アユのエサ釣りに初挑戦
※掲載終了の「@niftyつり」から2011年6月12日の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。今回は珍しく川釣りです。私の特殊能力である「初心者力」が見受けられますね。たまにはこういう釣りもいいですね。またここに行きたいけれど、もはや場所がわかりません。
アユを釣ってみたいのよ
今回はアユ釣りに初挑戦した話。ただしアユ釣りといっても、オトリを使った友釣りではなく、もっとハードルの低そうなエサ釣りである。アユのエサ釣りは、昔から一度やってみたかった釣りなのだが、こういう釣りって誰かの案内がないと場所や釣り方がなかなかわからないもの。
今年こそはどうにかしていきたいなと思っていた時に、オンラインな友人が千葉県内を流れる某川にアユ釣りにいくというのをIT時代の日記で見かけたので(マイミクの日記っていうことです)、一度も会ったことのない人なのだが、ちょっとついていくことにした。
ここが釣具屋だと知っていないと絶対通り過ぎる場所で入漁券を入手。
六月一日の解禁から少し遅れた12日、まずやってきたのは、千葉県の某釣具店。ここで入漁券を購入するついでに店のおばちゃんに状況を聞いてみたのだが、「昨日、大雨が降っちゃったから、あと二、三日は絶対ダメ!」と、入漁券を売るのを拒む勢い。そうはいっても少しくらいは釣れるでしょと聞いてみても、日を改めた方がいいと再度のダメだし。
地元の釣具屋がここまではっきりというのだから、今日は本当に釣れない日なのだろう。諦めて別の日にというのが正しい選択。勇気ある撤退というやつですか。
とはいえ、こっちとしてははるばる埼玉から高速道路に乗ってきているので、そう簡単には諦められない。ここは下見と割り切って、売り渋るおばちゃんから入漁券を購入し、とりあえず目的の川へと向かってみることにした。一日券は千円。近かったら絶対年間券を買うんだけどな。
このあたりはアユのエサ釣りが盛んらしく、専用の針も売っていた。カエシのないスレ針。ものすごく小さいな。
友釣りファンからすると、アユをエサで釣るなんて邪道と思われるかもしれないが、友釣りをはじめるには友釣り用の高い竿が必要な訳で、それは数年前にファンスキーの道具を一式揃えて結局二回くらいしか行かなかった過去がある私には危険すぎる。
しかしエサでの釣りなら、小学生の頃に埼玉の二級河川でミミズをエサに良型のアユを偶然釣った実績があるので、間違いなく私に向いているはずだ。もちろん友釣りもやってみれば、相当おもしろいのだろうけどね。
某川は濁っているので支流へといってみる
釣具屋で入漁券と不安要素を仕入れたところで、アユのエサ釣りが盛んだという目的の川へ。川の様子を見てみると、確かにしっかりと増水しているようで、ビターなカフェオレのように濁っている。ずいぶんエスプリが効いていそうだ。
この濁りっぷり、確かにお店の人の意見はやっぱり正しかったようだ。
実は同行者達もアユ釣りは小学生以来だそうです。
見事に茶色い。
それでも諦めきれない我々三人は、どこかいい場所がないかとウロウロし、その川の支流でアユのエサ釣りをやっているらしき釣り人を発見。
川に降りて話を伺ってみると、ここも増水の影響で食いは相当悪いそうだが、少しはアユが釣れているようである。釣れる可能性がゼロでなければそれで十分。とりあえずここで釣りをスタートしてみることにした。
濁ってはいるけれど、ここならアユがいそうかな。
上流側はこんな感じ。川幅の狭さがエサ釣りにいい感じ。
アユのエサ釣り仕掛けは超簡単
アユをエサで釣るにあたって、家にあった釣りの本で仕掛けを調べてみたところ、ノベ竿を使ったウキ釣りがスタンダードなものらしい。糸や針が繊細という以外は、子供の頃にフナやクチボソを釣っていた仕掛けと基本的には同じ。流れがある場所でやるので、感じとしては繊細なニジマスの釣り堀みたいなものだろうか。
エサ釣りで狙う遡上したての小さいアユは、岩についた苔ではなく、虫などの動物性タンパクを食べてワンパクに育っているのだそうで、エサはシラスが定番のようだ。
川幅が狭いので、清流用の4.5メートルの竿から元部分を2本はずして使用。竿の調子とかは気にしないタイプです。
とてもシンプルな道具。最近やった釣りだとテナガエビ釣りと同じだ。
エサはシラスがスタンダードらしいよ。
頭をチョン掛けでいいのかな。
隣でやっている少年が簡単そうに釣っているのを見て、まあエサ釣りだし、こりゃ私でも夕飯分くらいは楽勝だろうなと思ったのだが、見るとやるとでは大違い。
この後、私だけが釣れない時間が延々と続いたのだった。
夕飯分くらいは釣りたいな―。
アユもエサ釣りなら簡単だと思いきや……
エサ釣りだったら私でも簡単にアユが釣れるだろうと思って千葉までやってきたのだが、これがぜんぜん釣れない。同行者は熟練らしき少年ほどではないけれど、ポツリポツリと小さいながらもしっかりアユを釣っている。
仕掛けは似たような感じだし、エサも同じシラスなのに。ということは、腕か。この毛の生えた腕が問題なのか。
簡単に釣る同行者。おお、小さいけれど確かにアユだ。
棚が間違っているのか、流すポイントが的外れなのか。自分が不器用なのが悪いのだけれど、エサのシラスがすぐにポロポロとはずれてイライラする。川の状況が悪いというのもあるとはいえ、どうもアユのエサ釣りを舐めすぎていたようだ。たくさん釣れたらウナギ釣りのエサにしようと思っていたのに。
お隣で好調に釣っていた少年が帰ったので、そのポイントで同じようにやってみたのだが、それもダメ。そういえばあの少年が使っていた仕掛け、ヨリモドシの位置になにかパーツがついていたようだけれど、あれってなんだったのだろう。勇気を出して聞いてみればよかったか。
たまに釣れるのはこんなのばっかり。タナが低すぎるのかな。
見回りにきた漁協の人に私の仕掛けをみてもらったのだが、川がこんなに濁っていない日ならこの仕掛けでも十分釣れるそうだ。ただ、今日みたいに増水して釣れない日は、アユを寄せて釣る必要があるらしい。
その方法はというと、シラスをパクっと口に入れてよく噛み、プーっとグレート・カブキ(ムタでも可)の毒霧みたいにシラスを撒くというもの。秘術・エサ霧である。まあ同行者はコマセなしでも釣れているのだけどね。
ただこれは熟練の技のようで、私がやってみるとモグモグと噛んでいるうちにほとんど食べてしまう上(シラスってうまいよね)、プーっと吹いてもその飛距離は3メートル以下で、全然ポイントまで届かない。今考えれば、シラスを水と一緒に口に含んで飛ばせばよかったのかな。やっぱり水分が必要だよね。帰ったら風呂場で練習だ。
放流はもっと上流でしているので、ここで釣れるアユは天然遡上だそうです。じゃあなぜ入漁券が……
まさかの救世主様が登場!
さあこのままだと、夕飯分どころか一匹も釣れないまま一日が終わってしまいそうだなと焦りだしたところで、緑色の帽子をかぶった救世主様が登場というドラマチックな展開が待っていた。
右側で釣っていたおじさんに状況を聞かれて、正直に「まだ一匹も釣れていません!」と答えたところ、これを使ってみてとラジコンサイズの車のサスペンションみたいな謎の道具を渡された。
使い方がまったくわからないのですけど、どうしたらいいのでしょーか(桂三枝風に)。
救世主様の登場!
ええと、ラジコンのパーツ?
これは「螺旋(らせん)」と呼ばれている道具だそうで、サビキ釣りやビシ釣りで使うコマセカゴの役割をしており、先端はハリス止めになっている。この螺旋状の部分にシラスを詰めて使うと、ここからポロポロとシラスがこぼれ、それがコマセになってアユが集まってくるという仕組みだ。
なるほど、さっき隣でやっていた少年が使っていた道具はこれか。これは手作りだけれど、釣具屋でもエサ釣りが盛んな地域だと売っているところには売っているらしい。
このようにシラスを詰めて使うらしいぞ。
ついでに食わせのエサもシラスだと持ちがよくないからと、噛み終わったガムみたいなものをいただいた。これがなんと鳥の皮。これを針に引っ掛けて、引っ張ったところをハサミでごく小さく切って使うらしい。確かにこれならエサ持ちがよさそうだ。
この量で一日分足りてしまう。ガムじゃないですってば。
米粒よりも小さいエサ。これくらい小さくていいらしい。
この螺旋がそこそこ重いので、ウキも浮力の大きいものが必要となる。私の玉ウキ(私は玉オキ)が虚しくも沈んでいくのを見た救世主のおじさんは、手作りだというポップな浮きをそっと二つくれた。
螺旋を浮かせる必要があるので、これくらい大きい浮きを使うそうです。巨人×阪神戦?
これで私の自前の道具は、竿と道糸だけになった。さらには仕掛けが絡んだら解いてもらったり、埼玉でもアユが釣れる川を教えてもらったりと、このおじさんの孫になった気分で甘え放題。こういう出会いが大好きなのである。
ようやく釣れた!
せっかっくなので狙うべきポイントも教わり、おじさんのアドバイス通りに向こう岸近くの深くなっているところを、螺旋からこぼれたシラスが針と同調するイメージでそっと流す。
何度かのトライでウキがヒクヒクっと反応。手首を返してスッと竿先を持ちあげると、ヒュンヒュンとすごい早さであちこちへ引っ張られる。この忍者みたいな動きがアユの引きなのか。なるほど、これは楽しいぞ。
ようやく釣れたアユ。小さくてもしっかりアユの姿をしているのがうれしい。若鮎独特の香りが強いんだ。
今年はアユの成長が遅れ気味ということで、釣れたのはワカサギほどの大きさだったけれど、今まで経験したことのないような鋭い引きに心が躍る。その後も順調に数を伸ばし、午後3時までにはどうにか20匹程釣れて、夕飯分が確保できたので終了とした。
どこかで自分もアユをエサで釣ることに対して舐めているところがあったのだが、アユの引きは小さくても気持ちがいいし、仕掛け次第ではっきりと釣果も変わるし、これは相当楽しい釣りだ。ということは、もっと大きなアユを狙う友釣りは、もっともっと楽しいということなのかな。
とりあえず友釣りは置いておいて、今シーズン中に再度エサ釣りにチャレンジをして、さらに一回り大きくなったアユの引きを味わいたいと思う。その時に、またこのおじさんと会えたらいいな。
このくらい大きいのだと引きが強烈!
ちなみに救世主のおじさんによると、友釣りで釣れるアユは苔を食べているのでハラワタまで食べられるけれど、エサ釣りで釣れるアユは胃袋に虫が入っているので、内臓を出して食べるのがオススメだそうだ。その際、お腹を裂くのは剃刀がいいらしいよ。
アユの天麩羅が最高。このくらいのサイズだと、骨もまったく気にならない。
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