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デッドエギングのスミイカ釣りに挑戦だ/鶴見弁天町 富士丸

※掲載終了の「@niftyつり」から2011年10月29日の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。公開時は「デッドエギング」が「デットエギング」になっていて、ようやく気が付いて顔が赤くなりました。きゃー!

デッドエギングのスミイカ釣りに挑戦だ

今回挑戦する釣りは、これからの季節に楽しいと思われるスミイカ釣り。私はスミイカ初体験なのだが、シャコをエサにした昔ながらの釣りではなく、エギを使った最近な感じの釣りに挑むのだ。

この釣りに同行していただくのは、私も参加しているデイリーポータルZで連載している小柳さん。北海道出身なのだが釣りは子供の頃に防波堤からやった程度で、船での釣りは初めてだとか。

私も経験のない釣りなので難易度がよくわからないのだけれど、沖釣り初めての人をエギのスミイカに誘うっていうのはどうなんですかね。たまたま船宿で会った友人は、「今からでもライトアジにしておいたら?」っていっていたけれど、やっぱり無謀だったかな。

前に湾フグ釣りへ初心者を連れて行ったら、その人はなにも釣れないまま一日が終わってしまって、帰りの車の中で気まずかったことがある。あの日の再来となってしまうのだろうか。まあ、いいか。

スミイカ釣りなので、スミで汚れてもいい上下の服を貸したら、「わかりました!僕はスミをかぶる役ですね!」と、よくわからない方向で張り切り出した。が、がんばれ。

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ライフジャケットの着方が、母親のブラジャーをつけてみたイタズラざかりの小学生みたいだ。

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お世話になったのは、鶴見弁天町の富士丸さん。電車釣行派も多い船宿です。

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ペットボトル氷がもらえます。

貸し竿があるということだったので、小柳さんには手ぶらできてもらい、オモリもエギもレンタルで挑戦してもらうことにした。でもやってみてわかったのだけれど、やっぱりエギのスミイカはマニアックな釣りなので、ある程度こだわった自前の道具で挑む方がいいみたい。いい道具を揃えて挑みたくなる釣りなのです。

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レンタルエギは3~3.5号が中心のようです。

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長靴のレンタルもあるよ。

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船乗り場は、橋を渡って降りたところ。トイレはここ。

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まずは小さな船で、下流に留めてある船へと移動。ものすごく低い高架下を通るのがスリリング!

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立ち上がると本当に頭をぶつけます。おもしろいけれどシャレにならないやつだな。

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ここでスミイカ狙いの船に乗換。

スミイカの仕掛けについて

スミイカ狙いの船に乗ったところで、仲乗りさんに釣り方をレクチャーしていただいた。エギを使ったスミイカの釣り方は、人によって狙い方が違うようで、最近はあまりシャクらず小さなアタリをとって釣る狙い方をする人が多いそうだ。

他にも5~10秒ごとに大きめにシャクって引っ掛けるアオリイカ釣り風(タイム釣りとも呼ばれる)にやる人もいれば、ヒラメ釣りのような胴突き仕掛けで狙う人もいるみたい。

今回私がチャレンジするデッドエギングの釣り方をする人は、やはり湾フグ用の竿を使う人が多いとのこと。ところで「デッドエギング」という言葉の意味をわかっていなかったのだが、「死んだエギ」っていう意味で合っていますかね。だからエギを動かさないっていう解釈でOK?

この時期はまだイカが小さいので、エギのサイズは2.5号がオススメとのこと。前回のアタリ色はオリーブ系だったとか。できれば2.5号と3号を、それぞれ2色くらいは用意して、釣れている人にエギを合わせるのが無難ですかね。

私は適当に家にあるエギを持ってきたのだが、前に堤防からタコ釣りをやったときにいくつかロストしていたことを忘れていて、2号と3.5号しかなく、見事にジャストサイズをはずしていたりする。マジやべぇ。

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デッドエギングの場合、小さくピュっと合わせるのがコツだそうです。

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私の竿は、アルファタックルの夢人湾フグ用。リールはPE0.8号を巻いた小型両軸。

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道糸の先にフロロカーボン4号のリーダーを2メートル。中オモリ10号をつけ、ハリスにフロロ3号を1.5メートルでやってみた。リーダーはなくても大丈夫だけれど、エギが絡んだときにPEだと傷みやすいので、つけたほうが無難かな。

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私が持ってきた2号と3.5号のエギ。この間のサイズが使いたい。

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スターウォーズ的なロボ発見。

アタリがなかなかわからないよ

30分程走った中の瀬の端っことやらで釣りスタート。釣り方は仕掛けを下ろして中オモリの着底を確認し、ここからちょうどエギが海底スレスレを漂うくらいまで巻き上げて待つというもの。潮が全く動いていなければちょうどハリス分でいいけれど、潮の流れで斜めに漂うならハリス分よりちょっと短く、ハリス1.5メートルなら1メートル巻き上げる感じですかね。

このとき、オモリの着底後に一呼吸置いてエギが底に落ちるのを待ち、そこからなるべくゆっくりハリス分巻くと、ここでアタリがあることもあるそうですよ。

そしてデッドエギングらしく、エギが動かないようにじっと待ち、スミイカがエギを抱え込むのを待つのだが、どんなアタリなのかがさっぱりわからないんだな。初めて入ったカウンターだけの寿司屋みたいにルールがわからない。どのタイミングで何を注文したらいいのやら、みたいなー。

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どれがアタリなのかしら。スミを吐かれてもいいように真っ黒の服できたよ。でもそれは小柳さんに任せたい。

この感覚、湾フグに初めて挑戦したときに近いのだけれど、あれはエサがどんどんとられるので、「今のがアタリだったのか!」みたいなのがやっているうちに学習できるのだけれど、エギの場合は減ることがないので、竿先の動きがただの揺れなのか、スミイカのアタリなのか、全然わからないんだ。

正解がわからないので、どこで合わせたらいいのかチンプンカンプン。竿が穂先フニャフニャの湾フグ用なので、竿先はふわふわ動きっぱなしなのだが、この動きの中からアタリを見極めないといけないんだよね。分身の術を使う忍者の本体を探すみたいな感じかしら。エギにセンサーでもつけて、イカが乗ったら竿先が光るとかにできないものかな。

イメージとしては、竿先がフッと沈み込むようなアタリになりそうなものなんだけれど、これであっていますかね。

たまたま隣になった人がこのサイトの読者で、デッドエギングに初挑戦っていう私とほぼ同じ条件だったりする。一緒になって「アタリがわかんねー!」と唸っていたのだが、しばらくして私よりも先に竿を大きく曲げなすった。

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ちなみに竿はAトリガーの湾フグでした。

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でた、スミイカ!(もしかしたらシリヤケイカ)

アタリはよくわからなかったといいつつも、見事スミイカをゲット。コロッケサイズならぬトンカツサイズというところだろうか。確かにこれなら2.5号のエギがちょうどいいかな。

どうやらスミイカはいるようだ。追いつけ追い越せと竿先に集中していると、竿先がモタっと沈み込み、それが手にもうっすら伝わってきた!

いまだとばかりにビシッと合わせると、一瞬の抵抗後にスカッとした切ない手ごたえ。いわゆるチップというやつか。仕掛けを上げてみると、2号のエギにイカの足。

うーん、どうも合わせが強すぎて、イカの足がちぎれてしまったようである。どうにか引っ掛けてやろうとつい合わせが大きくなってしまいがちだが、小さくシャープな合わせが肝心なのよね。わっかっちゃいるけど、やれなーい。

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イメージよりも全然難しい。

湾フグ用の竿を使うだけに、アタリのとり方や合わせ方も、湾フグに似たところがあるのかな。なので、釣りの難易度も湾フグに近いものがある。

これはあれだ、初心者を連れてきちゃいけない系の釣りですね。私も自分のことで手いっぱいだわ。

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あ、寝ている……

デッドエギングのスミイカ釣りがようやくわかってきた

船はこまめにポイントを変え、どうにかスミイカを釣らせようと頑張ってくれるのだが、まだ私はノーフィッシュ。いや、ノーイカ(イカの英語名がわからんかった)。

アタリらしいものがあるたびに合わせているので、あえてシャクって誘うということをしてない。艫側ですでに何匹か釣っている人を見ても、やっぱり誘いはほとんどいれておらず、たまにひょいっと小さく動かす程度。

やはり釣れるかどうかの違いは、竿先の動きからアタリを見極められるかどうか、そしてそれをうまく合わせられるかどうかにあるようだ。

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私と同じくスミイカ初体験のお隣さんが二匹目を掛けた。本当は彼が釣りライターなのでは。

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ブシュー!

うーん、釣れない。釣れないときはエギの交換で気分転換。同行の小柳さん用に船宿から借りたエギの中から、3号のものをチョイスしてみようかな。

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これできっと釣れるはず。

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いつの間にか小柳さんが燃え尽きている。スミイカだけに燃え尽きて炭以下になったのかな。

全く誘わず、クマに襲われた気分でエギにじっと死んだふりをさせていたところ、グンと手にはっきりと伝わってくるアタリが来た。道糸を通して海へ引きづり込まれるような独特のアタリ。きっとエギを抱いたイカが逃げようとしているのだろう。

大きく合わせそうになるのをグッとこらえ、曲がった竿先をピョンと跳ねさせるくらいのあわせを瞬時に入れると、水風船を引っ掛けたような重さが伝わってきた。この重みが嬉しいったら嬉しいな。

そのまま竿を少し立てた状態にして、糸が弛まないように一気に巻く。上がってきたのは本命スミイカ。中オモリを掴んで竿を置き、ハリスをたぐってエギをキャッチ。すかさず腹側にあるイカの口が自分の方を向かないようにして記念写真。

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イカのノズルを自分に向けて写真を撮る勇気はない。

よし、今日の仕事はこれで完了。

今にもスミを吐きそうなお腹パンパンのスミイカ。ここで吐かれると撮影をしている小柳さんが真っ黒になって予想通りの展開となるのだが、私のカメラもスミだらけになるというリスクがあるのよね。

そっとバケツに入れた途端、大量のスミをプシュー。さすがスミイカ。と思ったけれど、この模様はもしかしたらシリヤケイカかな。まあどっちでもいいんだけど、真っ黒でよくわからないや。

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とりあえず一匹。

アタリがわかるとおもしろい

この日はトップでも11匹と、それほど好調という日ではなく、船が場所を変えるたびに、誰かしらがポツリと釣れるという感じ。それでもやっているうちにだんだんとスミイカのアタリがわかってくるようになり、そうなるとこちらの集中力も高まってきて、イカが寄ってきたのが感覚的にわかったりもする。だいたいは勘違いなんだけれど。

どうやらスミイカがエギを抱いて逃げようとするはっきりとしたアタリと、エギに触っただけのモタっとした小さなアタリがあるようで、後者をどれだけキャッチできるかが腕の差となるようだが、このアタリでとれると本当に気持ちいいんだな。ものすごくゲーム性の高い釣りなんだよね。

また中乗りさんの話だと、なるべく小さく合わせることで、たとえ釣れなくても、寄ってきたイカを散らさないことがポイントだそうですよ。

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そしてお隣さんが三匹目。この模様は明らかにスミイカですね。

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写真を撮り終えて竿を手にしたら、タイミングよくスミイカが掛かった。まさかの置き竿でヒット。えー。

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小柳さんに渡しておいたカメラに写っていた写真。なんかごめん。

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アタリをとるには糸が細い方がいいだろうと、PE0.6号、リーダー2号のひとつテンヤ用のリールに変更してみた。底のとり直しが若干面倒だけれど、リールが竿の下にくるので、バランス的に手が疲れない。

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中乗りさんに釣り方を聞きなおす小柳さん。どうにか一匹釣ってほしいところ。

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小さなアタリに合わせることができた会心の一匹!

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好事魔多し。エギから外そうとしたら、痛恨の一撃を喰らってしまった!

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この役は小柳さんのはずだったのに。

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汚れたエギを洗う歯ブラシが必須ですよ。

スミイカのデッドエギングは全体的に湾フグと共通する部分が多く、フグマニアだったら絶対にハマる釣り。いや、似ている釣りだからこそフグマニアだったらイカよりもフグを選ぶのかもしれないが、エサをつける手間がないので、よりアタリをとることに集中できておもしろいよ。間違い探しの早押しクイズみたいな感じ。

エギとスミイカのサイズについては、隣の読者の方が2.5号のエギで釣っていたサイズよりも、私が3号で釣ったイカの方が若干大きかったような気がするので、やはりそこはサイズが比例するのかも。

中オモリ方式ではなく、タコ狙いのように、エギにオモリを直接ぶら下げる方式でもいけるんじゃないかなと個人的には思うんだけど、どうですかね。エギじゃなくスッテを使ってみたりとか、次はお風呂場でいろいろな仕掛けを試してみてからこようかな。それを使っていいかは船長に確認ですが。

この釣り、せっかく湾フグ用の竿を持っているのなら、一度は挑戦してみてもいいと思うよ。ただし潮が動いているときじゃないと、苦行で終わるかもしれないよ。エギにつながるハリスが張ってないとアタリがわかんないんですよ。

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どうにか5匹をゲット。馴れてきたところで終わった感じかな。

さてそろそろ終了となったところで、どうせなら一匹だけでも釣って欲しいなと思っていた小柳さんが、今までにない真剣さでリールを巻きだした。

まさかと思ったが、最後の最後でスミイカが掛かったのだ!

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こんな笑顔の小柳さん、初めて見たぞ。

寿司が食べてみたいという外国人に鮒寿司を挑戦させてしまったくらい、沖釣り初めての小柳さんにはデッドエギングのスミイカはハードルが高すぎだったかなと思ったのだが、どうにかこうにか無事一匹。釣れなかったら記事に登場させないつもりだったのは内緒だ。

それにしても釣れた途端にこの笑顔。やっぱりゼロとイチだと全然満足度が違うね。でも次に初心者とくるときは、やっぱり湾フグとスミイカだけは避けようかな。

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帰路、私が寝ている間に小柳さんが撮影した写真。一匹釣れて晴々とした心情を表す一枚。

スミイカ、おいしいよ

持って帰ったスミイカを刺身で食べてみたのだが、釣った当日だとナタデココのような歯ごたえが気持ちいいのだが、肝心の旨みがまだほとんどない。新鮮すぎてつまらない味っていうと伝わりますかね。すごい罰当たりな感想のような気がするけれど。

そこで冷蔵庫に入れて一日寝かすと、身がねっとりとしてきて、旨みは数倍に膨らんでくる。このあたりは好みだけれど、個人的には一日か二日寝かせて、旨みたっぷりとなったスミイカを楽しむのがオススメですかね。

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これは一日目のスミイカ。これはこれで鮮度抜群でおいしいんだけれどね。

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ゲソとエンペラを肝とガーリックオイルで炒めてみた。火を通しても柔らかいんだ。

釣りの翌日がたまたまバーベキューだったので、スミイカをそのまま炭火で焼いてみたのだが、これがめっぽううまかった。いい感じに焼けたスミイカから甲を抜いて、ぶつ切りにしてスミごと食べる。これ最高。味付けは醤油をチョロリかマヨネーズかな。

冷凍したものを解凍して焼いたり、炭火ではなくガスコンロでやっても十分おいしいと思うので、捌くのが面倒な人には特にオススメの調理法ですよ。

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意表をついたスミイカ料理。

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見た目最悪!味は最高!口は真っ黒!

■富士丸


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