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満員の船でも釣れる!アナゴの投げ小突きをマスターしよう/伊藤遊船

※掲載終了の「@niftyつり」から2010年5月の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。アナゴ釣り、楽しいですよね。最近はかなりご無沙汰なので、またいきたいところです。

アナゴ船は満員、さてどうしよう

今シーズン(2010年)好調の東京湾の夜アナゴ。竿頭は30~40匹という日も多いのだが、実際にいってみると2、3匹しか釣れなかった、という初心者さんも多いはず。

アナゴはアンカーを入れての釣りなので、特にお客さんが満員の日などは、どうしても釣り座による有利不利が大きい。近くにうまい人が固まっていて、二本竿の小突きでガンガン釣られてしまうと、同じやり方では太刀打ちできない時もある。例えるなら、回転寿司で隣にギャル曽根と石塚英彦が座っているようなものだ。


アナゴが好調だけにお客さんの数も絶好調。

先日、私がいったときもまさにそんな日で、アナゴ船は予約の時点で満席。集合時間ぎりぎりに到達したので当然四隅に座れるはずもなく、空いていた胴の間でやることになったのだが、これでは釣果の期待は難しい。気の利いた合コンみたいに途中で席が入れ替わる制度もない(いったことないけど)。

そこで船長に習ったのが、「投げ小突き」という釣り方だった。

投げ小突き釣りの流れ

アナゴ船で投げて釣る方法は雑誌などでも目にしていたのだが、どうもイメージしづらかったので、実際に私の竿で船長に釣ってみてもらった。

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アナゴ釣りの名人、伊藤遊船の三島船長。仕掛けは普通の釣鐘錘でやってみてもらった。

仕掛けをアンダースローで遠くに投げ、糸ふけをとったら竿を立て気味に持ち、ピョン、ピョンと1、2秒に一回程度、竿先から繋がるオモリを跳ねさせる感じで小突いて、たまに止めてアタリを待つ。

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遠くに投げるので、竿の角度が高くないと小突けない。

この席は潮が手前(船下)に向かってくる状況だったので、小突いているとだんだん仕掛けが近づいてくる。そこで竿を立てながら小突き、リールを巻きながら竿を前に倒し(潮で糸がたるんだ分を巻き取る)、また竿を立てて小突いていくというやり方をしていた。

そしてすぐにアタリをだし、これでもかと大きくあわせて、いとも簡単そうにアナゴをゲット。ちなみにアタリがあっても即合わせせず、軽く竿を持ち上げてみて、重いようなら大きく合わせるのがコツ。持ち上げてアナゴがまだ掛かっていなかったら、同じ場所で誘えば高確率でまた食ってくるそうだ。

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名人を見ていると、アナゴ釣りって簡単なのではと思ってしまう。

小突きの大きさやテンポはその日によって違うらしいが、基本的な考え方は、「船下で釣れないなら、人がやっていない場所で釣ればいい」という大変合理的なもの。ポイントを点ではなく線で探れるのも大きなメリット。

このやり方を習ってからはそこそこ順調に釣れだし、おかげさまでこの日は15匹が釣れた。竿頭からはまだ遠いけどね。

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個人的には十分すぎる釣果。

うまい人はこの釣り方を二本竿や三本竿でやるそうだが、私が満員状態でそれをやると、両隣りに迷惑をかける自信が満々。船の四隅に座れれば挑戦してみたいが、一本竿で丁寧にやるのでも十分おもしろい。

その後もアナゴ釣りに2回いったけれど、いくたびにほぼ満員で座席は微妙という状態の中、投げ小突きで10匹を下回ることはなかった。もちろん投げ小突きなら確実に釣れるという保証はないが、船下で小突いて釣れないときに試してみて損はないと思う。釣り方の引き出しはたくさんあったほうがいい。

投げ小突きはアンダースローが必須

このように満員でもそこそこ釣れる投げ小突きだが、一緒にいった釣り初心者の女性はベイトリールしか使ったことがないので、スピニングリールで飛ばすということがうまくできなかった。これができないと投げ小突きは成り立たない。そこで簡単にアンダースローのやり方を説明しておく。教えるような立場と腕じゃないんだけどさ。

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仕掛けを竿先から1メートルくらいのところに調整。体はなるべく前のめり。

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人差し指に道糸をかけてベイルを返し、竿を倒しながら後ろに引く。
目線はまっすぐ前。

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振り子状態の仕掛けが船に近づき、手前側から沖側に動くのに合わせて、
手首だけでなく腕を大きく前に動かして、道糸をリリース。

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仕掛けが海に落ちたら、サミングをしながら底まで落とす。風がある日は、投げてすぐサミングをしないと糸ふけが出てオマツリになるよ。

キス釣りと比べて仕掛けの長さが短いので、すぐにできるようになるとは思うが、アナゴ釣りは正味3時間の短期決戦。アンダースローをやったことがない人は、船に乗る前に練習をしておくか、キス・アナゴリレー船に乗って、キスを釣りながら練習すればバッチリ。

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二本竿を出す場合は、一本は船の揺れでたまにオモリが浮くくらいに調節をして船下へ置き竿に。

欠点としては探るエリアが広い分、根がかりのリスクが高い。予備の仕掛けは多めに持っていった方が無難。ちなみに大抵の船はオモリや針などは常備しているので、船の上でも購入可能。

アナゴ釣りの仕掛けについて

さてアナゴ釣りは、釣り方以上に仕掛けもいろいろ。小突くにはどれがいいか、置き竿ならこうだろうかと、いろいろ考えるのも楽しみの一つ。釣り具屋にいくたびにいろいろ買ってしまうのだが、三島船長曰く、仕掛けによる釣果の差はあまりないので、絡みにくさ、針の外しやすさを優先しているとのこと。小突いたときの状態、竿の曲がり具合の確認は、水を張ったお風呂やバケツでできる。

水中ライトやケミホタルなどの光物については、基本は付けた方がいいけれど、ないほうがいい日もあるそうだ。

針の数も、多い方が釣れると思えば二本針にすればいいし、絡みにくさを優先すれば一本針。特に初心者といく場合は、アナゴが仕掛けに絡んだら全部はずしてあげるくらいのやさしさがない限り、とりあえずは一本針をすすめておきたい。

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二本針にするならキス用天秤の錘を釣鐘型にする手もあるが、ちょっと絡みやすいかな。

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 水中ライトは締めが甘いと水が入って壊れる。根がかりでロストするより精神的ダメージがでかいぜ。

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二本針の場合、アナゴが絡まって手返しが悪くなる率が高い。そして外すときに針で怪我をしやすい。

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絡まったアナゴを解こうとして、思いっきり小指を噛まれた。アナゴの口が硬いということを身を持って学習した。

みんなの仕掛け紹介

最後に乗船していた人達が実際に使っていた仕掛けをご紹介。傾向としては、一本を手持ちで小突き、もう一本を置き竿にして、それぞれ仕掛けを分けて使っている人が多かったようだ。

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錘と水中ライトが一体化した小突き用仕掛け。水中ライトは赤が人気のような気がする。

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こちらは置き竿用にしていた誘導天秤。前回は釣鐘型錘で二本針にしていたが、アナゴが絡まるのでやめたそうです。

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水中ライトに誘導の亀型錘と長さの違うハリス二本を使った小突き仕掛け。

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置き竿用のアナゴ天秤で良型を連発。私の裏の席で倍以上釣っていました。

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「赤い錘は三倍早く釣れる」と信じているファーストガンダム世代の鈴木君。

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逆T型の天秤も最近の定番。この仕掛けで二匹いっぺんに釣れるとうれしいよね。

いろいろ紹介したけれど、結局は本人の考え方次第なので、複雑なオリジナル仕掛けを試してもいいし、シンプルな仕掛けでやってもいい。何回かアナゴ釣りをやれば自分の好みがわかってくるだろうし、アナゴの活性や潮の向き、本人のジンクスなどを踏まえて、好きな仕掛けを使えばいいと思う。

とはいっても、せっかくなら一匹でも多く釣れた方がいいというのが釣り人の本心。そこで、伊藤遊船のもう一人の船長である木ノ内さんに、釣れる人と釣れない人の差を聞いてみた。

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こちらの木ノ内船長も投げ小突きの名手。

「何が違うか….感覚的な問題なのでコレっていう答えは難しいですね。逆によく釣っている人を客観的に見て、仕掛けや釣り方など、他の人と大きく違うところがありますか? なかったとしたら、一連の動作をすばやく正確におこない、粘り強く繰り替えしているだけっていうことですよね。大切なのは当たりを逃さない集中力。そしてアナゴをあげてから再投入までのスピードが普通の人だと五分から十分なら、対する名人はわずか一分、長くても三分で再投入できています。これが最高のラッシュタイムを逃さないことにつながり、最終的な釣果の差にでるのではないでしょうか」

思い当たるところだらけのコメントである。確かに釣れているときって、それだけエサを交換するタイミングが早くなるし、釣れることで集中力が高まっていくという好循環になるよね。逆に釣れないとエサはつけっぱなしになるし、置き竿でボーっとしたり、携帯をいじりだしたりで集中力ゼロの悪循環。あとせっかくの時合のタイミングで写真を撮るのをやめればもちょっと釣果が伸びるかな。記事の写真がなくなるけれどいいかしら。

アナゴのシーズンは例年だと七月上旬まで。残りわずかなアナゴシーズン、まだやったことのない人は、船長に釣り方を聞きながら、とりあえず5匹を目標にやってみるといいと思う。ちなみに船長に話を聞くタイミングは、釣りの後半だとアナゴを捌くのに忙しいので、なるべく早い時間がおすすめですよ。

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アナゴ釣り、とにかく楽しいのである。

■伊藤遊船

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