見出し画像

剣崎沖ででっかいワラサが釣れました!/三崎 えいあん丸

※掲載終了の「@niftyつり」から2011年9月5日の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。大きな魚を釣るタイプの人間ではないのですが、たまには大物を狙いたいのです。いつかブリも釣ってみたいですね。

ワラサって私でも釣れるんですか?

いきなりですが、今回狙うターゲットは、こちらの写真がヒントである(記事のタイトルでばれているけど)。

画像1

これ、なーんだ。

正解はというと、ブリッコな写真ですよね。

とういことは、ブリッコ→ブリの子→ワラサ……

はい、今日はワラサを釣りにやってきました。ちなみにこれは下船後の写真なんだけれど、なんだか浮かれていてごめんなさいね。浮かれている理由は最後まで読んでね。あはははは。

画像2

三崎のえいあん丸にやってきました。オニカサゴで有名な船宿です。

ワラサというのは、出世魚であるブリの大人になる一歩手前の大きさのこと。関東だと、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリの順番で、平社員、係長、課長、部長というように出世していく。あ、部長どまりになっちゃった。

ブリの一歩手前ということは、でかいのですよ。60センチ、いや場合によっては70センチとかあったりする訳ですよ。外道でたまに釣れるワカシやイナダとは違うのですよ。

そういうでかい青物の類は、専用の道具がない私には釣れないものと決め付けていたのだが、いろいろ調べてみると、どうやら私の持っている道具でもいけそうなのである。

ワラサ、いけるならば狙ってみたいじゃないですか。

画像3

「船長、この竿でいける?」「全然OK!」

私の持ってきた竿は、そこそこ新しい1.8メートルのビジアジ用の竿と、年代物の3.3メートルのマダイ用。船長にどっちがいいか聞いてみたところ、「雰囲気があるから!」ということで、マダイ用で挑んでみることとなった。

画像4

「いってらっしゃーい!」 あれ、船長は乗らないのか。

画像5

ワラサの船長は息子さんの通称たっくんでした。

ワラサ釣りの道具と仕掛け

ワラサを狙う竿だが、私はマダイ用の3.3メートルのオモリ負荷50号で、たぶん10年以上前のやつを使うのだが、本当に向いている竿というのはどんな竿なのだろう。

若船長のたっくんによると、小さなアタリをとる釣りではないので、80号のオモリをぶら下げられて、ワラサに引っ張られても折れない竿なら、割となんでもいいらしい。

長さは1.6メートルから長くても3.3メートルくらいまで。長くて柔らかすぎる竿よりは、短めで先調子の竿のほうが強引なやりとりがしやすいのでオススメとのこと。食いがいいときは短い竿でガンガン誘って、悪い時は長い竿で置き竿がいいという常連さんの意見も。

実際に今日船に乗っている人も、ヤリイカ用、オニカサゴ用、青物用、ビシアジ用など、いろいろな竿を使っている人がいた。船釣りをある程度やる人なら、どれか一本くらい持っているんじゃないですかね。ワラサが相手とはいえ、普通の沖釣りと基本的な装備は同じでも大丈夫なのだ。

画像6

私の竿はマダイ用(私の彼は左利き、みたいな口調で)。

画像7

竿尻のクッションが経年劣化でとれてしまった。不吉だ。

リールはPE4~8号くらいを巻いた電動リールを使う人が多いが、こだわりの手巻きリールで参戦している人も。水深は40メートル程度なので、ある程度しっかりしたリールなら、手巻きでも十分楽しめそうだ。ちなみにレンタル竿は2.4メートルの先調子と手巻きリールの組み合わせですよ。

画像8

私のリールはレオブリッツ400。糸はPE4号。

画像9

大きめの天秤にコマセカゴ+80号オモリを一式レンタル。ハリスは8号6メートル、針はヒラマサ11号。ハリスに合った太さの1メートルのクッションゴムをつけるのが無難。

画像10

お隣さんはアブの7000番にPE5号、オモリ一体型のステン缶(っていう名前でしたっけ)のこだわり仕掛け。

画像11

付けエサとコマセは両方ともオキアミ。この船はザルだけを輪っかにセットしようとすると海に落ちるので、必ずバケツに入れた状態でセットしましょう。そう、私は一度落としました。

画像14

朝の食いがいい時間帯は、下のコマセが出る部分を半分以上開けてワラサを寄せる。

画像12

エサは抱き合わせの二匹掛け。形がいいやつを選ぼう。

画像13

常連さんはオキアミの間に、持参したイカやバイオワームを挟んでいる人が多かった。

画像15

そして偏光グラス。それほど目を使う釣りではないけれど、やっぱり掛けていると水面の反射が抑えられて楽ですよ。

画像16

同行は本日もカメラマン岡田孝雄さん。もちろんオールレンタル道具で参戦だ。

朝が勝負!らしいのだが……

たっくんの話によると、多くの釣りがそうであるように、ワラサ釣りも朝一が勝負とのこと。この時間帯に何匹釣るかが釣果を決めるポイントなので、食いがいい朝はハリスを10号くらいの太いものにして、多少強引でも早い勝負を心がけて、手返しよく釣るのがコツだとか。魚にやる気さえあればハリスの太さはそれほど影響しないらしい。

この日は台風明けで数日振りの出船のため、釣れれば大漁、釣れなければ坊主の可能性大という、ただでさえギャンブル性の高いワラサ釣りをさらにハイリスク・ハイリターンにしたような日だったりする。

画像17

場所は剣崎沖の水深40メートル。すごい数の船が集まっていた。

ポイントに着くと、若船長から「下から10メートルでやってください」という指示がでた。これは天秤(オモリ)の位置をそこにしてくださいという意味なのだそうだ。

まず仕掛けを底まで落としたら、糸ふけを取って(電動リールの場合、「底からメモ」みたいなボタンがあればここでセットする)、すぐ3メートル程巻き上げて、ここからコマセを少しずつ出すようにシャクりながらリールを巻いていき、指示棚である底から10メートルのところでストップ。手巻きの場合は糸の色で判断すること。

ここでアタリを待ちながら、たまに大きくシャクってコマセを出し、コマセがなくなった頃に仕掛けを回収というのが基本の流れ。

画像18

コマセが漂っているところに、エサのついた針を紛れ込ませるイメージかな。

画像19

底から何メートル巻いたかがわかるのと、投入してから何分経ったかがわかるのが便利よね。

朝のうちが一番高確率だというワラサ釣り、今か今かとアタリを待つも、これが一向にアタらない。どうやら台風の影響が悪い方向に働いてしまったらしく、まわりの船を見ても釣れている気配はゼロ。

エサすらまったくとられない状況のまま、なんと朝のゴールデンタイムは終わってしまった。

朝が勝負の釣りで、まさかの不戦敗である。さすが俺。

画像20

坊主覚悟の釣りだけど、ほんとに坊主になりそうだわよ。

誰の竿にもウンともスンともいわない状況が一時間以上続いたところで、この均衡を破ったのは、まさかの岡田カメラマンだった。

なんてな。

画像21

ワラサの仕掛けで、よくそんなの釣ったな。

ようやくワラサの群れがきた!

まるっきりアタリのないまま朝のゴールデンタイムは終わってしまい、このまま一日が終わるのではと船の全員が不安になりだした8時過ぎ。ようやくまわりの船でワラサらしき魚が上がりだした。

画像22

ワラサ、だよね。けっこうでかいね。

ようやくのチャンスタイム到来の予感。コマセを詰め直して、ふんどしならぬサロペットの紐を締め直す。

するとすぐにワラサの群れは我々の船の下にもやってきて、まずは両艫にダブルヒット! この日は艫側に流れる潮だったので、やはり艫(船尾側)が有利だったかな。

画像23

こちらの方、当サイトの読者だそうですよ。1週間前に坊主を喰らったが、今日そのリベンジを無事達成!

うらやましいなーと眺めていたら、ぼんやり置き竿にしていた私の竿先がズドーンと強烈に海に刺さった。

慌てて竿を手に取ると、なんだこの力強さ。これがワラサの引きなのだろうか。

うわーうわーうわー。

画像24

きゃー、こんなの初めてー!

明らかに今までの人生最大級レベルの引きの強さ。やばい、ワラサ釣り、もう楽しい!

竿が長いので鋭い引きにも耐えられるのだが、その分竿が重いので片手で支えきれず、手で巻くということがバランス的に難しい。そこで電動リールのスイッチをウィーン。かなりきつめに締めたと思ったドラグから糸が出ていくのに感動しながらも、まわりとのオマツリを避けるためにドラグを締め直し、かなり強引なやりとりで水面まで引っ張り上げる。

これで釣れたのがサメだったら泣くところだが、上がっていたのは本命のワラサだ。しかも良型!

画像25

大興奮!

竿が長すぎるためにバタバタしながらもどうにか天秤を掴んだら、ここからはハリスを持っての引っ張りっこ(ハリスが6メートルと長いので)。

ワラサと私の間には一本のハリスのみという、最高にダイレクトな感触を楽しみながら、うまくワラサの進む方向を操ってタモへと誘導していく。

画像26

若船長のたっくんがタモでキャッチ!

画像27

でけー!憧れのハトヤ状態だ!

でかいよ、ワラサだよ、イナダじゃないよ。計ったらジャスト70センチだよ。

自分で釣っておいてなんだけれど、私はこういう立派な魚に絶対縁がないと思っていただけに、まだちょっと現実感が沸いていない。

あー、今頃になって鳥肌が立ってきた。

画像28

せっかくのワラサ、おいしく食べるためにエラと尻尾を切って血抜き。

そしてまさかの連発!

釣れているときに釣るのがワラサ釣り最大のコツ。きっとまだ魚はこのあたりを泳いでいるはず。

人生初のワラサに興奮冷めやらぬままコマセを詰め直して仕掛けをタナまで送ると、きましたよ2匹目が。あらあら。

画像29

やべー。たのしー。

画像30

先ほどと同じサイズの2匹目を無事キャッチ。

この数分間で船中6匹。やはり群れが廻ってくるとワラサは釣れる。この時間に釣れるか釣れないかが勝負の分かれ目ですな。

ここで申し訳なかったのが岡田さん。あっちこっちで写真を撮ってもらっている間に、群れがいなくなってしまい、残念ながらチャンスを逃すことになってしまった。

(カメラマンとしての)義理と(釣り人としての)人情を計りに掛けりゃ、義理が重たい男の世界。本当にごめんなさいねー。釣れた魚をあげるから許してねー。でもできれば今から自分で釣り上げてねー。

で、この後は大きな群れこそ来なかったけれど、たまに単発で誰かにヒットするという感じ。後半釣った人に話を聞くと、みんなハリスを6号に落としてから当たったっぽい。

食いがいいときは太いハリスでいいけれど、食いが悪ければハリスを細くするのも有効みたいだね。状況に応じて10号、8号、6号を使い分けるといいのかな。

画像31

電動リールを使うけれど、魚が掛かったら手巻きで楽しむというスタイルの人が多かった。

画像32

ハリスを6号に落としてナイスサイズをゲット!

画像33

右艫の読者の方は2匹目ゲット!

画像34

針はふかせマダイという針が、刺さりがよくてオススメだそうです。

たっくんの話だと、去年はイナダとワラサの中間みたいなサイズ(イナワラというらしい)の数釣りが中心だったが、今年は釣れる数こそ少ないけれど、釣れれば大きいのが特徴なんだとか。数よりも大物を釣りたい人にはいい年なのかもしれないね。

確かに今日は船中10人で10本と、釣れた数は全然な感じだったけれど、釣れたのは70センチオーバーの良型が中心。中にはワラサというよりもブリといっていいような、イナワラならぬワラブリと呼びたくなるような大物も。

坊主覚悟の釣りだけれど、やっぱりワラサは釣れた時の衝撃が半端じゃないですよ。

画像35

最後の最後、岡田さんの竿にようやくはっきりとしたアタリが!

画像36

マルソウダ……微妙な表情が泣けてくるぜ。

竿頭からのアドバイス

最後にダントツの5匹を釣り上げた竿頭からのアドバイスをご紹介。

・食いがいいときのワラサは動くエサを追ってくるので、指示棚で止めて待つのではなく、底から3メートルから指示棚までをシャクって誘い続けること。

・シャクっていって指示棚より少し上まで巻いていき、そこからフワッと落としたときにアタる場合もある。

・竿は短めが好みなので、ビシアジ竿を愛用。

・釣れないときはどうやっても釣れないので、コマセと体力を温存するのも手。

画像38

でけえ!もはやブリ!

ワラサ釣り、勝手にイメージしていたものよりは、そのハードルは全然高くなかった。というのは、たまたま2匹釣れたから言えるセリフかもしれませんが、手持ちの道具とレンタルで全然成り立つし、ハリスや針の工夫をしたくなる奥深さもある。

画像39

白鶴まる

さっき岡田さんから電話があって、絶対リベンジしたいから詳しい仕掛けを教えてくれとのことだった。どうやら彼にとっては人生で一番悔しかった釣りになったみたい。次はカメラを持たずにいきましょうかね。

画像37

30リットルのクーラーに、尻尾を折らないと入らないんですよ。

画像40

これだけ大きいと味もさすがにいいですよ。ブリのようにはいかなけれど、ちょうどいい脂が乗っているんだ。煮ても焼いても当然うまいよ。

画像41

岡田さんからマルソウダの煮物の写真が送られてきた。

私があげたワラサはとてもおいしかったそうだけど、悔しかったから撮影しなかったみたい。今度は自分で釣ってたっぷり撮影してください。

■えいあん丸

サポートいただくと生きていけます。