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東京湾テンヤタチウオに入門/いなの丸

タチウオと私 2020

あるターゲットに絞って何度も通うタイプではなく、季節に合わせて年に一回か二回だけ、その船に乗るタイプの釣り人である。アマダイ、イサキ、カツオ、フグ、マルイカなど。最近はサボっているのも多いけど。サボさん。

タチウオもその一つで、夏に浅場で狙うライトタチウオではなく、脂が乗って大型が期待できる冬に深場で釣る方が好き。今年は3月頭に大津港のいなの丸から乗って、猿島沖のタナ60メートル前後で楽しんできた。この時期としてはかなり浅い気がする。

半日船で釣果は5本だったかな。アタリはその倍以上はあったけど。タチウオ釣りはアタリがあってから合わせるまでのモヤモヤする感じが最高に楽しい。好き。

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ワークマンで買った服を着ていますね。

俗に「ドラゴン」と呼ばれる大型が釣りたかったけれど、私が釣ったものは最大でもギリギリで1メートルを超えならず。来シーズンこそメーターオーバーを釣ってやると思ったんだけど、悔しいくらいがちょうどよい。

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憧れのメーターオーバーまであと2センチ!

ちなみに私が最初にタチウオを釣ったのは、いなの丸の隣の小川丸で、2005年11月に水深180メートルをオールレンタルの手巻きリールでの挑戦だった。

そんな思い入れがちょっとあるタチウオ釣りだが、今年は様子がおかしいのだ。関西で流行っている「テンヤタチウオ」という釣り方が東京湾にもやってきて、その釣果がすごいことになっている。メートルオーバーは当たり前、120センチ声も連日出ており、さらに従来からあるテンビン仕掛けのエサ釣りよりも、数が伸びているという謎。なんでも20本とか30本らしいっすよ。

なんだそれ、サイズが大きくて数も多いってどういうことだ。夏のタチウオ釣りは長いサンマみたいなサイズが多いんじゃなかったのか。弁慶だってそんなに太刀を集められないぞ。そっちが武蔵坊ならこっちは皮下脂肪だ(ちょっと混乱しています)。

テンビンからテンヤに釣り方が変わるだけで、そんなに変わることってあるのかね。でもタイもテンビンとテンヤじゃ全然違うか。タコもエギダコが関西からやってきて、東京湾でもブレイクしたしなー。これも温暖化の影響ですかねー(違う)。

このタチウオテンヤ、じゃなかったテンヤタチウオによる豊漁が来年も続くかはわからないので、珍しく流行に乗ってやってみることにした。目指せメーターオーバー×3匹!

事前情報はあまり集めない性質(タチと読む、タチウオだけにです)なので、釣り方のお勉強は「つり情報」の動画を一回見ただけ。きっとこれでばっちり。しのぶ姐さんにすべてを託そう。

ところでテンヤタチウオを「テンタチ」って略すと、テンビンタチウオだって「テンタチ」だから同じじゃないですか?

エサを求めて三千里弱

テンビンで釣るタチウオのエサは、船宿で配られるコノシロやサバの短冊(1×7センチくらい)だが、テンヤタチウオで使うエサはイワシ一匹丸ごと。同じ場所で同じ魚を釣るのに、エサのサイズがカサゴ釣りとヒラメ釣りくらい違うのだ。

東京湾では今年になって急に広まった釣りなので、専用エサ(イワシ)の用意が船宿にない場合が多いらしく持参が基本らしい。そこでスーパーの魚売り場を連日チェックして、手頃なサイズのイワシを探す日々が始まった。

ちょうど良いサイズは中羽と呼ばれる大きさだろうか。だがこの時期はそれより一回り大きな大羽しか見掛けない。そもそも中羽は食べるのには中途半端であまり売っていない。仕方なく大羽イワシを買い求め、全体に塩をまぶして脱水シート(というかペット用トイレシートの無香料・無着色タイプ)で包んで冷凍庫へ。冷凍しない新鮮なものが最高なんだろうけれど、前日にちょうどイワシが売っているとは限らない。

うーん、こんなでかいイワシでタチウオが釣れるというイメージがわかないぞ。

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塩をしなくてもいいような気もする。とりあえず9匹で足りるかな。

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ペットシートって便利ですね。料理にも使っちゃう派だよ(てへぺろ)。

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フリーザーバッグに入れて、この状態で冷凍しておく。

いやでも9匹じゃ足りないかと、後日に予備として見切り品をもう1パック買って、面倒なのでそのまま冷凍。これでばっちりのはず。

いやまてよ、入れ食いだったらどうしよう。あるいは大きなイワシを食わなかったらどうしよう。数やサイズが不安だぞと急遽別のスーパーに再度行って、ちょっとだけ小さい丸干し、中羽サイズのメザシも買ってみた。

イワシはタチウオとの引換券、こんなにいっぱい交換しても食べられないぞ。とか心配しておいて、帰宅後にこのイワシ達を涙の塩味で食べることになるんだろうなという未来が見えるよねー。

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これくらいあれば足りるかな。

そんな訳で9月9日にテンヤタチウオにレッツゴー。船宿は3月に引き続いていなの丸さん。テンビンとテンヤが同じ船という場合が多いけれど、ここは潮が緩い日限定で、テンヤ専門船を出しているのだ。

行ってみたら平日の水曜日なのに満船、そしてなんと同じ船にあの三石忍姐さんが乗っていた驚いた。というか予約してもらった某Yさん情報で事前に知っていたけど。これは釣れたも同然だ。いや逆に全部釣られちゃうのかな。

いなの丸は船宿と船着き場がちょっと離れていて、まず船宿で受付をして、港を挟んで対岸(ドン・キホーテ横)にある船着き場に移動する方式。駐車場もそっちにあるよ。

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船着き場側から。左の緑の看板がいなの丸。石田丸から手漕ぎボートが出ているのを見て、懐かしすぎて涙が出てきた。あぁ、我がエンジンの修行僧は生きているだろうか(元気にトレイルランニングをしています)。

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船に乗るのは毎回興奮するのです。

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別に野球の守備位置ではない。いなの丸は午前タチウオとショートタチウオというのがあり、この日のテンヤ専門船はショートタチウオだった。午前船よりちょっと長いのがショートだよ。たぶん。

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エサと魚を入れるクーラーは別にしろと忍姐さんがいっていたので、小さめのクーラーにエサを入れてきたよ。

テンヤタチウオのために揃えたタックル

テンヤタチウオのタックルだが、なにやら8:2くらいの先調子で1.8~2メートルの竿がいいらしい。それだけ聞くとカワハギ竿とか外房カットウフグ竿でいいかなと思うが、使うテンヤが50号とかで、狙うタチウオがメーターオーバー。……折れるよね。

ならばビシアジ竿とかヤリイカ竿でもいいかなと思うが、それはそれでちょっと太い。バリっと硬くて軽くて穂先だけ柔らかくてアタリが取りやすく、50号のテンヤを自在に動かせる竿がいいんだよ。そんな竿もってないよ。

まあ最初だし、お試しにと家にあったビシアジ竿を握ったのだが、釣具屋にいったら専用竿が各メーカーからいろいろあるじゃないですか。上は5万円とかで下は1万円ちょっと。それって何が違うのよ。

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今シーズンから流行り出したのにもう専用モデルがたくさんあるのかーって驚いたけれど、関西では前から流行っているから当然か。

とりあえず安いものを手にしてみたら、これは欲しい気がしてきた。他に使いようがない竿だけど、だがそこがいい。こういうタイプの竿はもってないわ。

ということで、久しぶりに専用竿というものを購入。ダイワのTENYA TACHIUO X 200とやら。買ってから気が付いたけど、もしかしたらエギのタコ釣りに最高かもという気がしてきた。あるいはスミイカのテンヤ釣りにも使えちゃう?やらないけどさ。

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久しぶりに竿を買ったよ。いやうそ、タコ用に買って折ったばかりだ。あー。

調子は書いてないけれど8:2なのかな。値段は1万ちょっとだけど、持ってみるとすごくいいんですよ。最近の竿ってこんなに細くて軽くて高級感があるのかと感動。これを持った後に高級品の「極鋭」シリーズとかを持つと、上には上があるもんだと途方に暮れる訳ですが。

リールは持っているシマノのフォースマスター401DH(野球の指名打者ではなくダブルハンドル)というアマダイ&マルイカ用に買った小型電動の左巻きがあるので、それできっとバッチリ。

ただ巻いてある糸がPE1号でちょっと強度が不安。買ってから一度も交換していないし、もし大物が連れて切れたら切なくてその思いを歌にしてフォークギターを買うことになりそうなので、新しくPE1.5号を200メートル巻きなおし、リーダーにカツオ用に買ったフロロカーボン16号を1.8メートル(竿の長さよりちょっと短いくらい)繋いでおいた。

珍しくちゃんと準備しているじゃないか、おれ。

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そういえば今年はマルイカにいかなかったな。なので半年ぶりの出番だよ。

もちろんタチウオ用テンヤも買ってきた

テンヤタチウオというくらいなので、この釣りにはテンヤが必要。テンヤといってもタコを釣るテンヤというよりは、マダイを釣るテンヤが近いかな。

近所の釣具屋に行くと埼玉でもちゃんと売っていて、40号のダイワの紫ゼブラという定番らしきカラー(50号はどこも売り切れ)のハリが小さい早掛スペシャルとミドルフック、50号のオーナーの「掛獲」というテンヤをイワシカラーと紫のヤンキーカラーで合計4つ購入。

タコみたいに底狙いじゃないから根がかりはないけれど、タチウオの鋭い刃でラインを切られてロストすることが多いらしい。4つで足りるのかね。あー、不安が尽きないがお金は尽きた。竿と糸とテンヤとエサで2万円くらい使ってしまった。ひゃっほう。いやでもほらプライスレスだし。なにが?

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なんで紫ゼブラが定番なのか謎だよな。そんな魚は東京湾にいないぞ。

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ダイワのテンヤには、ノーマルモード、バトルモード、スーパーバトルモードがあるらしい。ドラゴンボールでいったらスーパーサイヤ人みたいな感じ?

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オーナーのテンヤ。よくわからないけれどベーシックで良さそうだ。

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テンヤのハリはカバーがついているので、外してから使う。スナップ付きのリーダー(使わないけど)、エサを巻くステンレスのワイヤーが付いているよ。

テンヤにイワシってどうやってつけるの?

出船前にセッティング。さあ第一関門のエサ付けである。

用意したイワシとテンヤを並べてみると、頭のサイズがちょうど同じだ。イワシが中羽サイズだと、頭は残したままセット(鼻だけカットしたりする)するらしいが、このサイズだと頭は切ったほうがいいのかな。

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エサを出してみると、いい感じに水分が抜けている気がする。

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ある意味ジャストサイズ。意外と大羽がベストだった?

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内臓よりも前を切れと忍姐さんが言っていたので、テンヤの形に合わせて斜め気味に(写真だとまっすぐですが)ハサミでパツン。これでどうだ。

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ワイヤーをどうセットするのか謎だったのだが、テンヤタチウオ経験者であるYさんによると、下にある部分に巻き付けるのがいいらしいよ。

グルグルグルグルグルコサミン。テンヤにイワシをワイヤーで固定するくらい簡単だろうと思いきや、これが意外と難しい。内臓部分は柔らかいし、何も考えずにまくとイワシが躊躇なく曲がるのよね。これは家で練習しておくべきだったか。

コツは頭側の固いところを多めに巻いて、イワシを指で支えて曲がらないようにセットすること。こんな感じでどうかなー。

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ええと、微妙かも。とくに紫ゼブラのイワシが明らかに失敗作。

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ちなみに同行者のセッティング。小さいイワシだと頭ごと縛り付ける。

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小さめのイワシで頭を落としてセットすると、なんだか獅子舞みたいだ。

こうしてセットしたテンヤを持ち上げてみると、イワシが斜め45度くらいになった。懐かしのモビールみたいだな。上を向いてエサを待っているタチウオが、このテンヤのお腹部に噛みついてくると、その重さでイワシの尻尾側が下がり、口のまわりにハリが刺さるというシステムらしいよ。

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なるほど、こうなるのか。

これが水中でどうなるのかなと沈めてみると、ほぼ水平の状態でステイするじゃないですか。そしてテンヤを上下させると、フワフワとおいしそうに泳いでくれる。ものすごくたくさんいる小魚に交じって、自然だけど目立つというベストな状態だ。

これは本物の魚を使ったルアー釣りですね。そりゃタチウオも噛みつきたくなるよ。

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水中の様子。すごい目立つね。

いやでも本当にこの付け方で大丈夫かなーと不安になって「初心者オーラ―」を全開にしていたところ、中乗りさん(自称おまつりをほどく役)がスっと横にやってきて、俺流のつけ方を披露してくれた。

船釣りを何年やっても、俺の初心者オーラは輝いているぜ!

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こちらから声をかける前に教えてくれた中乗りさん。やさしー!

エサのイワシが大きくても頭を切るから問題ないそうで、状況にもよるけれど腹をカットして、テンヤとフィットさせるのがオススメとのこと。へー。

そしてテンヤをしゃくったとき、タチウオが噛みついてきたときに内臓や脂が水中にモワっと広がって、それがコマセとなってタチウオのテンションが上がるそうだ。へー。

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お腹をハサミでカット。船の外でやると船が汚れない。イワシで船を汚すと滑る原因にもなるので注意しましょう。汚したら船になる雑巾でふこうね。

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その腹の肉に集まる小魚。アジとサバだそうです。

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確かにサバとアジだ。出船前にこいつらをサビキで釣ってエサにすれば完璧ではと思ったが、こいつらだと脂の強いイワシほどタチウオは釣れないんだとか。でも試してみたいよね。

ということで中乗りさんに巻いてもらったテンヤがこちら。さすが、自然なシルエットだ。

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ちなみにリーダーは太くても全然問題なく、フロロカーボン30号とかでも切られるときは切られるそうです。

エサのつけ方は様々な流儀があるみたいだけれど、せっかく教えてもらったので、今日はこのやり方でやってみましょうか。

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ワイヤーを折り返す時にハリの軸にひっかけるのが中乗りさんのこだわり。

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真似をしてつけてみた。これくらいまっすぐならOK?

ちなみに潮がやたらと早かったりして、どうしてもテンヤを重くしたいときは、テンヤの下にあるワイヤーを最初に巻き付けた部分にスナップかスプリットリングでオモリをぶら下げるか、リーダーに中通しオモリを通して調節するという方法もあるそうです。この日はやらなかかったけどね。

テンヤタチウオ、釣れるかな?

そんなこんなの準備をしたところで定刻に出船。右舷の前側2番目から、某Pさん、某Yさん、某Mさん、某私の4人グループ。ちなみに忍姐さんは反対の後ろ側でとても遠いので、釣っている様子は見られなかったよ。

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このメンバーだとYさんだけ何度かテンヤタチウオの経験がある。

釣り場は港からすぐ近くの猿島(無人島)周辺とかなので、7時に出船してその20分後には釣り開始。船長からのアナウンスは、使用するテンヤはPE1号なら40号、2号なら50号、タナは水深55から45メートルくらいまで。下から上へと誘ってくれとのこと。

なるほど、ではPE1.5号の私は何号のテンヤを使うべきかと悩んだが、軽いよりも重いほうがおまつりの確率は減るだろうということで、イワシカラーの50号をセレクト。船長の合図に合わせて仕掛けを投入。ポーン。

目指せ大型ドラゴン、いや単数形ではなく複数形でドラゴンズ!そういえば使っている道具がみんな中日っぽいブルーだな。

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今日だけは中日ドラゴンズファンになりました。

テンヤを落としてシュルシュルと糸が出ていくのを眺める。……30、40、50、60、あれ電動リールのメーターとPEラインの色(10メートルごとに色が変わる)が合わないな。糸の色で55メートルで止めたらカウンターは64メートル。

久しぶりに使ったら壊れていたかと悲しくなったが、よく考えたら自分で糸を1号から1.5号に巻き替えて、そのあとに「糸巻学習」というのをやっていないからだな。あらあら、まあいっか。

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底を狙う釣りだとカウンターが狂っていても大丈夫だけど、タナをとって釣る場合はちょっと大変。これぞ自業自得。

船の上で設定をする余裕はないのでこのまま続行。狙う場所の糸の色だけ覚えればいいので大丈夫。と言いつつ覚えられないんだけどね。さあとにかくタチウオを誘いましょうか。

基本的にはテンビンと同じ釣り方で、船長の指示するタナの一番下まで落とし、そこから誘いつつ巻き上げて、タナの一番上まで来たら落としなおすという感じ。

問題は誘い方。基本はストップアンドゴーだと姐さんは動画で言っていた。竿を水平くらいに構えて、リールを巻いて止めるの繰り返し。巻くのがハンドル半分なのか一回転なのか二回転なのか、そして止める時間は1秒なのか2秒なのか3秒なのかそれ以上なのか。いっそ電動リールの低速巻きでグルグルゆっくり上げるのもいいかな。うーん、迷うね。

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竿の調子はこんな感じ。とても先調子なんですよ。

さらには竿先を下げて戻しながら巻いたり(ジャークっていうやつ?)、竿先を大きめに跳ね上げてから下げつつ持ち上げた分の半分くらいだけ巻くなど、なんとなく見覚えがある動きをいろいろやってみる。

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自分のフィッシングスタイルなどありません。

今日はなにが正解なんだろうと探りつつ誘っていると、早くも周りでポツポツと釣れ出した。おお、タチウオはやる気があるらしいぞと気合を入れると、ガゴガゴっというわかりやすい手ごたえが一瞬だけ襲来。テンビンを介さないテンヤ仕掛けだから、ここまでダイレクトに伝わってくるのね。あー、びっくりした。

でもまだ掛かってはいないよね。たぶん甘噛みしただけだ。アタリがあってから食わせるのってどうやるんだろう。テンビンタチウオでも一番難しい部分だけど、それはテンヤタチウオでも同じのようだ。ドキドキ。

とりあえず3秒待ったが反応なし。ならばシェイクだとドラムソロのように竿先を揺らすもオーディエンスは無視。あれどっかいっちゃったかと通常の誘いに戻すと、しばらくして止めたタイミングでアッパーカットが飛んできた。テンヤを下から上に弾かれたような衝撃があり、曲がっていた竿先がまっすぐに戻ったのだ。

うわ、なんだとびっくりして合わせると、今度はズドーンと引き込まれた。下からタチウオがエサを勢いよく捕食して、合わせたことで海底側に逃げたということか!

これはしっかり掛かっただろうと竿先を持ちあげてリールを巻く。うわ、すごい重い、なんだこれ。タチウオってこんなに力強く引く魚だっけな。わーわー。一投目から大ヒットじゃないですか。

せっかく最初の一匹なので電動を使わずにハンドル回して対応するのだが、カツオでも掛けたのかというくらい、いやそれはオーバーだけど、そういいたくなるくらい引く。おそらく我が人生最大のタチウオだね。いやテンヤ仕掛けだと大きく感じるのかも。これは東京湾でも流行っちゃうのでは。いやもう最大限に流行っているけど。

なんて興奮しながら巻いていたら急に軽くなった……と思ったらまた重くなった!あぶない!

下に向かって抵抗するだけではなく、上を向いてこっちの巻く速度以上に泳ぐこともあるのか。このタイミングで糸や気持ちが緩むとバレる訳ね。やるなタチウオ。

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※写真はイメージです。一匹目から写真を撮っている余裕などない。

しかし私は勝ったのだよ。水面まで浮いてきたタチウオは明らかにメーターオーバー。竿を船べりにおいて(キーパーにセットではなく)、リーダーを掴んで抜き上げ~~~って思ったところで逃げていった!きゃーー!

ああああああああああ!俺のメーターオーバーが!「玉置痛恨のエラー、ドラゴンズ逆転サヨナラ」という中日スポーツの見出しが浮かぶ!

抜き上げるときにモタモタすると糸が緩んでハリが外れるよね~~~~!人生で50回目くらいの失敗?

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なんて私が落ち込んでいる横で、ささっとMさんが釣り上げた。

今度こそタチウオが釣れた?

こうして私のファーストアタックは失敗に終わったが、きっとタチウオはまだたくさんいる。食い気もある。焦らずセカンドアタックで上げればいいんだよとイワシを巻きなおす。するとイワシが巻いた力でグネっとまがり、明らかにダメな感じ。焦るな俺。そうだ、指でイワシをサポートしながら巻かないとダメなんだったとやり直し。

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すごく焦ってつけたイワシ。ひん曲がっている。

これはテンヤをたくさん用意して、事前にイワシを巻いておくのがベストなんだろうなと思いつつ、でもそんなにがんばってたくさん釣っても食べきれないから、エサをとられたら丁寧に付け直すくらいでいいよなと思いなおし、心を落ち着かせてワイヤーを巻く。心の乱れはイワシの乱れ。

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丁寧につけたイワシ。これでどうだ。

ここまでの経験によって、誘いも合わせもきっとばっちり。あとは抜き上げをスムーズにするだけだと余裕をぶっこいて仕掛けを投入。

竿先を平行状態から上に45度くらいゆっくり上げて、一呼吸おいてから戻しつつリールを巻いて3秒止めるという、テンビン釣りで習った気がする誘い方を試していると、またまたガツガツっというダイレレクトなアタリがきた。やばい、楽しい!

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続々と船が集まってきたよ。ここにタチウオがいる証拠だね。

でもガツガツが来るけれど先が続かない。あれ?

あれあれどうやると本アタリって出るんだったかな。ゆっくり巻き続けたり、シェイクしたり、時にはフォール(落とす)させたりするが、待望の大きなアタリがない。小さなアタリで合わせてみても(というかびっくりして合わせてしまう)掛からない。おや?

しばらくするとアタリが全くなくなったので仕掛けを回収してみると、川口浩探検隊でピラニアに襲われた水牛みたいになっていた。

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ここまで齧られて合わせられないってどういうことだ?

そういうことか。最初の一匹が素直だっただけで(逃げられたけど)、基本的にはこういう釣りなんだろうな。タチウオだもの。

次こそはがんばって本アタリを出して掛けてやるぞとネチネチ誘っていたら、いきなりズドーーンと力強く引き込まれて竿先が水面に刺さりそうになる(オーバーな表現)。

ちょっと、そういう強引なのもアリなの~~~!

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バット部分がカチカチの竿でもこれくらいは曲がります。

ある程度リールを巻いてしっかりと掛かっていることを確認してから電動のダイヤルを回して定速で巻き、竿を上向きに気味に構えて急な引き込みに備える。これが一番バレにくい気がする。

さあ問題は抜き上げだ。電動リールが自動停止する前からハンドルを巻き始めて(巻き上げが急に止まるとバレることがあるってオニカサゴ釣りで習った)シームレスに手動へ切り替え。そして水面まで巻いたら竿を置きつつ素早くリーダーをキャッチ。あらやだ大きい!

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ちょっと、でかいんじゃないですか?

あとは躊躇なくタチウオを引っ張り上げるだけ!

エイヤーターーーチウオ!

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抜けた~~!

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なかなかのサイズじゃないですか。メーター超えた?

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エラのところをしっかり持つと噛まれないはず。歯が刃なので気を付けて!

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心配そうに見守っていた中乗りさんがサイズを確認してくれた。

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おおー、明らかに自己最大の115センチ!

はい、115センチ、いただきました!

このサイズでも今期の東京湾テンヤタチウオではまだ大型ドラゴンと呼べるほどではなく、なかなかのサイズという感じなのがすごいよね。

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エラを切って血抜きしてからクーラーボックスへ。バケツに入れっぱなしにすると鮮度が落ちるよ。

テンヤタチウオ、楽しいぞ

一匹釣れたことでリラックス完了。まだ時間は朝8時だけど、ここからはもう気持ち的には後半戦。いろいろな誘い方を試しつつ、合わせのタイミングを迷いまくり、引きの強さに毎回驚き、この釣りの面白さにズブズブと沈んでいく。

釣れるのは噂通りの大物揃い。メーターオーバーがほとんどで、これまでの夏タチはなんだったんだというボリューミーなサイズ感。沖縄に生息する違う種類のタチウオ、オキナワオオタチを釣っているみたいだ。

ウナギとオオウナギ、ハゼとハゼクチ、キイロスズメバチとオオスズメバチくらい違うんですよ、テンビンとテンヤの釣果が。

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さらにサイズアップ!

なかなか釣れない時間もあったけれど、仕掛けを入れればアタリが出まくる無敵タイム(マリオでいうスターをとった状態がたまに来る)も少しあり、こりゃ20匹とか釣って食べるのに困るかな~と思ったが、やっぱりエサだけ取られちゃうことも多い。だがそこがいい。

船宿の釣果情報だとトップ30匹オーバーもあるけれど、初心者(というか私レベル)は5匹も釣れれば上等、ツ抜けしたらスーパー上等の出木杉君という感じかも。食べる分だけなら2本とかで十分だしね。

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悔しいのが楽しい。アタリがはっきりしているからびっくりして早合わせしちゃうのよ。どうするのが正解だったかな。あとエサを何度も変えていると付属のワイヤーがダメになりそうなので、ワイヤーの替えも持参した方が安心ですね。

今日は満船なのでおまつりは多少するけれど、すぐに中乗りさんがほどいてくれるのでストレスはそんなに無し。心配されたテンヤのロストも高切れもまだゼロ。下から上への誘いだと確実に下から齧ってくるから大丈夫だけれど、フォールを多用すると横とか上からタチウオが噛みついてくることがあって、その時にロストすることが多いよって中乗りさんが言っていた。中森さんの発音でいま中乗りさんと書いたけどわかりましたか。

当たりの数に対して釣れるのは3割~5割程度かな。用意した合計14匹のイワシが11時過ぎにはなくなり、念のためにと持ってきた丸干しを投入することに。やっぱり持ってきてよかったよ。

大物ドラゴン級タチウオが丸干しに掛かった!

そろそろ潮が緩んできたので、テンヤを40号にチェンジ。使ってみたかった紫ゼブラをセット。生物だったら絶対に毒を持っているカラーリングだけど本当に定番カラーなのかな。タチウオ、どういう趣味をしてるんだ。

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丸干しで釣れるんですかね。

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ちょっと干からびているけれど、海に入れれば戻るかな。それにしても紫ゼブラって。

丸干しでもちゃんとアタリは出てくれる。もちろん新鮮なイワシが一番なんだろうけれど、まあ飽きない程度にという感じかな。

とりあえず一匹追加して、丸干しで今日一番の大物が釣れたら面白いなーなんて思っていたら、「はい今、大きなのが釣れていますよ!」との期待をさせるアナウンス。そしてすぐ明らかに今日一番の大きな太刀、いや斬馬刀サイズと思われるタチウオがヒット!きたー!

電動リールの巻き上げを拒絶する強い引き込み。竿を下から左手で支えてあげないと(左巻きの場合)、バキっと折れるんじゃないかというくらいの重量感。いやこれ本当にタチウオなの?

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たのしー!なんて余裕をかましているとバレるので遊ぶのはほどほどで。

どんなに大きくてもタモは使わずに抜き上げがタチウオ釣りのルール(たぶん)。

恐る恐る、しかし大胆に引っこ抜く!

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よっこいしょーのしょーすけさん!

ほらドーンとドラゴンサイズ!でかい!

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ごめん、なんかブッチャーくらい流血させてしまった。

目が点になるくらい大きいタチウオだから「テンタチ」というとか言わないとか。もはやメガサイズで「メガテンタチ」ですよ。

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これはドラゴンということでいいのでは。なんなら願い事が叶うのでは。

テンヤタチウオ、やばいな。私でも本当にこのサイズが釣れるのね。

今度は120センチを余裕で超えちゃったんじゃないでしょうか。さあ注目の計測です!

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中乗りさん曰く、脳天にハサミを刺して締めてから測ると安全だそうです。

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さあ注目のサイズは!

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惜しい!119センチ!

中乗り:「あー、尻尾切れているねー!切れてなければ125くらいあったんじゃない?」

あらあら。尻尾は食べる部分じゃないからなくてもいいんだれど、長さとしては切ないね。まあいいか、気持ち的には125センチということで。

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指7本分くらいありそうだ。

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大きくなると顔が怖くなるな。

うーん、大きいだけに残念。でもまあいいさ。120センチオーバーは次回の釣りにとっておこうと思ったら、終盤にいい感じのアタリが来た。

エサにタッチ、タッチ、ここにタッチウオ!

はい、また大物きたー!

今度こそはと120オーバーだろうと抜き上げたら、またもや尻尾がない!なんだこの呪いは!

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尻尾が切れているのは共食いされたかのかな。

まさかのまたかな展開にガッカリしていたら、次の一投でお隣さんとおまつりをしてのリーダー切れ。タチウオの歯に当たっちゃうと、16号でもスパっといくね。気持ちが切れるとリーダーも切れる。

テンヤのロストゼロで釣りを終えようと思ったのに、そうはてんやがおろさないっていうやつですか。そうですか。

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さようなら、俺の紫ゼブラ。

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最後は丸干しもなくなって、中羽のメザシでやったけれど、明らかにアタリが少なかったかも。アタリの数は「生のイワシ>丸干し>メザシ」かな。まあそうだよね。

ということで、初挑戦のテンヤタチウオは125センチクラス(尻尾があれば)を筆頭に9本でフィニッシュ。ツ抜けならずだが十分な釣果じゃないでしょうか。船の反対側は忍姐さんをはじめ20本オーバーの方が多数いたみたいですけど。

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30リットルのクーラーでこんな感じ。

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この子たちに尻尾さえあれば……

ところでタチウオって本当に危ないよ。クーラーに何匹いるか数えていたら、親指にタチウオの歯が軽く当たっちゃって、ちょっと血が出てきたなーと思ったらブワーですよ。絆創膏を何枚か持っていきましょうね。

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ちょっとかすっただけなのに。

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しくしくしく。

タチウオ、ごちそうさまでした

こうして持ち帰ったタチウオは、一部をお世話になっている方に配らせていただき、残りを自宅にていただく。タチウオはどんな料理にするにしても、釣ったその日より、一日、あるいは二日、場合によっては三日くらい寝かせたほうが身がしっかりして旨味もでるみたい。帰宅して内臓を出して冷蔵庫に入れたら、早く寝ちゃうのが正解かもね。

大型はほぼ卵を持っているので、サイズの割には脂の乗りが微妙かも。旬まっさかりという感じではない。これでも十分美味しいんだけれど、やっぱり冬のタチウオがおいしいかなー。大物がたくさん釣れちゃうからこそ数の制限とかなんらかの規制が必要な気もするなー。ハリが大きいテンヤで釣ると魚のダメージが大きいからリリースしづらいのよね。

ということで、釣り方を忘れないうちにもう一度行きたい気持ちもありつつ(道具も揃えたし)、産卵が終わって脂が乗る冬まで待ちたいという気持ちも正直ある。冬の深場でテンヤタチウオが成り立つのかが謎だけれどね。

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やっぱりでかいなー。

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これは指8本分といっていいのでは。

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初日はシャブシャブにしてみたよ。

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ピカピカしてかっこいい。

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なるほどー。これは冬にまた釣ってやろう。

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お腹の中には卵がぎっしり。

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二匹からエサ釣りのハリが出てきた。やっぱり大物狙いはテンビン仕掛けだと難しいのかな。

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せっかくだからイクラの要領で醤油漬けにしてみる。寄生虫などのリスクがあるような気もするのでマネしないでね。

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二日ほど漬けてほぐす。

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タチウオの親子丼。卵はトビコみたいにプチプチというよりはネットリ系。ところで刺身が寝かせたことですごくおいしくなっているぞ。熟成大事!

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尻尾寄りの部分は天婦羅が好き。梅紫蘇にオクラとエノキを巻いてみましょうか。

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ちょっと大きすぎるかな。

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ジュー。

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はい、中が生!失敗!

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切ったものを二度揚げ。今度はうまい!タチウオだけだと歯ごたえが物足りないので、芯に何か入るとうまいのよ。

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焼き物はヒレの骨をとると食べやすいんだったかな。

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塩焼き!フワッフワでうまい!

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おっと腹側にもヒレ骨があった。こっちも取らないとダメだったか。

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とったヒレがもったいないので揚げてみましょう。

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ジョワー。

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なんか魔女のおやつみたいなものができたぞ。

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めちゃめちゃ口に刺さる!そして骨がまだ固い!イタタタタ!

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酒、醤油、味醂、カボスで幽庵漬けなんてどうでしょう。

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うん、なかなかおいしい。でも蒲焼き系の方がいいかもね。

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〆は骨と頭で出汁をとって、サッポロ一番塩ラーメン。うまい。

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東京湾テンヤタチウオに入門/いなの丸

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