しめばいいんだろうなあ…」なんて心配はよそに前日に連番相手と会う時点からテンション高すぎた自分にちょっとウケています。てか生田さん来たし。何者だよあの人。まあこの話は追々。それでは書きます。

お祭り

 今回のライブ、最近のライブと比べてかなり異質でした。最近のライブの傾向として「掘る」内容になっていると思います。卒業コンサートや期別ライブではメンバーがセットリストにアイディアを出し、定番曲というよりも自分たちの思い入れの深い曲、その時の主人公の物語性を孕む曲を多くセットリストに組み込み、クソダサゴシック体乱用映像(口悪)に挟まれたそれぞれのブロックを作り上げていくイメージでした。それに伴って人選も異なり序列至上主義ではなく、メンバーの意見をもとに参加メンバーが選ばれることもしばしばありました。それにより曲ごと、ブロックごと、ライブごとに物語が生まれるようになり、昔はもっとマイナーだった物語性の消費がかなりメジャーになってきたと感じています。その最たる例が去年のベストアルバムの個別ジャケ写だと思っていて、メンバーが衣装を3着選ぶことにあんなに盛り上がることになるとは一昔前では考えられなかったでしょう。
 しかし今回のバスラでは、とにかく「派手なお祭り」にすることを意識して作られていると感じました。
 近年の「掘る」演出は内向きの消費を加速させ、村内での盛り上がりは大きなものとなると思うのですが、広く浅く届けるものとしては適していないと思われます。そのライブを初めて見る人が松村さんの卒コンの「急斜面」のスポットライトの演出を見ても何も思わないでしょう。
 今回のバスラ、前半の振り返りパートでは一つのブロックを曲だけでつなぐのではなく、短い映像をはさみながら(しかもその映像のナレーションが素人の私でも知っているような豪華声優の方)次々にどうしても外せない曲だけをかいつまんで披露していた。そして卒業生の登場。歴史を追い切って「他人のそら似」で本編を終了するのかと思いきや年代の縛りにとらわれないライブパート。オーケストラパートで本編を終え最後は卒業生と一緒にゴリゴリのライブ曲でアンコール。約4時間の長いライブにこれでもかと要素をぎゅうぎゅうに詰め込んだ内容となっていた。
 日本で一番大きな箱で、今までで一番大きなお祭りをやる。その結果そぎ落とされたものもありましたが、このコンセプト自体は10thバスラにふさわしい単純明快なものだったと思います。

このセトリどうなん?

 今回のセトリ、皆さんはどう思いましたか?「この曲やらないの?」って曲多くなかったですか?僕も結構思いました。「Hard to say」、「羽根の記憶」、「ひと夏の長さより・・・」、「錆びたコンパス」、「全部夢のまま」、「あの日僕は咄嗟に嘘をついた」、「やさしさとは」、「価値あるもの」など挙げればきりがないほど力のある曲がスルーされたなと思いました。今回のセトリのテーマとして前半は乃木坂の物語の軸に忠実に沿うことを意識して作り、後半は文脈を無視した曲の威力でソートしたものとなっていたと思います。そしてその中で他の文脈を孕むものはなるべく除外していたのかなと思います。例えば「羽根の記憶」は生田卒コンから46時間TVで生田-久保の物語の色が強くなってしまった。「ひと夏の長さより・・・」は真夏さんと松村さんの曲、そして夏の曲というイメージがある。「錆びたコンパス」は山崎怜奈の物語のテーマ曲であり、「やさしさとは」は松村卒コン→生田卒コンでオリメンの物語が強まってしまった。などなど少しでも乃木坂本体の物語から逸れているものを極力排除した結果の各日前半のセトリだったと思います。

 後半のセトリは時空を歪ませるレベルの力をもった曲を抽出して並べたものでした。特にこの展開を全く想像してなかった1日目の脳汁の出方は異常でした。I see…→スカイダイビングのイントロでの脳の溶け方を思い出すともはやちょっと気持ち悪いくらいです。2日目後半のセトリは古い曲中心だったので脳汁ドバドバという感じはありませんでしたが最後のオーケストラ杉山楽曲三連単は圧巻でしたね。なんてエロい演奏をするんだろうか。構成自体は2日とも同じでしたが趣旨が若干違ったので両日とも楽しめました。

”久保史緒里”と書いて”乃木坂”と読む

 今回のバスラ、前項で述べた通り、派手にするために焦点を当てるメンバーをいつもよりさらに限定していました。焦点を当てられていたのは飛鳥、梅澤、真夏、遠藤、賀喜、山下、久保、楓、そして卒業生くらいではないでしょうか。参加曲が少なかったので与田、井上は次点という感じです。他のメンバーは与えられた少ないチャンスをどうするかだったと思います。

 ここでは久保史緒里さんに注目して振り返りたいと思います。久保さんはただスポットライトを当てられていただけでなく、乃木坂の物語の中の人として描かれていました。特に注目したい曲としてday1から何空、今誰、きっかけ、day2から日常、ぶらんにゅー、僕僕、Tight Hug、きっかけを挙げます。

 何空は生田さんの意志を直接的に継ぐ曲。一期生の卒業が続く中でも比較的長くオリジナルセンターが守り続けられたこの曲のセンターが遂に変わったことにやはり時の流れを感じてしまいました。パフォーマンスは久保さんを含め良かったのですが、生田さんが覇王の風格を纏って束ねるパフォーマンスとは異なるパフォーマンスでした。きっとこれから進化していく曲の一つだと思うので期待しています。

 くぼした今誰。ヲタクの妄想みたいな布陣でしたね。パフォーマンス自体はきれいにまとまっていて、その中に二人の目が合うシーンがあって、そこに本人たちが一番意味を感じている。最高に"くぼした"を感じさせた一曲でした。そんな曲を乃木坂の文脈の中で披露できたことに非常に大きな意味があったと思います。

 一日目のきっかけは去年の全ツの一人ずつ歌う演出をワンハーフにして生田さんが抜けたことにより柚菜ちゃんと久保さんがスライドした形になりました。何空もそうですが「ここまで直接的に背負わされるのか」と少しゾッとしました。勿論それに値する実力を持った人ですが、これはアルノちゃんが"圧倒的な歌声"で歌姫を引き継げなかった代償なのか?()とも思ってしまいました。

 しかし一日目の久保さんは極めて自分らしくパフォーマンスができていたと思います。年月が経ち曲のパワーが落ちたからか分かりませんが、背負いすぎることなく自分なりの解釈で臨んでいたように感じます。それこそくぼした今誰。そんな久保さんに救われた一日目でした。

 二日目のハイライトの一つ、日常。現役のアンダーメンバーを差し置き、全員の期待に応え久保さんがセンターに立った。この日の久保さんは1曲目から"かかって"いました。そして迎えたパフォーマンスですが凄まじいものでした。覇王のような眼差しから始まりラスサビに向けて感情がむき出しの久保史緒里が見えた。晩年の日常を乗りこなしてしまった日奈子ちゃんでは出来ない唯一無二のパフォーマンスでした。

 意外だったぶらんにゅー。意外だったけどこの曲入ってくれて良かったと思います。day1から先輩の役割を背負わされまくっていた久保さんがオリジナルのセンターとして同期とステージに立つ時間があることで7thバスラの梅にならずに済みました。いや今の久保さんの実力と耐久力的に無くても壊れないとは思いますが本人の中で一つ落とし所があるのとないのとでは違うと思うので。そんな久保さんにとっての救いの色が濃い曲が乃木坂自身の物語を辿る前半で組み込まれたのは、久保さんを例にあげて他の後継者と呼ばれるメンバーにもこのような救いが必要とされてきた、そしてそれがようやく2021年頃に形になって現れてきたという歴史も描いているのかな、と感じました。

 僕僕は直接的に乃木坂の物語の一部として描かれていますが、やはり救いだったと思います。フロントの三人ですが、山下のガルル、梅のシンクロに加えて今回久保が何空を手に入れたことでようやく今後の軸が見えた気がします。先輩が築いてきた偉大な乃木坂を続けていくという意味でこの三曲は今後のライブシーンで大きな役割を果たすと思います。そんな意味で神宮でこの三曲が披露されるのがとても楽しみです。

 Tight Hug。僕は生田さんの卒コンに入れなかったのでオリジナルを生で浴びることなく生田さんが卒業してしまったのですが、まさか生であれを見ることができるとは思わなかった…。曲が始まった瞬間、もっと言えば生田さんが現れた瞬間あの12月が帰ってきたようで感無量でした。久保さんにとって生田さんは最も尊敬する先輩の一人であり、自身が背負うことになった役割を自ら生み出し、やり遂げた人です。彼女はあの時泣きながら何を考えたのでしょうか?いつか来る久保さんが乃木坂を去る時、あんな時間が返ってきたらいいなと思います。

 2日目のきっかけ。前日とは違いオーケストラ、そしてラスサビ前を柴田→久保から久保→5人にしていました。2011-2016と銘打ったday1で個人をそのまま継承する形を取り、2017-2022と銘打ったday2で一人には背負わせない、全員で乃木坂を続けていく姿勢を見せたのは凄く的確な歴史の解釈だなと思いました。僕個人としてもday2の姿勢をグループには忘れないでいてほしいのでこっちのきっかけが好きでした。

 このようにこのライブ、随所に久保さんが様々な解釈で使われていて、今後もポジションはともかく乃木坂の核を担っていく人なんだなと感じさせられました。本当に凄い人だ。

名残惜しいですが

 他にも色々書きたいことがあるのですが散らかりそうなのと書く時間があまり取れなさそうなのでここで一旦締めます。1週間後には出したかったし。もう1,2本書きたい気持ちはある…

 改めて乃木坂ちゃん10周年おめでとうございます!これからも、次の10年も、期待しています!

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